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2020年5月18日(月)

困窮する“ひとり親家庭” 子どもへの支援

新型コロナウイルスの影響で休校や休業が長引く中、「ひとり親家庭」など、収入が低い家庭が厳しい状況に追い込まれています。ある団体の調査では、シングルマザーの9割が、解雇や収入の減少などによって経済的な影響を受けていることが分かりました。生活が苦しい家庭の子どもへの影響を最小限に食い止めるための支援が始まっています。

“ひとり親家庭”の子ども 自宅学習・居場所を支援

先月(4月)から、関東や東北で子どもの貧困問題に取り組むNPOが、子どもたちにオンラインで学習を教える取り組みを始めました。この団体ではこれまで、経済的に苦しいひとり親などの家庭の子どもたち、およそ2,000人を対象に、無料の学習会を毎週行ってきましたが、新型コロナウイルスの影響で、3月からすべて中止になりました。
そこで、親が不在の中、家にひとりでいることが多くなった子どもが、自宅学習に遅れることがないようオンラインでの支援を始めたのです。

この日、ボランティアの男性から勉強を教わっていた中学3年の女子生徒は、3人兄弟で、母親がパートで働いて生計を立てています。経済的に苦しく、受験を控えているものの塾に通うことができないと言います。休校中に出された宿題や、ボランティアが作った課題などを、週1回、マンツーマンで40分間教わります。

ボランティアの男性
「X+2=-1 X=いくつ?」

中学生
「X=1。いや違う違う、-3。」

ボランティアの男性
「よしよし!よかった。やったじゃん。」

中学3年の女子生徒
「すごく分かりやすかったです。(大人数だと)自分から分からないところを聞くのが恥ずかしいので、こういうところだったら結構話せる。」

NPOでは、パソコンを持っていない子どもには、タブレットを無償で貸し出しています。
またLINEでも、子どもたちの疑問に答えます。宿題で分からなかったところを写真で送ってもらい、スタッフが解説付きで回答。子どもたちが使い慣れたツールを活用して学習への意欲がなくならないよう支援します。

NPO法人キッズドア 東操さん
「保護者は学習の遅れとか、こういう環境で格差が開いていく心配があると思うので、大丈夫、それはサポートしますよっていうところの保護者も孤立しない子どもも孤立しないってところでつながっているというところを大事にしたい。」

この団体では、勉強を教えるだけでなく、“居場所作り”にも取り組んでいます。それが、週1回、1時間にわたってふだんの生活ぶりを聞く“おしゃべり会”です。友達や学校の先生と話す機会がない子どもたちに、自由に話してもらい、ストレス発散の場にしているのです。

スタッフ
「きょう、お話できてどうでした?」

子ども
「うれしい。めっちゃ話したかった。」

全国、およそ140万世帯のひとり親家庭。あるNPOが行ったアンケート調査では、新型コロナウイルスの影響で、半数以上のおよそ54%が「収入が減る」もしくは「収入がなくなる」と回答し、生活がより厳しさを増している実態が浮き彫りになっています。こうした影響からできる限り子どもを守ろうと、この団体では企業の寄付を受け、ノートなどの文房具やクオカードを1万人に無償で提供するプロジェクトを開始しました。

さらに、今月(5月)から一部の地域では、食事に困っている家庭に弁当を届ける取り組みも始めました。

中学生の娘
「お弁当もおいしくて“ストレス発散していいからね”って言ってお弁当くれたりするので、すごいいい対応だなって思う。」

母親
「こういう困難な中、行動してくれる方が身近にいることだけでも私も頑張らないと、私もがんばろうとか…本当に間接的に力をもらっている。」

NPOキッズドア理事長 渡辺由美子さん
「孤立しやすい方たち。自分たちで頑張ってどうにかしようと、なかなか助けを求めたりとかそういうことをなさらない方たちなんですが、見えない間に問題が重篤化してしまうとかそういうことにつながってしまうので。とにかくつながり続けることを1番大事にしている。」

“ひとり親家庭”への支援 寄付は?公的支援は?

こうした家庭を支援するため、タレントの小島慶子さんなどが発起人となり、VTRで紹介した団体なども参加する寄付のプロジェクトが始まりました。ホームページで、ひとり親の家庭や、DVや虐待で住む場所を失った女性を支援する団体などが紹介され、一律に給付される10万円の、ひとつの使い道にしてもらえればと寄付を呼びかけています。
さらに公的支援では、第2次補正予算案のなかで、自民党はひとり親世帯を支援するため、児童扶養手当の増額も検討していて、今週、政府に提言することにしています。一方、野党5党は、事実上、児童扶養手当を倍以上にする法案を先週、国会に提出しています。(5月18日現在)

取材した支援団体によると、こうした支援でまず大事なのが「公的な支援」で、その上で足りない部分を民間がサポートするという、「両輪」が必要だと話していました。今、団体には「生後3か月の子どものミルク代がない」という命に関わる切実な相談も寄せられています。支援の手は届き切っていないのが実情で、一刻も早い対応が求められると感じました。

取材:田中ふみディレクター(おはよう日本)

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