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2020年6月19日(金)

コロナ禍で困窮も 海外の日本人の暮らし 実態明らかに

海外に暮らす日本人の生活への新型コロナウイルスの影響が、日本企業が行った調査で初めて明らかになりました。収入が全くなくなり、日々の暮らしに困窮する人も出てきています。

日本人観光客途絶え収入失った ナイアガラの滝のガイド

アメリカとカナダの国境にある世界的な観光名所、ナイアガラの滝。斎藤真奈さんは、カナダ側で26年にわたって日本人向けに観光ガイドを続けてきました。 しかし、感染が広がった3月中旬、カナダ政府は外国人の入国を原則禁じ、日本からの観光客が途絶え、斎藤さんは生活の糧を失いました。
現在は、カナダ政府から日本円にして月16万円ほどの「緊急給付金」を受け取っていますが、いつ打ち切りとなるかは分からず、先行きを見通すことができません。

斎藤真奈さん
「私たちは日本のお客様がいらしていただかないことには仕事になりません。(カナダ政府の)給付金があるので食べるものに困ることはないのですが、みんな先行きが見えないのが一番不安なのだと思います。」

在外邦人コロナ禍調査 4分の1が収入半分以上減、窮状訴える声も

海外に住む日本人の生活が新型コロナウイルスによって脅かされている実態が、今回、旅行者と現地の日本人をつないでガイドの仕事を提供する「ロコタビ」が行った調査で初めて明らかになりました。

6月上旬に行った調査で、94の国・地域の計2,155人の回答者のうち、ほぼ半数の49.1%が収入が減ったと回答。収入が5割以上減ったと答えた人が24%に上りました。調査には、「収入が全くなく、食事代にも困っている」、「生活保護を受けることは必至」などと窮状を訴える切実な声が寄せられました。

在外邦人に届かない 現金10万円一律給付

しかし、海外に長期滞在する日本人に、政府の現金10万円の一律給付は届かない構図となっています。政府が給付の対象としているのは、ことし(2020年)4月27日時点の住民基本台帳に記載された人です。

しかし、長期で渡航する際に義務づけられている転出届を提出すると、住民基本台帳から外れるため、給付の対象とはなっていないのです。

現地政府からも補償受けられず生活に苦しむ邦人も

さらに、今回の調査では、日本の給付のみならず、現地の政府からの補償も受けられていない人がアジアなどで多く、生活に苦しんでいる実態が浮かび上がってきました。

マレーシアの観光地に住む40代の女性は、外国人観光客向けにマリンスポーツのインストラクターをしている夫の収入がなくなりました。女性は菓子を作って地元の人向けに販売してきましたが、その売り上げも7割減少し、子どもを食べさせることもままならなくなり、現地で難民支援を行う団体に頼んで、米や卵を分けてもらったということです。女性は外国人ということでマレーシア政府の給付金からも対象外とされ、領事館や日本の国会議員に窮状を訴えましたが、支援には結びついていません。

マレーシアに住む女性
「自分は日本に住んでいないだけの日本人のつもりだったんですが、無視される存在なのかなと。日本人の扱いじゃなかったのかなと。」

貯金は残り18円 起業直後のコロナ禍で

蓄えを失い、厳しい生活を強いられている日本人もいます。
タイ東北部で暮らす男性は、現地で農業関連の事業を立ち上げましたが、感染拡大で売り上げがなくなりました。事業に資金をつぎ込んでいたため貯金がほどなく底をつき、口座の残高は5バーツあまり、日本円で18円ほどとなっています。男性は、現地で12年間働いて税金も納めてきましたが、タイ人の妻も含めてタイ政府の給付の対象とはなっていません。今は妻が友人などから借金をして厳しい生活を送っているということです。

タイ東北部に住む男性
「われわれは一種の棄民になるのかと思う。こういう人もいるのだと理解していただいて助けてほしいです。」

10万円給付 政府“邦人の情報把握できていない”

海外で暮らす日本人の数は、外務省の調査でおよそ139万人と推計されています。こうした日本人にも現金10万円を給付すべきという意見は与野党双方から出ていますが、政府は、現状では、すべての名前や住所などの情報を把握できていないとして、早期に給付を実現することは困難だとしています。私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス。支援の届きにくい海外に住む日本人への影響について、今後も取材を続けていきたいと思います。

取材:田村銀河記者(国際部)

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