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  3. 第3位 龍馬伝 -エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」-

エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」(「あなたの好きな大河ドラマ」投票結果より) 第3位 第49作 龍馬伝 2010年(平成22年)

エピソード1 新しい龍馬像

誰もが知っている幕末のヒーロー・坂本龍馬。しかし、「龍馬伝」では、これまでのイメージにとらわれない新たな龍馬像が誕生した。

迷いの龍馬

坂本龍馬といえば、“豪放らい落”“大胆な発想”“ずば抜けた行動力”といった形容詞がつきものだ。ところが「龍馬伝」に登場した龍馬は、そんなイメージとはだいぶかけ離れたものだった。まだ幼い龍馬(濱田龍臣)は学問も剣術も苦手、おまけに臆病で泣き虫といいところなし。成長してからの龍馬(福山雅治)も剣術の腕こそ上がるが、どこかぼう洋としていてつかみどころがない。

演じた福山雅治さんが「周囲を引っ張っていくような強い人のイメージがあったけれど、むしろ“柔”の人。見聞きしたことや出来事をいったんスポイトのように全部吸収して、そのうえで自分なりの答えをじっくり絞り出していく感じです」と話したように、第1部の龍馬は目指すものは見つからないけれど、ひょっとしたら計り知れないほど大きな男かもしれないと思わせる空気を漂わせていた。

弥太郎の目線

新たな龍馬像というコンセプトから見いだした切り口、それが岩崎弥太郎(香川照之)の目線から描く龍馬だった。弥太郎は龍馬と同じく土佐藩の下士の生まれだが、元は商家で裕福な龍馬と違い赤貧洗うがごとし。神童の誉れ高い秀才だが龍馬に嫉妬しながらも憧れ、ひかれながらも反発していく。

そんな弥太郎をストーリーテラーとも言うべき存在として登場させた。モーツァルトとサリエリではないけれど、弥太郎の妬みにはまるで気づかない龍馬。それがまた弥太郎をくやしがらせることになる。 三菱の創始者として大成功した弥太郎が、過去を振り返り、龍馬の思い出を語るという斬新な手法で龍馬の生涯を鮮やかに浮かび上がらせた。

母からのメッセージ

龍馬と姉の乙女(寺島しのぶ)が強い絆で結ばれていたことは、残された手紙などでも明らかだ。また、これまでの龍馬を描いた作品にも必ずといっていいほど乙女は登場してきた。しかし今回、幼い龍馬の胸に強く刻み込まれる存在として、大きくクローズアップされたのが母・幸(草刈民代)だ。病弱ながら常に龍馬に愛情を注ぎ、優しく見守っていた母。しかし、龍馬を救うために病床から飛び出し、捨て身で命乞いをしたことがきっかけで母は帰らぬ人となる。龍馬は、上士と下士という理不尽な身分制度のなか、母・幸が自分を守ろうとした思いを問いかけながら生きていく。