これまでの放送

2020年5月30日(土)

外出ためらう高齢者 孤立を防ぐには

新型コロナウイルスの影響でいまも外出をためらう高齢者。新潟県見附市などが行った調査によると、自粛前に比べて会話が減った人は62.8%にのぼり、その健康に懸念が広がっています。こうした中、高齢者とさまざまな形でコミュニケーションを結び、孤立を防ごうという取り組みが注目を集めています。

相次ぐ高齢者の健康 相談現場では…

高齢者の相談を受ける、東京都世田谷区の地域包括支援センターには、外出自粛に関する相談が相次いでいます。

80代男性からの相談
「体操教室が中止になり2か月。自宅の階段の上り下りに時間がかかるようになった。」

妻80代からの相談
「主人が、家の中に人が入ってほしくない一心で、ヘルパーさんもリハビリもお休みにしてしまった。私はもう、疲れています。」

さらに深刻なのは、こうした福祉の現場で、高齢者の体調の変化がつかみにくくなっていることです。職員がこの日訪ねたのは、80代の女性の家。心臓に持病があり、定期的に訪問しています。しかし、感染を恐れて顔を見せてはくれません。インターフォン越しに数分間、言葉を交わしました。センターでは、緊急事態宣言が解除されても、人と会うことをためらう高齢者が多いと感じています。

地域包括支援センター 大三島育徳会 竹中毅さん
「やっぱり心配です。本人にお会いして表情、手ぶり・身ぶり、姿勢、歩き方、歩幅、それが見られないのはもどかしいです。緊急事態宣言が解除になったとはいえ、私のまわりの高齢者は“慎重に、慎重に”と、“そんなにすぐに再開するほうが怖いわよね”と話しています。」

孤立防ぐ新しいコミュニケーション

こうしたなか、高齢者の孤立を防ぐ取り組みとして注目されているのが「ゲンキデスカチャレンジ」です。知り合いの高齢者に「元気ですか?」と電話やメールをし、その連絡をもらった人が、今度は別の人に電話をかけてみようと思うなどして、多くの人に参加してもらう中で、高齢者の孤立を解消するのが目的です。この1か月あまりで、のべ400人以上が参加しました。

荒木俊彦さん(72)は、電話を受けるだけではなく自らも積極的に電話をかけています。

荒木俊彦さん
「それぞれが前向きな気持ちになれる。多分それはコミュニケーションの力です。」

ゲンキデスカチャレンジの呼びかけをはじめた服部誠さんは、顔が見えなくても、少しの工夫でつながりを保つことはできると考えています。

ゲンキデスカチャレンジを主催する服部誠さん
「認知症の症状とかが進んでしまうのが一番心配になり、つながりを強くすれば、ひょっとしたら少しだけでも解決ができるのではないかと考えました。つながりにこだわりたいです。」

外国人×高齢者 孤立防ぐチャット

高齢者の孤立を防ぐため、外国人に高齢者の話し相手になってもらおうというのが、ベンチャー企業と東京大学が開発したオンラインチャットです。「日本語を勉強したい」という外国人およそ5,200人と、高齢者1,250人が登録しています。このときチャットを行ったのは、79歳の男性とインドネシアに住む女性です。4月以降、男性はほぼ毎日このチャットを利用し、これまでに8か国の人と知り合いになりました。

Withコロナ “新しいつながり方を”

ほかにも高齢者の健康状態を調べている新潟県見附市では、運動教室をオンラインで開催するという取り組みも行われています。老年医学の専門家は、高齢者の外出への不安は続くとした上で、新しいコミュニケーションの形が必要だと指摘しています。

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢機構長
「ご高齢の方は、どんな形でも人とつながる、人と会話し続けることが必要です。一人一人が感染予防の配慮をしつつひと工夫、ふた工夫した形でどう集えるのか。地域での集い方も、少し新しいステージに入らなければならないのではないでしょうか。」

Page Top