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  3. 第1位 義経 -エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」-

エピソードで振り返る! 人気大河「ベスト10」(「あなたの好きな大河ドラマ」投票結果より) 第1位 第44作 義経 2005年(平成17年)

エピソード4 熱く切ない人間ドラマ

多くの伝説に包まれ、波乱に満ちた義経の生涯。「義経」では、それらを血の通う生き生きとした人間ドラマとして描いていった。

清盛への思い、頼朝との確執

「義経」で強い印象を残したのが、義経と平清盛(渡哲也)の関係だった。幼いころ清盛を父と慕った義経が、やがて奥州へ行くことを決意。都を離れる前に清盛との再会を望み、三十三間堂で実現させたという設定。「私は平家、そなたは源氏。それだけは決して忘れるな」と告げた清盛。その言葉にうつむいた義経が「清盛様」と声をかけたときにはすでに姿が消えていた。ドラマ上のフィクションだが、厳しさを前面に出した演出がむしろリアリティーを感じさせ、切ない再会と別れとなった。

一方、実の兄でありながら義経を疎んじる源頼朝。頼朝役の中井貴一さんは、苦難の流人時代を送ったことが頼朝の人間形成に大きな影響を与えたと理解。冷徹さや身内に対する厳しさもそこから培われたものではないかと話し、心の奥底では弟を滅ぼしたくないという苦悩が絶えずあった、と信じて演じたという。

他人でありながら強い絆を感じた清盛、兄弟ゆえに複雑な心情が絡み合う頼朝。それぞれの人間関係が、義経の魅力と悲劇を際立たせた。

義経主従の強い絆

義経と郎党たちとの強い絆もていねいに描かれていった。弁慶をはじめ、山賊や海賊が混じった郎党たちのにぎやかなこと。主従のやりとりの楽しさ、畑仕事や宴の席で繰り広げられる歌も話題となった。

頼朝に追われ、追い詰められていけばいくほど結束が強まる主従。一本気で義経に惚(ほ)れ込んだ男・弁慶、常に明るさを忘れない伊勢三郎(南原清隆)、素朴で飾り気のない駿河次郎(うじきつよし)、物静かで誠実な喜三太(伊藤淳史)、武勇に秀でた佐藤継信(宮内敦士)・忠信(海東健)兄弟。義経の逃避行に同行はできなかったけれど、幼なじみで義経を慕っていたうつぼ(上戸彩)。個性豊かな面々が顔をそろえ、収録が進むごとに、演じる役者同士の間に義経主従に負けないほどの強い絆が生まれていった。

滝沢さんは「長丁場の撮影に、正直、逃げたいと思った時期もありましたが、役と同じで郎党役のみんながすごく支えてくれました」と、試練やプレッシャーを乗り越えることができたことを感謝していた。

“光”になった義経

魅力的な人間ドラマを描いてきた「義経」。最期もやはり義経主従の戦いぶりをクローズアップするという、これまでの作品ではあまり見られなかった描き方でしめくくった。

地位も名誉も血縁もない人たちが集まり、疑似家族を形成していった郎党たち。彼らがそれぞれのキャラクターを全開にして戦い、そして死んでいく様子を描いたが、その死はあくまで明るいものだった。

季節は木々がいっせいに芽を吹き、花を咲かせる春先。「三度、生まれ変わっても変わらず主従」「新しき国でともに生きる」それが全員の思いであり、それを花の下で死を迎えるという演出で表現した。輪廻(りんね)に主従の最期を託したのだ。

もちろん有名な弁慶の立ち往生では、30本もの矢が弁慶の鎧に突き刺さるという迫力満点の場面を再現した。そして弁慶が身を挺(てい)して守った持仏堂の中では、義経が静かに自害。その直後、持仏堂の屋根から白く輝く光が噴き出し、義経が光となって天翔(か)けていくイメージで幕を閉じた。