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2020年5月25日(月)

新型コロナによる困窮学生 支援は十分か?

5月22日、横浜市の福祉協議会が、ひとり暮らしの学生を対象に、米やレトルト食品などを配布する支援を行いました。170人の学生が集まり、そのうち多くがアルバイト収入が減少し、満足に食事が取れない状況に陥っていました。


食料支援を受けに来た学生
「アルバイト先も営業再開の目処が立ってないので、収入も先月ゼロです。」
「給料がなくてご飯が食べたいなと思って来ました。」
「学費自分で払っているので、学費が払えません。」

学生団体が全国1,200人の学生に対して4月に行った調査では、「アルバイトの収入がゼロになった」または「減った」と回答した人が7割を越え、5人に1人が退学を検討している実態が浮かび上がってきました。

“学生支援緊急給付金”の要件は?

こうした状況を受けて、5月19日、政府が支援策「学生支援緊急給付金」を決定しました。
アルバイト収入が大幅に減少し、修学の継続が困難になっている学生に対して10万円、このうち、住民税非課税世帯の学生には20万円を給付します。

日本人の学生については、支援を受けるために「6つの要件」が出されており、これらの要件を「すべて」満たすことが求められています。
しかし多くの学生から、自分はこの基準に該当しないのではないかと不安の声が上がっています。

基準に該当しない?!学生たちからの不安の声

都内の私立大学に通う、4年生の大熊剛志さんは「給付金がもらえないのではないか」と懸念しています。母子家庭で育った大熊さんは、大学の授業料は奨学金で払い、仕送りをもらわずに毎月10万円ほどの収入を飲食店のアルバイトで得てきました。
しかし、4月に13回入るはずだったアルバイトは、店の休業などでわずか3回に減少。5月はまだ1度も働けていません。

取材をした5月22日。4月分のアルバイト代が入った直後だったのにも関わらず、所持金は全財産の1万9,000円。このお金で、これから1か月間は過ごさなければならないため、現在、満足な食事もできていないと言います。

大熊さん
「お米2合炊いて薄いお茶漬けをずっと食べていました。おかずは本当に食べてないです。やばいですよね、もうどうやって暮らすのか自分でも分からないです。」

そんな中で、19日に発表された政府の給付金。6つの要件のうち、5つは満たしていましたが、1つの要件に該当しないのではないかと不安を覚えたといいます。
それは「両親のいずれかの収入減少等により家庭からの追加的支援が期待できない」という項目でした。
障害者福祉の仕事をしている大熊さんの母親は、今回のウイルスによって収入が減少するなどの経済的な影響は受けていません。しかし、年収300万円での厳しい暮らしをしており、母親からの支援を受けることはできないのです。

大熊さん
「苦しいだけじゃなくてどうやって生活したらいいのか分からない。僕と同じパターンの人が何人もいると思うので、もうちょっと基準を緩めてほしいし、対象を広げてほしい。」

給付金を受けるための6つの要件のうち、「自宅から通学している」ことで対象から漏れるのではないかと危惧している人もいます。
名古屋市内の私立大学に通う4年生の辻さんは、自宅がある三重県伊勢市から、片道2時間半以上かけて通学しています。
高校生と中学生の兄弟がいるため、極力、親には頼らず、家電量販店などでアルバイトをして、1か月7万円ほどを稼いできました。
年間120万円の学費の半分は奨学金に頼り、もう半分を、親の支援と、自分のアルバイト代から捻出してきました。
しかし、緊急事態宣言で県をまたいでの移動ができなくなったことから、大学の近くにあるアルバイト先に通えなくなり、4月中旬以降は1日も働けていません。
給付の対象から漏れた場合、後期分の授業料を賄うためには卒業研究や、学校の課題に費やす時間を削って、アルバイトを増やさざるを得ないのではないかと感じています。

辻さん
「学費が払えるかという不安はあるので、卒業したいと思っていますが、本当にこのままずっとアルバイトができなかったらもっと学費のことも考えないといけない。」

学生等への支援 今後の判断は?

今回の給付金はどういった人たちが受け取ることができるのでしょうか?
今後は、各大学等に推薦枠が配分され、6つの要件を満たしているのか、どの学生を支給対象にするか、学校が審査を行います。
ただ、文科省は学校に対して「要件を考慮した上で、総合的に判断してほしい」としており、各学校で判断が分かれる可能性があります。
日本高等教育学会の小林雅之会長(桜美林大学・教授)は、詳しい支給条件など、学校側に対してさらなる説明が必要だと指摘します。

「どのような形で誰に給付するのかということについては十分な説明がない。そこを政府がきちんと説明するということが求められる。」

いま本当に苦しんでいる学生に必要な支援が届くよう、きめ細かい制度が求められています。

取材:阪野一真ディレクター

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