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2020年4月20日(月)

“オンラインで初診”規制緩和から1週間 現状と課題

医療現場で新型コロナウイルスに感染するリスクを減らすため、「オンライン診療」が規制緩和されてから、きょう(4月20日)で1週間。受診歴がない「初診」でも電話やインターネットで医師の診察を受けられるようになり、患者の自由度が上がった一方で、課題も浮き彫りになっています。

この記事のポイント
◆オンライン診療を導入したクリニック その仕組みとメリット。
◆一方で直接患者と対面できないことで得られない情報も。
◆初診もオンラインで可能に。しかし、普段の様子を知らないため慎重な意見も。

オンライン診療を導入したクリニックの現場

先週から初診のオンライン診療を始めた、東京渋谷区のクリニックです。この日、ビデオ通話で医師の診察を受けていたのは千葉県に住む30代の女性。インターネットでこのクリニックがオンライン診療をしていることを知りました。
女性は、2か月前からせきなどの症状が続いています。新型コロナウイルスへの感染を懸念し、病院に直接足を運ぶことにためらいを感じてオンライン診療を利用しました。

「オンライン診療」の仕組みです。患者はまず、医療機関に電話で問い合わせ、予約を入れます。その後、専用のアプリをダウンロードして、予約の時間にビデオ通話で受診。登録したクレジットカードで支払います。薬は、医療機関から郵送で自宅に送ってもらうか、指定した薬局に処方箋をFAXしてもらい、受け取りに行きます。

このクリニックの宮田俊男院長は、感染が拡大する中で、不安を感じる患者が診察を受けやすくなると考えています。

みいクリニック 宮田俊男院長
「発熱があるとふだんかかっている医療機関では診てもらえずに保健所に連絡したり、発熱外来に行くようにと言われたりしてなかなか医者にかかれないこともあるので、オンライン診療に対する期待はものすごく大きいと思う。」

オンライン診療の課題 “誤診”のリスクも…

一方で、宮田さんはオンライン診療の難しさも感じています。肺の音を聴診器で聞いたり、医療機器で血圧や酸素濃度などを測定することができません。病気の重症度を、客観的な医学データで測ることができず、誤診のリスクが常に付きまとうと言います。宮田さんはさまざまな角度から、時間をかけて病状を把握し、慎重に診断を出していきます。

(診察の様子)

患者
「せきがここまで続くのはコロナウイルスが原因で、今後重症化することはないですよね?」

医師
「今の症状だけ聞くと、今すぐPCR検査まで受ける必要があるかというとそうでもありませんし、呼吸器症状がさらに続くということであればまたご相談いただければと思います。」

宮田さんは、2か月間熱がないことや、せきの頻度が少ないことを聞き取り、経過観察にとどめ、咳止めの薬などを処方しました。

この1週間で宮田さんが診察した患者は約50人。その半分が新型コロナウイルスに感染したのではないかと不安を感じた人たちでした。このうち、PCR検査が必要だと判断した数人は、保健所に患者の情報を伝えたと言います。

みいクリニック 宮田俊男院長
「実際に医療機関に行けない初診の方々が多くいるという現実が分かってきましたので、オンライン初診も適切に運用していきながら、医療崩壊を食い止める一助になればいいなと思っています。」

“電話での初診”には慎重な意見も…

今回、規制が緩和されたオンライン診療では、これまで慎重な意見が多かった「電話での初診」も行えるようになりました。

しかし、初診の患者を電話だけで診察することには慎重な医師もいます。地元の高齢者などをかかりつけ医として診察してきた、目々澤肇院長です。普段の様子を知らない患者を、電話だけで診断するのは難しいと考え、一度でも診察したことがある人だけを対象にしています。

目々澤医院 目々澤肇院長
「今まで我々がやってきた診療というのは、見る・触る・聞くなどの“五感”。顔が浮かばない患者さんの場合は困る。」

患者は、会計と処方箋の受け取りのために数分だけ来院します。電話での診療はあくまで、かかりつけの患者が、診療所でウイルスに感染するリスクを下げるために役立てる方針です。

目々澤医院 目々澤肇院長
「最近では「院内に入るとうつるんじゃないか」という不安から、外で順番を待つような人もいるくらいですから、患者さんに感染させてしまうことを避けられるのが、1つのメリットだと思います。」

オンライン診療が“感染拡大”に果たす役割は…

日本医療ベンチャー協会の調査によると、オンライン診療を行っている医療機関は1,339(4月16日現在)。全国47都道府県すべてに行っている医療機関があり、その一覧は協会のホームページで公開されています。今後、都内47か所に設置される予定の「PCRセンター」は、保健所を介さず、かかりつけ医の判断で検査を受けられる方向で検討されています。
東京・渋谷区のみいクリニック・宮田俊男院長によると、PCRセンターが各地にできた場合、感染を疑う患者をオンライン診療で診察し、迅速にPCRセンターにつなぐことが可能になるとしています。

ただ、今後オンライン診療を実施するかを病院に尋ねた民間企業の調査では、「実施しない」と答えた病院が4割、「分からない」と答えた病院も4割にのぼりました。実施しない理由は「環境整備」や「診療に対する責任」で、誤診の恐れもあることから、導入を慎重に考えている医療機関も少なくありません。
このオンライン診療は、新型コロナウイルスの感染が終息するまでの時限的な措置ではありますが、これからさらに需要が高まることも予想され、どうすればより安全に運用していけるか、検討していく必要があります。

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