トップ防災特集“ちょい足し”で揃える防災グッズ8選

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毎年9月1日は防災の日。「もしも」に備えての準備はしっかりできていますか?
用意しておきたい防災グッズから、家族と話し合っておきたいこと、備蓄を使ったおいしいレシピ、災害時に役立つ知識までご紹介します。

防災は「ちょい足し」から

備えあれば、憂いなし!頭ではわかってはいるものの、つい面倒だったり、揃えるモノが多すぎたりで、防災対策が後回しになっている人も多いのではないでしょうか?

たしかに、いつ起きるかわからない「もしも」のために数日分の防災グッズを揃えようとすると、リストアップするだけでも大変ですよね。なかには、一式揃えたのに、押し入れの奥に入れっぱなし・・・なんて人も少なくないはず。

そこで今回は、災害が起きたときに、自宅や避難先までの移動に最低限必要になるグッズを、気軽に、ちょい足しで揃える方法を考えてみましょう。

実は防災グッズを持っている?

阪神・淡路大震災を機に設立された防災研究機関「人と防災未来センター」では、非常時に備えるための減災グッズを、0次、1次、2次の3段階に分けて提唱しています。

  • 0次 自宅や避難所など安全な場所に移動するために、常に携帯したいもの。
  • 1次 非常時の持ち出し品。被災した1日を過ごすために必要なもの。
  • 2次 ライフラインが途絶えても、救助が来るまでの数日間を過ごすために必要なもの。

このなかで、今回、取り上げるのは「0次の備え」にリストアップされている次の21個。

0次の備え

こうして見るとたくさんあるように感じますが、実はいつもバッグに入っているものも多いと思いませんか? それがちょい足しで0次の備えができる理由です。

では、ふだん私たちが何を持っているのか、大森亘さん(42歳・会社勤務)と奥田泰子さん(51歳・主婦)のバッグを拝見して、調べてみましょう。

大森さんのバッグの中身。営業職で外回りが多いという大森さんは、業務に関する書類をのぞくと、ノートやメモが中心。

一方、銀座でショッピングを楽しんでいた奥田さんのバッグに入っていたのはこちら。

では、2人のバッグに何を追加すれば0次の備えになるのでしょうか?
今回のテーマはちょい足しで揃えることなので、代用・兼用できそうなものは省略して、買い足すものをチェックしていきましょう。

まず飲料水は大森さんのように持ち歩いている人も多いので問題なし。携帯食というと、アルファ米や乾パンを連想してしまいますが、0次の備えとしては奥田さんがバッグに忍ばせているお菓子でOK。

懐中電灯はケータイのフラッシュ機能で代用。連絡メモ・備えリストもケータイに登録しておけば大丈夫です。ハンカチ、ティッシュ、メモ帳とペン、常備薬などはふだん持ち歩いている人も多いですし、季節によってはマスクやカイロも持っていますよね。よって、これも問題なし。

こうして見ていくと、ふだん持ち歩いているものが意外と防災グッズとして役立つことがわかります。ですが、やっぱり足りないものもあります。それが次の8個!

まとめ:いつものバッグにちょい足ししたい防災グッズ8選

  • ホイッスル ホイッスルなんて必要?と馬鹿にしてはいけません。倒壊した建物やエレベーターなどに閉じ込められた際に、大きく生存率を左右します。また、残念なことに災害時は女性への性的被害が増えるとも言われており、そうした際の防犯にも役立ちます。
  • 携帯ラジオ 最近はスマホでラジオを聞くこともできますが、災害時にはデータ通信が使えなくなることも。コンパクトなものをバッグに入れておくか、ラジオ付きのデジタルオーディオプレーヤーもおすすめ。
  • 救急用品セット 災害が起きた際には医療品が不足しがちです。絆創膏やガーゼ、消毒薬などを携帯しておけば非常時以外も安心。女性なら、生理用品をガーゼや包帯がわりとしても使えることを覚えてきましょう。
  • 簡易トイレ 最低一つはバッグに入れておくのがベストですが、持ち歩きたくないという人は、ポリ袋と新聞紙で作る簡易トイレの方法をチェックしておきましょう。
  • 安全ピン タオルを留めて下着代わり・・・という意外すぎる使い方をはじめ、衣類を干したり、止血の仮留めとして使ったりできるほか、ペットボトルにピン先で穴を開けて、手を洗う時の節水などに役立てることも。かさばるものではないのでとりあえず入れておきましょう。
  • ポリ袋 新聞紙を入れて簡易トイレにしたり、ご飯や食材を入れて調理に使ったり、破いてシートにしたり、水を運んだりと、アイデア次第でいろんな使い方ができる優れもの。大・中・小のサイズ別に持っておきましょう。
  • 雨具 ポンチョや雨合羽など、両手をふさがないものがおすすめ。トイレや着替えの際の目隠しにも使えます。わざわざ持ち歩きたくない人は、大きめのポリ袋を頭からかぶって代用も可。
  • ふろしき 敷いたり羽織ったり、マスクや包帯代わりに使ったりと万能。大判のハンカチでもOK。

いきなり全部を用意しようとすると大変ですが、このように代用・兼用しながら、いつものバッグにちょい足しするだけなら、今日にでも揃えられそうですよね。

最後に、こうしたいつもの備えがどれほど大事なのか、東日本大震災で被災した昆野昭子さん(81)のコメントをご紹介しましょう。

昆野昭子さん
“ずっと何年も準備して、1年に1回、9月に避難訓練がある時、全部、中身を出して、下着とか靴下を干したり、その時に食べ物を取り替えたり。ふだんの心の準備、そういうのが私は大事だと思う”
証言は動画で見られます

先生のコメント

今村文彦(東北大学災害科学国際研究所所長)
非常時に携帯したい防災グッズを紹介しましたが、日常にあるものに少し足すだけでかなり対応できるのです。災害での対応を考える際に、日常と非日常を切り離すのではなく、延長として捉えることが大切です。
さて、災害時に命を守るためには迅速に避難することが不可欠ですが、防災グッズで段階分けをしたように、「避難」も1次と2次に分かれていることを知っていますか。災害発生直後に自分の身の安全を確保し、命を守るステージを「1次避難」と呼びます。その後、ライフラインが復旧するまでの間、避難所や野外で生活を送るステージを「2次避難」と呼んでいます。地域には、避難場所と避難所があり、1次と2次の避難のために、それぞれが指定されていますが、多くの皆さんは明確な区別なしに認識されているようです。
1次避難のつもりで2次避難の場所に移動して行ったらどうなるでしょうか。過去の津波や洪水などでは、2次避難所である学校の校庭に人々が避難し、その後に浸水を受けて被害に遭ったケースがあります。それぞれの災害に応じて1次避難場所が指定されていますので、ぜひ確認してください。
今村文彦(東北大学災害科学国際研究所所長)
専門分野は津波工学(津波防災・減災技術開発)、自然災害科学。東日本大震災復興構想会議検討部会、中央防災会議東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会などのメンバー。『防災教育の展開』編著、『東日本大震災を分析する』共著など。