これまでの放送

2020年5月4日(月)

二極化する物流業界 苦悩する運送会社

新型コロナウイルスの影響で、いま運送業界で「二極化」が起きています。
日用品や食料品などを運ぶ会社では、買いだめや巣ごもり消費などの影響で物量が急激に増加し、忙しさを増しています。その一方で、工業製品や建築資材などを運ぶ会社では、国内工場の停止や輸入品の減少などで仕事が減っています。こうした会社はいま、厳しい経営状況に直面しています。

<この記事のポイント>
◆新型コロナウイルスの影響で精密機器や自動車部品が届かず、運送会社も経営難に。
◆千葉県の運送会社では、従業員の多くが自宅待機。
◆取引する荷主を増やし、リスクを分散させることが重要。

物流業界に異変 輸入される荷物が激減

早朝4時。千葉県成田市の運送会社から自動車部品を積み込んだトラックが出発していきます。この会社では36台のトラックを保有し、主に海外から成田空港に届く航空貨物を関東全域に運んでいます。

新型コロナウイルスの影響で、この会社が運ぶ荷物は大きく変化しました。ふだんは満杯になるはずのトラックの荷台に積まれていたのは、段ボールわずか10箱のアパレル品だけでした。

この会社が扱うのは、中国やヨーロッパなどから来る精密機器や自動車部品、ブランドものの服などです。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で現地工場の稼働がストップしたり、航空機が運休や減便したりしたことで輸入される荷物が減少しています。

22年前に会社を立ち上げた沢田秀明さんは、今回の感染拡大は、かつて経験したことがないほどの影響があると感じています。

運送会社 社長 沢田秀明さん
「本当にコロナウイルスのまん延している状況が、リーマンショック以上のダメージをわれわれ物流業にも与えているのが現状です。」

この会社の経営を支えるのが、ヨーロッパからの自動車部品。3月には1日7.7トン入ってきましたが、4月には1.3トンにまで落ち込みました。

受注担当 五十嵐常博さん
「うちとしてはかなり大打撃です。毎日胃が痛いです、本当に。いつまでこれが続くんだろうという…。」

この日の午前中、駐車場には、全体の6割にあたる21台のトラックが待機したまま止められていました。

会社では、先月までにドライバーを務める従業員36人のうち23人に自宅待機を依頼しています。自宅待機した人には1日あたり1万円を会社が支払います。いずれは休業手当などの一部を助成する雇用調整助成金を申請する考えです。先月はトラックのリース代や人件費など毎月かかる3000万円以上の固定費がまかなえず、およそ300万円の赤字が出ました。

輸送品のシフトで困難をしのげるか

社長の沢田さんは、大型連休以降も輸入品の再開が見通せないことから、国内で食料品や日用品などを扱う会社への営業を強化していかなければいけないと考えています。

運送会社 社長 沢田秀明さん
「いま何とか融資を受けずにでもその資金的にやりくりをやっている最中ですが、今後引き続きこのコロナの影響が長引くとやはり資金が底をつくというか、かなり資金悪化が出てきます。」

物流業界に詳しい流通経済大学 矢野裕児教授は、物流業界のリスク分散のためには、新たな取引先を開拓したり事業者間で融通したりしていく必要があると言います。

流通経済大学 矢野裕児教授
「中小業者の多くは特定の荷主の荷物を運んでいる場合が多くて、調整がきかない。事業者自身がさまざまな荷主とつきあうようなリスク分散も必要だし、それからさらには物流事業者間で融通し合うことも考えていく必要がある。」

取材:阪野一真ディレクター

Page Top