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2020年5月11日(月)

外出自粛 どう解消する?高まる“孤独死”の不安

不要不急の外出を控えた生活が引き続き求められる中、1人暮らしの人たちの間でつながりが断たれることで孤立し、不安を訴える声が広がっています。


<この記事のポイント>
◆“お年寄りの姿が見えない” 新型コロナウイルス感染拡大で一変した団地の風景。
◆1人暮らしの高齢者は、外出を控えている上にヘルパーも自粛していて孤独死する不安を抱えている。
◆電話やSNS、手紙など“対面しない”コミュニケーションを心がけることが大切。

“孤立した高齢者が見えない” 危機感募る団地

およそ5000人が暮らし、高齢化率が6割近くにのぼる都内の住宅団地の自治会長・河原田安啓さん。新型コロナウイルスの影響を受けて団地の風景は一変したといいます。

自治会長 河原田安啓さん
「以前は、お年寄りがベンチに座って、日がな一日、いろんな話をしている光景がありました。今はまったくそういう状況ではないので、さみしいですよね。」

団地の隣にある公共施設は、かつては多くのお年寄りが連日集まる憩いの場でした。
夏祭りや餅つき大会など、1人暮らしのお年寄りの孤立を防ごうと、1年を通じて多くのイベントが行われてきましたが、今はこうした交流が途絶えています。

河原田さんは、普段なら自然と目の行き届いたお年寄りの様子が、今は見えづらくなり、1人暮らしのお年寄りの体調を心配しています。

自治会長 河原田安啓さん
「もし、健康を害した場合、自らSOS出せないような人もいますから、そういった人に光が及ばないというのを、危惧しています。」

自宅を出ず、ヘルパーも来ず 高まる“孤独死”の恐怖

この団地に暮らす大坊賢子さん(87)は、夫が亡くなり、7年前から1人暮らしです。今は、ほとんど自宅を出ない生活です。

大坊賢子さん
「以前は、カラオケやグラウンドゴルフなどの帰りにコーヒーを飲みながら話に花が咲いて、本当に楽しかったけど、今は何もないです。長い人生で、本当にこんなにさみしいことはないです。」

感染を恐れ、スーパーに行くのは3日に一度。ただ、買い物をお願いしていたヘルパーも自粛しているため、お米や野菜など、かさばる物は購入できなくなりました。
さらに、自粛生活によるストレスもあり、食べる量は以前の半分ほどに減っているといいます。

大坊さんは、こうした暮らしが続き、日に日に体力が落ちていることを不安に感じています。

大坊賢子さん
「意識不明になって、朝、目が覚めないんじゃないかと思うときがあります。それが怖い。」

東京・港区が1人暮らしのお年寄りなど4000人に電話で行った聞き取り調査では、「誰とも話をしない」「外出できずストレスがたまる」という声や、『孤独死』を心配する声もありました。

リスクは高齢者だけではない!対面以外のコミュニケーションを

孤立のリスクは、特に1人暮らしの場合、危機意識のなかったお年寄り以外の世代にもあると淑徳大学・結城康博教授は指摘します。

淑徳大学 結城康博教授
「外出自粛は社会との関わりが非常に薄くなるので、何か困った事があった場合にお年寄り以外の世代も社会から気付かれない存在になってしまう危険性があるということが、今回のコロナを機に認識されたのではないでしょうか。」

対策としては、安否の状態を定期的に発信できる「対面に頼らない人とのつながり」を再確認することが大切です。
さらに結城教授は、電話やSNS、また手紙など、対面しなくても連絡を取ることができるツールは、すでに今、社会にありますが、いざというときに誰に連絡すればいいのか思い浮かばないなど、うまく活用できていないと指摘しています。
特に1人暮らしの人は、日常的に安否の状態を連絡できる相手が誰なのかを、いま一度、確認しておくことが重要だと話しています。

取材:太田緑ディレクター
   山田剛史ディレクター

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