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  3. 第1位 義経 -エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」-

エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」(「あなたの好きな大河ドラマ」投票結果より) 第1位 第44作 義経 2005年(平成17年)

エピソード1 スーパーヒーロー・義経

数々の名采配、勇気あふれる戦いぶりなど、戦の天才として知られる源義経。ドラマでは、そんなスーパーヒーロー・義経の活躍を鮮やかに描き出した。

桜吹雪に消えた五条大橋

義経(滝沢秀明)と武蔵坊弁慶(松平健)が運命の出会いを遂げる「五条の大橋」。古来から絵本や舞台で描かれてきた有名な場面だ。ドラマでは、歌舞伎的な手法にファンタジーの要素をプラスして幻想的な場面を作り出した。

日本的な美しさの象徴である桜と月明かりのもと、戦いを繰り広げる義経と弁慶。ところがある瞬間、義経の姿が桜の花びらの中に消えてしまう。鞍馬で修行した成果を見せる場面で、「ここと思えばまたあちら」という絵本の世界を見事に再現した。

スタジオに作られた全長約33メートル、幅約4.5メートル、高さ約5.5メートルという巨大な橋のセット。その両端に配された桜の大樹、そして大量の花びら……。そこで披露した滝沢秀明さんの殺陣(たて)やワイヤーアクションを、演出の黛りんたろうディレクターは「たおやかでいながら不思議な身のこなし」と評した。滝沢さんの運動神経がリアルで優雅な立ち回りを実現させた。

鵯越(ひよどりごえ)の坂落とし

戦の天才・義経の名を天下にとどろかせたのが、源平合戦の第一章ともいえる一の谷の戦いだ。鵯越の坂落としでは、義経の特別な才能と直感、身体能力がいやがうえにも発揮されている。

ドラマでは、義経が鵯越を決断した瞬間に一頭の白馬を登場させた。天の啓示が降りてきたかのようなイメージを白馬に託すことで、義経の天才的なひらめきを映像で表現してみせたのだ。

坂を駆け下りたあとの義経の戦いぶりも、重要なポイントだった。記録では義経は馬上で戦ったとされている。しかし、それでは動きが制約されてしまうため、ドラマではあえて途中から馬を下りて戦うことにした。襲いかかってくる敵を右に左に切り倒すという10人斬りのような激しい立ち回り。それを当時NHKに1台しかなかった最新型のスローモーションカメラを使って撮影した。

金粉きらめく八艘(はっそう)跳び

スーパーヒーロー・義経最大の見せ場が、源平合戦の最終章となる壇ノ浦の戦いだ。平家の総大将・平知盛(阿部寛)との一騎打ちでは、斬りかかる知盛の襲撃を身軽な動きで交わす八艘跳びが有名だ。しかし、八艘跳びだけでは敏捷さばかりが強調されることになり、英雄譚(たん)としては物足りない。そこでドラマでは、義経と知盛が壮絶な戦いを繰り広げた果てに、超人的な八艘跳びで義経が知盛を翻弄するという描き方にした。

この一騎打ちの場面を彩ったのが金粉だ。戦いの最中、知盛の刀が砂金袋を切り裂いたという設定。大量の砂金が空中に飛散。鎧(よろい)についた金粉をキラキラと光らせながら、義経が船から船へ跳び移るという華やかな映像。まさに、「この世のものならざる超常的なもの」を感じさせた。

八艘跳びシーンの撮影はNHKの屋上で行われた。高い足場の上にトランポリンを設置し、重さ約20キロもの鎧兜(よろいかぶと)を着けた滝沢さんがジャンプしながら跳び降りる様子をスローモーションカメラで撮影した。