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証言まとめ

新たな一歩

被災地に勇気を与えるために再び立ち上がる。
さまざまな葛藤を乗り越え、新たな一歩を踏み出した人たちの思い。

クミコさん(60) 宮城県石巻市

あのとき歌えなかった歌をもう一度

宮城県石巻市でのコンサートのリハーサル中、シャンソン歌手のクミコさんは、激しい揺れに襲われた。そのときのショックで笑顔と歌声を失っていた彼女に、再び石巻で歌ってほしいという話が来る。

店の中に作られた仮設のステージ。会場は満員で立ち見が出るほどだった。

店の中に作られた仮設のステージ。会場は満員で立ち見が出るほどだった。

“その時、「歌って、そういう役目が…人のいろいろな悲しみとかを出してあげる役目もできるんだったら、やっていて良かったかな。
これからも(歌手を)やっていこうかな」と
思いましたね”

大森梨江さん 福島県双葉町

フラガールの再出発

福島県いわき市のレジャー施設でダンサーをしていた大森さん。震災後、生まれ育った双葉町の人たちが暮らす避難所での公演で、彼女は2か月ぶりに懐かしい顔と再会を果たす。

故郷の人たちが原発事故で背負った苦しさを分かち合えた公演だった

故郷の人たちが原発事故で背負った苦しさを分かち合えた公演だった

“涙がもう流れてきちゃいましたね。
糸が切れたような感じで。
「ありがとう」と言われたので、
こちらも「元気でよかった」と言って。
不安な気持ちが、一気にスッと抜けたというか、
来てよかった”

森嶋正一郎さん 茨城県日立市

復活した老舗酒蔵

震度6強の激しい揺れに襲われた茨城県日立市。老舗酒蔵を営む森嶋さんは、酒蔵に致命的なダメージを受け、一時はのれんを下ろすことまで考えたが、父の「地域の皆さんに育てられて現在がある。恩返しをしなくてはならない。」という言葉をきっかけに再建へと歩み出した。

震災後は海外の品評会にも積極的に参加。数々の賞を受賞した。

震災後は海外の品評会にも積極的に参加。数々の賞を受賞した。

“建築業者と話し合いを進めるにつれて、
「ここもだめです、あそこもだめです。
引っ越ししたほうが賢明です」と言われた
時は、この先どうなってしまうのかという
不安で、眠れなかった日が1週間、
10日ぐらいは続きました”

佐野くに子さん(66) 福島県飯館村

仮設住宅に郵便局を再開

福島県飯館村の長泥(ながどろ)地区の簡易郵便局の局長を、30年以上にわたって務めてきた佐野さん。避難先の福島市の仮設住宅の敷地内で郵便局を再開させることを決意する。

当時も同じように海面が引いたが、被害がなかったため油断していた

地元が帰宅困難地域に指定されたため、一時は再開を諦めたことも

“地元の人たちが必要としているんだなと。
みんなが(飯舘村に)帰るまで、やっぱり頑張って
いくしかないと今は思っています”

渡邉長一さん(66) 福島県富岡町

復活したお祝いの踊り

福島県郡山市にある、富岡町の仮設住宅で開催された伝統行事“えびす講市(こういち)”。ここで大黒舞を披露した渡邉さんだが、踊りを再開するまでには、さまざまな葛藤があった。

本当に喜んでもらえるのか。不安な気持ちの彼を町の人たちは大きな拍手で迎えてくれた。

本当に喜んでもらえるのか。不安な気持ちの彼を町の人たちは大きな拍手で迎えてくれた。

“前は断っていたんです。
震災でお祝いの踊りはできないということで。
何となくやっぱり、しぼんでいたね”