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2020年6月12日(金)

“新しい生活様式” 手話の新たな可能性

新型コロナウイルスの会見などで手話通訳の映像を見る機会が増えています。手話は、聴覚障害者のための言葉と思っている人も多いかもしれませんが、実はいま、新しい生活様式が模索される中でこれまでと違う可能性が見いだされ始めています。

ベリーダンス教室で手話!?

6月上旬に、2か月ぶりに教室でのレッスンが再開された千葉県内で開かれているベリーダンス教室です。全員がマスクを着用。距離を保ち、原則、先生以外は話をしません。音楽もかかっていて声が聞き取りにくい環境で先生が行っていたのが、手を左肩から右肩に動かす動き。「大丈夫?」という意味の手話です。生徒も手話で応えます。この教室では声が聞き取りにくくなることを補うため、手話を取り入れていました。

インストラクター Luiさん
「生徒の皆さんに大丈夫か確認したくて、マスクで口が塞がれているので手話で聞いてみました。」

手話を使うようになったのは、生徒の1人、西澤めぐみさんが勧めたことがきっかけでした。

西澤めぐみさん
「手話はただ単純に『わかります』ではなくて、『自信のないわかります』とか、『すごく自信があります』ということが1発で分かることがすごく便利です。」

西澤さんが手話と出会ったのは5年前。友人が作った「井戸端手話の会」に誘われたからでした。

見いだされる 手話の新たな可能性

この日、井戸端手話の会の皆さんは3密を避けるため公園に集って近況報告をしていました。今では何気ない会話も手話で行うみなさん。例えば、数十メートル離れていても簡単な会話であれば伝わります。また、在宅勤務でオンライン会議をしている夫と手話で意思の疎通をはかるようになったメンバーもいます。

夫 高英泰さん
「在宅になって僕が家で仕事をしていても、彼女が手話をやっていたことで僕もハッピーです。」

大西紀子さん
「いろんなものを試した中で手話がとても伝わりやすくて。私の持っているものの中の1つが生かされました。」

若い世代 オンラインで手話活用

さらに今、若い世代の間でオンラインで手話を活用する動きが出てきています。去年(2019年)10月に結成された大阪大学の手話サークル「Flono」です。聴覚に障害のある大川公佳さんとその友人30人で活動しています。

コロナの影響でオンラインでの活動が続く中、耳の聞こえるメンバーが改めて手話の有用性に気付いたと言います。

大阪大学手話サークルFlono 井元遥花さん
「オンラインだと小声では聞こえないし、でも声を挟んでしまうと会議の邪魔をしてしまったりとか、話を途切れさせてしまったりするので手話はスムーズに物事を伝えられると思っています。」

コロナで大変なこんなときだからこそ手話をつかってもらいたいとメンバーたちはオンラインで使える手話の映像をSNSで配信。ほかのサークルの友人たちにも呼びかけて、オンラインでの手話の活用を勧めています。

大阪大学手話サークルFlono 松居ひなさん
「今まで手話は、ろう者のものと限られた中でしか使われてこなかったことばですけど、それが本当に誰でも年齢も性別も分け隔てなく使えるようになったら便利だと思います。」

サークルの代表で聴覚に障害のある大川さんは、ウィズコロナの時代に手話の可能性が広がることを期待しています。

大阪大学手話サークルFlono代表 大川公佳さん
「こういう普通とは違うことが起こったときこそ、当たり前の考え方が変わるきっかけでもあると思います。手話の考え方というものが変わっていくきっかけになるんじゃないかと思っています。」

新しい生活様式が求められる今、コミュニケーションの1つとして手話を少しずつでも覚えてもらえると、聴覚に障害がある人とない人のお互いの理解がより深まっていくのではないかと思います。

取材:後藤佑季(NHKパラリンピック放送リポーター)

後藤リポーターが紹介する「オンラインで役立つ手話動画」はこちら

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