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2020年5月20日(水)

長引く休校で学習の遅れが… 進まないオンライン授業導入

緊急事態宣言が継続されている地域では、小学校、中学校、高校などの休校が続き、学習の遅れや地域間での教育格差を心配する声が高まっています。休校中の授業を補うものとして期待されているのが、「オンライン授業」です。
しかし、文部科学省が4月に公表した調査によると、パソコンなどの端末を使い、対面でのオンライン指導に取り組んでいる自治体はわずか5%しかありません。
休校が続く現状と、オンライン授業を取り入れて学校を再開した青森市の中学校の事例から、オンライン授業導入のヒントを探ります。

<この記事のポイント>
◆休校が続く地域では、子どもの学習が遅れることに保護者たちが焦りを募らせています。
◆オンライン授業導入が進まない理由は「子ども一人一人に端末がない」など専門家が指摘。
◆オンライン授業を活用できるかどうかが、感染防止と学びを両立させるカギとなります。

オンライン学習を望む保護者たち

東京都武蔵野市に住む保護者の有志グループは、市長にオンライン学習の導入を要望しました。このグループが、保護者を対象に行ったアンケートでは、回答した1,500人あまりのうち、96%がオンライン学習導入に賛成と答えました。

休校中の子どもたちの学びの場を提供するNPOの危機感

一斉休校が始まった3月から、オンラインでの学習支援に乗り出したNPO「カタリバ」。休校中の子どもたちを対象に、「カタリバオンライン」という学びの場を無償で提供しています。平日に開かれる朝の会、帰りの会に参加できるほか、宿題の指導を受けたり、英会話や折り紙教室などを体験したりすることができ、これまでに1,800人が利用しています。また、経済的な理由でインターネット環境が整備できない家庭に無償でパソコンや通信機器を貸与していて、40人以上が申し込んでいます。しかし、学校の役割を担うことまではできないとNPOスタッフの戸田寛明さんは考えています。

オンライン授業を導入すると教育の公平性が担保できない?

学校教育への情報通信技術(ICT)の活用に詳しい堀田龍也さん(東北大学大学院教授)は、パソコンやタブレット端末が家庭にないケースがあることなどが、オンライン授業導入を阻んでいると指摘しています。また、端末があったとしても子ども専用ではないことが多く、その結果、自治体が教育の公平性を担保する手段がないと判断し、導入に踏み切れていないのではないかと話しています。

オンライン授業導入で 感染防止と学びの両立を

青森市立浦町中学校は、今月(5月)11日に再開しました。感染リスクを抑えるための工夫は、1年生と3年生の登校日と2年生の登校日を1日おきにする分散登校と、1つのクラスを2つのグループに分けて、教室内の人数を減らす複式のクラス形式を導入しました。生徒たちからも密が防げるなど好意的な意見がありました。

分散登校では生徒が1日おきにしか登校しないため、授業数の減少が心配されていました。そこで、休校中から実施していたオンライン授業を学校再開後も続けています。生徒とのコミュニケーションを円滑にするため、質問の答えを書くボードを用意するなどの工夫をしています。

中学校では、オンライン授業を始める前に、家庭にオンライン授業を受ける環境があるか、ないかを調査。全体の6%の生徒が受け入れられないことが分かりました。それらの生徒には、空いている教室に登校してもらい、そこでスクリーンに投影した授業を受けてもらっています。校長の石岡篤実さんは、オンライン授業や複式のクラス形式などの工夫で、学習の遅れを取り戻しつつあるので、課題を克服しながら、子どもたちに良い授業を配信していきたいと話していました。
堀田龍也さん(東北大学大学院)は「これから学校は分散登校をしながら再開していくと思う。感染拡大の第2波、第3波も考えられるなか、学校で授業を受ける以外の手段も準備していく必要があります。オンラインで学ぶ方法と、生徒たちが集まって、いろんな意見を交換して学ぶ学校での学び方の2つを同時に行っていく時代になっていく」と話しています。

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