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2020年5月31日(日)

“シェア型レストラン”に活路を 飲食店の挑戦

「コロナとの共存」が必要となる中、飲食店では、どう収益を確保していくか、模索が続いています。その1つが、いわば“シェア型のレストラン”といえる新たな業態です。お店を貸したい飲食店と借り手が、マッチングサイトなどを利用してつながり、複数の店舗が、1つのちゅう房を共同で使いながら、料理を提供していくというものです。この“シェア型レストラン”に活路を見いだそうとする店の1つを取材しました。

<この記事のポイント>
◆複数の店舗が共同して1つのちゅう房を使う“シェア型レストラン”が各地で登場。
◆固定費用が少ないことや宅配代行サービスを使いやすいことから出店する飲食店が。
◆貸し手側、借り手側ともに、始めたいという声が相次ぎ、今後の広がりが注目されている。

新型コロナウイルスを機に5月から始まった“シェア型レストラン”

隅田川をのぞむ、東京、浅草にある飲食店です。まったく別の店の料理人が、それぞれの料理を1つの店舗で作るシェア型のレストランを営業しています。

5月31日現在、ここには、5つの店が入っていて、客は、それぞれの料理を店内で楽しめます。

この店の販売の主力となっているのが、デリバリーです。各店舗のメニューが一括して注文できるように、店全体で、宅配代行業者と契約しています。

また、入る店側にも多くのメリットがあります。初期費用が必要なく、売り上げから一定額をおさめる仕組みです。賃料もかからず運転資金が少なくて済むため、自分の店を閉めてこちらに切り替えた人も出ています。

出店者、貸し出し側、それぞれの事情

イタリアンレストランのシェフ、北浦仁さんは、店舗を休業にしたため、5月初め、ここで販売を始めました。

イタリアンレストランのシェフ 北浦仁さん
「出店を決めたのは、わらをもすがるみたいな感じでした。1円でも多くかせぎたいと思ったからです。」

北浦さんのお店は東京・池袋にあります。学生やサラリーマンが主な客層でしたが、オンライン授業やテレワークが定着し始めていて、北浦さんは、客足はすぐには戻らないとみています。また、店を再開しても感染対策で客席数をしぼっての営業になり、採算を取ることは難しくなると考えました。

さらに、デリバリー販売をすぐに始められることも理由の1つでした。

実は北浦さん、デリバリー販売を始めようとしましたが、大手の宅配代行サービスを利用しようとしたところ、申請が殺到していることもあり、すぐには始められないと言われたのです。

イタリアンレストランのシェフ 北浦仁さん
「オーダーできるようになるまでが2,3か月かかってしまうと言われた。イートインのお客さんが圧倒的に減った中で、シェア型レストランに入れば、今すぐ、デリバリーもできますとうかがったので、やろうということになりました。」

一方、シェア型レストランを経営する側にも苦しい事情がありました。

オーナーの坂めぐみさんは、もともと和食店を経営してきました。東京オリンピックでの外国人客の増加をねらって、去年(2019年)11月にオープンしたところ、新型コロナウイルスの感染が拡大し、外国人客がまったく来なくなりました。坂さんは、待っていても客足が戻らないと考え、業態を変えて、5月からシェア型レストランを始めることにしたのです。

シェア型キッチン経営 坂めぐみさん
「国内のお客様にも喜んでいただけるサービスを展開していく必要があると思いました。ほかの店舗にも入って頂くことによって新たな販路を構築していけるという狙いもありました。」

広がるか“シェア型キッチン”

このシェア型レストランの仕組みには、問い合わせが相次いでいて、それに応える動きが始まっています。この日、坂さんは浅草の近くにあるオーガニック料理のお店を訪ねました。

坂さんは、新たにシェア型レストランを始めたいというオーナーに店を出したいというシェフを紹介。この日は、オーナーにおすすめのメニューを試食してもらうことになりました。飲食店に苦しい状況が続く中、坂さんは、今後は、こうした人たちをつなげるビジネスも展開したいと考えています。

シェア型キッチン経営 坂めぐみさん
「新型コロナウイルスを機会に、1つの場所で1つの飲食店という形にこだわらず、お互いのシェフが助け合うことで、これからの時代にあった形の新しい飲食店のモデルになっていけるんじゃないかなと思っています。」

この新たにシェア型レストランを始めたいという店は、この1週間後に話がまとまり、5月31日に新たに開店しました。状況が刻一刻と変わる中で、こうしてスピード感を持って店を展開できることも、この仕組みの魅力と言えそうです。

取材:大久保宙美ディレクター

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