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2020年6月5日(金)

新型コロナで注目される“AI問診”

新型コロナウイルスの医療機関での院内感染が問題になる中、AI=人工知能による問診が注目され始めています。医師の役割の一部をAIが担う「AI問診」の今を取材しました。

人工知能が深掘り 広がる“AI問診”

去年(2019年)4月にAI問診を導入した都内のクリニックです。患者が専用のタブレット端末を使ってAIが症状に合わせて選んだ質問に答えていきます。AIが学習している論文は5万件以上。膨大なデータを駆使して最適な質問を選択していきます。

例えば「頭が痛い」という症状を選択すると、AIが「頭のどの部分が痛いか」「痛みはどれくらいか」など医師と同じように細かく質問を繰り返し、症状に対して深掘りをしていきます。およそ20問ほどの質問に患者が答え終わると、即座に医師のパソコンに問診内容が文章化されて転送。疑われる病名が順番に表示されます。医師は一からカルテを書く必要がなくなり作業時間が半減。負担が大きく軽減していると言います。

目黒みらい内科クリニック 太田啓介院長
「紙の問診票にはもう戻れないという感じがしますね。その分、患者さんと向き合ってお話する時間が確保しやすくなりました。」

感染の不安で“受診控え” AI問診で変化

もともと医師の負担軽減のために開発されたAI問診。しかし今、新型コロナウイルスへの感染を恐れて医療機関の受診を控えてきた人に変化をもたらし始めています。

この日、クリニックを訪れた女性が受付で見せたのはスマートフォン。実は5月からネット上で利用できるようになったAI問診を自宅で受けてから来院したのです。診察前の待ち時間が減るため、新型コロナウイルスの感染リスクが下がると考え、受診することを決めたと言います。

来院した女性
「コロナで病院に行きづらいっていうのがあって、でも家でAI問診をすれば待合スペースで待機している時間が短い。感染リスクも少なくなるし、それに対して安心はありますね。だいぶ大きいと思います。」

目黒みらい内科クリニック 太田啓介院長
「あらかじめAI問診を自宅で済ませていていただくことで、病院にいる時間を減らすことができる。その結果、本当は病院に来ていただいたほうがいい方の”受診控え”が減る。AI問診はとても大事なツールだと思っています。」

新型コロナ対策へ 改良進むAI問診

AI問診を開発した会社です。2年前にサービスを開始し、現在全国200か所以上の医療機関に導入しています。開発には複数の医師が関わり、日々改良を続けています。4月から急ピッチでAIに新型コロナウイルスの症状を新たに追加して進化させています。

さらに先月(5月)中旬には院内感染を防ぐためにシステムを改良。例えば、せきや発熱など新型コロナウイルスの症状、およそ10項目のいずれかに当てはまれば「感染の疑いがある」という警告文を医師の画面に表示することにしました。この会社では、AIを常に進化させることで新型コロナウイルスのような未知のウイルスにも迅速に対応できると考えています。

Ubie 柴山友貴さん
「現状でコロナの対応策というところで分かってきていることと言うのはもちろんあるかとは思うんですけれども、まだまだ100%分かりきっているわけではないので、その情報が公開されれば公開されるたびにわれわれもブラッシュアップをさせていただいて、よりAIの精度を高めていきたいと思っています。」

“ウィズコロナ”で高まるAI問診の可能性

AI問診に詳しい専門家は、“ウィズコロナ”の時代の医療のあり方を見直すために、AI問診は有効だと指摘しています。

日本医療政策機構理事 津川友介さん
「新型コロナウイルスの感染リスクがあるので、いかに病院に行かずに医療者のアドバイスを受けたりとか処方をもらったりするようになるかという医療提供のモデル自体が変わっているので、そこにAI問診は非常に相性が良いと。コロナによって改めて価値が高まっていると言ってもいいと思います。」

期待されるAI問診 その課題は?

ただ、課題もあります。法律上、診断は医師しか行えないため、医師が行うオンライン診療とは違ってAI問診だけで病気を診断したり薬を処方したりすることはできません。また精度の問題もあります。AI問診を導入する医療機関はまだ全国で200あまりに限られています。患者の回答から得られる情報が多ければ多いほどAIの精度は上がります。そのためにもより多くの医療機関でAI問診の導入が進むことが必要になると言うことです。

取材:平瀬梨里子ディレクター

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