これまでの放送

2020年5月2日(土)

【更新版】休校中の子どもたちへ 「ズッコケ三人組」著者 作家那須正幹さん

【5月8日更新】
「ズッコケ三人組」シリーズで知られる作家の那須正幹さんです。
ハチベエ、ハカセ、モーちゃんの3人組が力を合わせて様々な困難を乗り越えていく物語を、那須さんは26年にわたって書き続けてきました。休校が続くなど普段の日常が奪われ、ストレスや不安を抱える子どもたちが増えている今、子どもたちや大人へのメッセージを、テレビ会議システムで伺いました。
聞き手は新井秀和キャスターです。

(4月28日インタビュー)

休校が続く今を“学びの機会”としてプラスに捉える

Q:子どもたちが家のなかで過ごすという状況が続いています。

那須さん:
これだけの世界的な大災害は、太平洋戦争以来ですよね。命の危険だけでなく、経済的な問題もあって、日常生活そのものが壊れつつある。すべてが壊れてしまうという感じがして、本当に大変なことになったなと思っています。

僕はとても楽観的な人間だし、学校に行くのがあまり好きではなかったから、子どものときに学校がずっと休みになっていれば、大喜びしたかもしれない。昆虫採集が好きだから、1人で山へ行って虫を捕まえていたと思いますね。
でも今は、学校から、「家から出てはいけない」と言われているから、あまり野遊びもできない。でも、“家にいなくてはいけない体験”というのは、おそらく普通ではできないことですよね。それを逆手にとって、何か興味あるものを自分で見つけて一生懸命勉強してみるといい。
例えば、新型コロナウイルスについてとか、今までの世界を襲ったペストやコレラ、スペイン風邪が流行ったころの歴史を調べてみるのも面白い。たっぷりとある時間を有効に利用する方法を、子ども自身が考えてみることが大事です。

ぜひやってもらいたいことは、日記をつけることです。こういうときこそ、自分の身の回りで起こったことをなんでも記録しておくということが、すごく大切じゃないかなと思います。自分のことを振り返るというのは大人にとっても大切なこと。いずれ必ず役に立つときがきます。

子どもに “家族の一員”として自覚を持たせる

Q:家のなかで子どもとずっと一緒にいるという大人が増えました。目が行き届きすぎてしまうという声もありますが。

親御さんも大変だと思う。先が見通せないなかで、子どもが感染するのではないか、自分が子どもにうつすのではないかという不安がある。それで今、みんながストレスをため込んでいますからね。でも、大人が不安でストレスをため込んでいたら、子どもにもそれが伝染しますからね。「コロナウイルスなんかくそくらえだ」というぐらいの自信を大人が見せてやらないと、子どもも不安になってしまう。
大人が心のゆとりを持って普段どおりに接してあげれば、子どもも安心して、この生活を送れるんじゃないかなと思います。

家で過ごす時間が増えたなら、家事を子どもさんに手伝ってもらうということが大切じゃないかな。
子どもにも、家族の一員として、それなりの役割を与えることで「自分はなくてはならない存在なんだな」と子どもが自覚できるんですよ。食事の手伝いでもいいし、掃除でも、手すりを除菌するのでもいいですね。

ただ、そのときに、「やりなさい」ではなくて「やってくれない?」と大人がお願いすること。手伝ってくれたら「助かった。あなたがいてよかった」って、きちんと褒める。そうすることによって、子どもも自分が単なる保護されるだけではなくて、重要な役割を持っているんだという自覚できる。将来、社会に出たときにも生きる自信になるんですよ。

“苦しいときこそ助け合う姿”を子どもに見せる

Q:今、感染した方や医療従事者への差別が起きています。

僕は被爆者なんだけど、被爆者に対する差別というのがあったので、やっぱり人間はいつも同じだなと思う。やってはいけないことだし、本当に許せないこと。敵をつくらないとストレスを発散できないという、人間の悲しい性(さが)ですね。

大切なことはそういう差別を親が絶対にしないということですよね。もう一つは、どうやったら助け合えるんだろうかと考える姿を子どもに見せること。今回は、ボランティア活動が非常にやりにくいんですが、励ましの手紙を出すとか、医療従事者にご飯を届けるとか、何か役にたつことを大人がやってみせる。
人間というのは、苦しいときには助け合っていかなくてはいけないんだということを子どもたちが認識できるようにしてあげる。大人が率先しないと、なかなか難しいと思います。

“子どもの力を信じる”

Q:「ズッコケ熟年三人組」は広島の土砂災害をテーマにしたものでした。実際に避難所などに足を運んで取材をされたと伺いました。今回、土砂災害と感染症と違いはありますが、子どもたちが困難にぶつかっている状況は同じです。子どもたちの姿から、何を感じましたか?

阪神・淡路大震災のときから、避難所に行って子どもたちと遊んだりして交流をしています。東日本大震災のときも福島の小学校を訪ねました。避難所のなかではね、意外と子どもというのは明るいんですよ。広島の避難所でも、最初は、「また土砂災害が来るんじゃないか」とか、いろいろ不安があるんだけど、すぐに避難所生活に慣れるんですよね。そこで、僕が見たのでは、壁新聞をつくったりする子どもたち。楽しんでいたわけではないだろうけども、避難所生活に溶け込むというか、そういう環境にすぐに慣れてくるんだよね。あれは、大人はちょっと無理だね。大人は縮こまって、ずっと寝て過ごしたりしていたけど、やっぱりバイタリティーというのかな、そういうときでも、どんどん自分のできることを見つけてやるという活力とを感じましたね。

Q:土砂災害の例をあげましたが、それだけに限らず、那須さんの作品では、子どもたちがいろんな事件や難題に遭遇します。ハチベエ、ハカセ、モーちゃんのズッコケ三人組だったら、今回のコロナ危機をどう乗り越えますか。

あの連中は、何が起こったってぜんぜん気にしないと思いますよ。家にずっといて外で遊べないとか、学校に行けないとかは、考え出したらいかに自分は不幸かと思うと思うんですけど、彼らならプラス思考にして考えると思う。子どもはね、大人が思うほどやわじゃないですよ。やっぱり子どもというのは未来を作っていく存在ですから。それだけの生きるエネルギーをもっているんじゃないかな。

Q:最後に大人たちへのメッセージをお願いします。

今回、周りの人たちとのコミュニケーションが途絶えたりして垣根をつくったりしてしまっているけども、この事態が収束したあとに、それをいかに早く元の状況に取り戻すかということを、今から考えたほうがいい。それは1カ月後か、2カ月後か、もしかしたら今年いっぱいはまだずっと収束しないかもわからないけど、しかしそれにしても、いつかは収束するわけだから。そのときにどうするかということを、そろそろ考えたほうがいいと思いますね。やっぱり人間は助け合わないと生きていけないんだから。

「おはよう日本」では、新型コロナウイルスによる不安が渦巻くいま、各界の方に生きるヒントや危機を乗り越える提言をシリーズでインタビューしています。
Page Top