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2020年5月16日(土)

ソーシャルディスタンスと言われても…視聴覚障害者の困惑

新型コロナウイルスのさまざまな問題が取り上げられていますが、視覚障害者の生活も状況が一変しています。「感染への不安からガイドなどの支援も減りました、実態を知ってほしい」という視聴者からの情報提供をきっかけに、視覚障害者をとりまく状況が、どうなっているのか取材、動画などを通じて情報を発信する落語家の方に話を聞きました。

全盲の落語家・桂福点さんが伝える視覚障害者の苦悩

関西で活躍する全盲の落語家、桂福点(かつら・ふくてん)さんです。障害者の支援を行い、動画で視覚障害者の生活の問題を発信しています。感染拡大を抑えるために、ソーシャルディスタンスを保ったり、接触を避けたりすることが求められていますが、実はこれ視覚障害者にとって死活問題。

桂福点さん
「手で触ってボタンをみつけます。手が目なのでさわらなきゃやっていけないのですな。」

手袋を使用すると手の感覚が鈍くなり、点字などがわかりにくくなるといいます。
買い物など外出の際は、ガイドヘルパーを頼ることもありますが…。

桂福点さん
「いまこうやって歩くことは、濃厚接触になってしまうかも。」

中でも福点さんが訴えるのは、「感染したらどうする?」という問題。

医療機関までどのように行く?入院生活はどうなる?

濃厚接触を避けながら、医療機関までどうやっていくのか。入院や隔離生活中、人の手に頼らず、1人で生活できるのか。不安がつきないといいます。

桂福点さん
「あらためてたいへんな状況になっていますね。ほんまたいへんなことですよ。えらいことですな。世間が濃厚接触あかんていってるので、人との関係をたちきる、たちゆかなくなる。」

工夫をしながら、ガイドヘルパーを派遣する福祉事務所もあるが…

視覚障害者の抱える不安をどう取り除けばいいのか。視覚障害者の買い物などに付きそう、ガイドヘルパーを派遣する、福祉事業所です。
多くの事業所が感染リスクを避けるため活動を自粛する中、ここは、感染が疑われる視覚障害者の通院もサポートする予定です。担当者はガイドのあと2週間、自宅待機し、発症しないことを確実にするなど感染拡大防止を徹底しています。
代表の鈴木貴達(すずき・たかみち)さんは万全の対応ではないが、当面は現場の工夫で乗り切るしかないといいます。

鈴木貴達さん
「通院にいけないと(利用者が)困るというか待っている時間はない。事業所ができるレベルで対策をしなくては。」

入院生活に役立つアプリもあるけれど…

こうした中、人気のサービスもあらわれました。全盲で、視覚障害者向けの出張のスマートフォン教室を主宰する、井上直也(いのうえ・なおや)さん。入院や隔離生活中に役立つアプリがあるといいます。
例えば、体温計の表示を知りたい場合、スマホのビデオ通話を使って画像を読みとり、応答した相手に、答えてもらいます。視覚障害者がアプリを使って支援を求めると登録されたボランティアに通知がいきビデオ通話を使って手助けする仕組みです。
世界に370万人のボランティアがいて、いつでも無料で利用できます。
手軽さが売りですが、普段からスマホの使い方に慣れておくことが必要だといいます。

井上直也さん
「高齢者の方はハードルが高いということがあるが、他人から遠隔で目を借りるというのは、困った時に使う手段にはなっていくと思う。」

視覚障害者団体の国への要望

全体としては、支援はまだ足りていません。視覚障害者の団体は、国に対して、感染の疑いが生じた場合の医療機関へ移送などの支援を要望していますが、この日の段階で国から、明確な対策はまだ打ち出されていません。視覚障害者の不安を和らげる具体的な対策がいま、求められています。

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