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2020年5月23日(土)

新型コロナで人気の“金融サービス” 裏でトラブル増加

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、倒産した企業は21日の段階で170社を超え、増加の一途をたどっています。こうしたなか、資金繰りに困った中小企業の間である新たな資金調達のサービスの利用が急増してます。すぐに現金が手に入ることが売りですが、一方でトラブルも増えているようです。その裏側を取材しました。

注目を集める新たな資金調達「ファクタリング」

新たなサービスを申し込んだのは、都内で清掃会社を経営している男性です。感染拡大に伴い、清掃の依頼は激減し、売り上げは大幅に減少。従業員の給料を支払うために、一刻も早い資金の調達が必要でした。
男性が利用しているのは「ファクタリング」と呼ばれるサービスです。

ファクタリングとは、企業がサービスを提供することで、将来発生する売り上げを債権としてファクタリング業者に譲渡し、そこから手数料を引いた金額をいち早く手に入れることができるサービスです。

例えば男性の場合、清掃サービスを提供することで、将来見込まれる売り上げである200万円分の債権をファクタリング業者に譲渡。すると男性は手数料の0.25%の5,000円を差し引いた、199.5万円をすぐに手に入れることができるのです。
政府の支援金や、金融機関による融資は受け取るまでに時間がかかり、給料日に間に合わせるにはファクタリングに頼るしかなかったと言います。

男性
「銀行の融資に時間がかかるので、融資が出るまでの間ファクタリングでつなぐのもいいかなと思って利用をしました。融資できるまで3~4か月かかると言われましたが、先に従業員に給料を払わなくちゃいけないので、資金繰りが大変です。ファクタリングでお金が手に入って、ありがたいです。ほっとしています。」

男性が利用したファクタリングを行う会社には、現在資金繰りに困った中小企業からの申し込みが殺到しています。3月に比べ、4月の利用者は1.5倍にも増えました。

イー・ギャランティ 鹿野修司さん
「コロナウイルスの影響で資金繰りが苦しい会社が増えていますので、そういった中で債権買い取りのサービス(ファクタリング)を拡充していきたいと思っています。」

ファクタリングを装い…忍び寄る新手の“ヤミ金”

SNS上にも「借りない資金調達」など、ファクタリングをPRする広告があふれています。しかし中には、ファクタリングを装って高額な手数料を取る悪質な業者が出てきています。

高額な手数料を業者から求められたという男性に話を聞くことができました。運送会社を経営する後藤さん。きっかけは3年前、『即日融資』をうたうFAXが突然届いたことです。後藤さんは「そんなうまい話があるはずがない」と思い、最初は無視していました。しかし急に資金が必要になり、FAXに書いてあった番号に連絡をしました。

後藤さんがファクタリング業者から提示されたのは、配送料として受け取る予定の70万円の債権を渡すことで、手数料15%を引いた60万円を受け取る契約です。通常は債権を持っているファクタリング会社が、取り引き先から代金を回収します。しかしこの契約では、後藤さん自身が70万円を回収し、支払うことになっていました。手数料を年利換算すると339%。法律で定められた年利上限20%を大きく上回る額でした。
金融庁は高額な手数料を取ったり、自分で代金を回収したりするケースなどは、「ファクタリングを装ったヤミ金」の可能性が高いと見ています。
過去の借金の返済が終わっておらず、他の機関から借りることができなかった後藤さん。手数料は、利用を重ねるうちに段々と下がると説明を受け、契約を決意しました。しかし手数料は、年利にして500%を超えることもありました。

高額な手数料を支払うことで、運転資金が足りなくなり、別の債権の売却を重ねます。A社では「これ以上債権を買い取れない」と言われ、別のファクタリング会社2社とも契約します。いわゆる“借金が雪だるま式に膨らむ状態”に追い込まれました。
後藤さんは当時の状況について、「本当不安でしたよ。常に支払いのことが頭から抜けなかったですから。独身だったら本当にもうどこかに逃げるとか。最悪自殺するとか。多分そこまで行ったと思います」と語ります。

ファクタリング業者の主張は…

お金の貸し借りの場合、出資法で年利の上限が20%と定められています。しかし多くのファクタリング業者が設定している手数料は、年利に換算した場合、その上限をはるかに超えているのです。
複数の業者に話を聞いたところ、「あくまでファクタリングであり、貸し付けではない。手数料を規制する法律は存在しないので、問題はないと認識している」と一様に話します。また「他の金融機関から借りることができない人たちが、最後の手段としてファクタリングを利用している。必要とされているサービスだと考えている」と回答しました。

動き出す全国の弁護士

新型コロナウイルスの影響で悪質な業者が増えるのではないか。今週、全国50人以上の弁護士が対策について話しあいました。

会議では手数料を規制するルールがなく業者を取り締まりにくいことが議論になりました。

東京ファクタリング被害対策弁護団の代表、釜井英法弁護士は、「ファクタリングが具体的にどんなものなのか、ガイドラインを作ることが一番手っとり早いと思う。将来的には法律の中で明確に記載することなどが必要になってくる」と話します。

金融庁も注意喚起

金融庁は、以下の点が当てはまる場合は、「ファクタリングを装った違法な貸し付け」の可能性が高いとして、注意喚起をしています。
・手数料が高額であること
・実質的には現金のやり取りになっていること
・取引先が倒産した場合も支払いを求められること
こうした事案についての相談は、金融庁などが受け付けています。

金融庁 金融サービス利用者相談室 電話番号0570-016811

取材の中では、「業績が悪くなくても手持ちの資金がなくなってしまい、ファクタリングしか資金調達の方法がない」という声も多く聞かれました。政府や金融機関には、ルールの整備とともに、資金繰りに困った企業が、悪質なファクタリング業者に手を出す必要がないよう、一層の支援をしていくことが求められていると感じました。

取材:平瀬梨里子ディレクター
   加藤麗ディレクター

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