2017年9月29日(金)

都心集中“待った” 思わぬ事態が

桑子
「こちらは、私が通っていた大学で撮った写真、これが私なんですけれども、何を見ていただきたいかといいますと、周りの環境なんです。


見やすいようにこちらの写真に変えますと、私の大学は郊外にあったので、見て分かりますよね、緑が多いし、空も広いし、キャンパス全体も広々とした環境で学生生活を送っていたんです。
でも、最近は、東京の都心にキャンパスを移す大学が増えていますよね。


こんなふうに高層ビルがキャンパスという大学も増えています。」

有馬
「国は今日(29日)、学生の東京一極集中に歯止めをかけようと、東京23区の大学などの定員について、これ以上の増加を認めないことを決めたんです。
ところが、この決定で思わぬ波紋が広がっています。」

都心の大学に“待った” 人気集める東京都心

橋詰
「東京・渋谷のど真ん中です。
この場所、実は大学のキャンパス。
3年前に都心に移転して学生にも大人気なんだそうです。」

平成26年に、渋谷区に一部の学部と短期大学を移転した実践女子大学です。
都心移転は大きな成果を生みました。
移転した年の志願者数は、大学でおよそ1,500人、短期大学でおよそ300人、それぞれ増加。
その後も少子化の中、志願者数は順調に推移しているといいます。

埼玉出身 実践女子大学の学生
「東京への憧れもあって、都心の渋谷キャンパスに魅力感じた。
友人も“渋谷じゃなかったらこなかった”という人が複数いた。
そういう人、多いと思う。」



栃木出身 実践女子大学の学生
「本当にめちゃくちゃ楽しい、すごく刺激的。
青山とか、おしゃれなカフェいっぱいあって、そこでコーヒー飲んでると、大学生やってるなって。」

東京23区の大学に通う学生は46万人超。
この10年で6万9,000人以上増加しています。

定員増は“認めない”

大学の東京への一極集中を抑えたい。
今日、文部科学省が新たな決定をしました。
東京23区の中では、私立の大学と短期大学の定員の増加を認めないというのです。
地方の大学では。

四国学院大学 杉本孝作副学長
「東京一極集中ということが続いていますから、定員抑制というのは、ある意味では非常に好都合、ありがたい、歓迎はしている。」



ただ、この新たな方針には異論も。
今年(2017年)5月、政府の有識者会議がこうした方針を盛り込んだ中間報告の案を取りまとめた際には、早稲田大学の総長が慎重な考えを表明。
文部科学省が行った意見の公募でも、「地方の活性化につながる」と評価する意見の一方、「大学の自主性を脅かす」とか、「東京で定員抑制しても地方大学に学生が集まるわけではない」などと反対する意見も寄せられました。
さらに、東京都の小池知事は。

東京都 小池知事
「23区内の大学の定員数だけを抑制するといったような、びほう策では、今の大きな日本が抱えている課題を解決できない。」




東京一極集中に歯止めをかけるための今回の措置。
東京の大学にも思わぬ影響が出ています。
東京・八王子市にある中央大学です。

国は、かつて都市部での大学の新設や拡大を法律で制限。
中央大学など、多くの大学が郊外にキャンパスをつくりました。




その後、平成14年に国は規制を撤廃。
大学の都心回帰が始まります。
中央大学も5年後を目標に、看板学部の法学部を文京区に移転させることを決めました。
しかし、今回の定員抑制によって、移転が難しくなると懸念しています。

中央大学 酒井正三郎学長
「今回の規制の対象に当然入ってくる。
影響としては非常に大きなものが出てくる。
これはぜひ避けたい。」



法学部の学生は。

中央大学 法学部の学生
「家からここまで通学時間2時間かかる。
“都心いいよね”と言っていた。」




さらに、こんな学生たちも。

栗原
「大学を少しでも都心に近づけたいと、キャンパスを押しているんです。」

学生サークル「中大多摩キャンパスを都心に近づける会」の皆さん。
週2回、キャンパスの門を都心の方角に押す活動を続けています。
なぜ、こんなことを?

中大多摩キャンパスを都心に近づける会 土屋達義さん
「就職活動の面接場所とかは都心の方が多い。
行って帰ってくると、どっちかには間に合わない。
都心のキャンパスの方がいいことあるんじゃないか。」



今日の活動の結果は?

中大多摩キャンパスを都心に近づける会 土屋達義さん
「今日は0ミリ。
3人ぐらいだとちょっと力不足なのかな。
うすうす感じ始めている。
郊外から都心に移るその日まで、ずっと押していきたいと思う。」

今回の規制で、学生の東京一極集中を抑制することができるのか。
専門家は、その効果は限定的だとみています。

リクルート進学総研 小林浩所長
「大学だけではなく、就職で地元から出ていくことが多いので、就職や地元の産業といっしょに考えることが重要。
首都圏には人口もたくさんいて、就職の時に就職先の会社もたくさんあるので、東京に限らず、大都市圏は有利。」


さらにこの先、大学が立地だけで学生を集めることは難しくなると指摘します。

リクルート進学総研 小林浩所長
「早ければ2・3年で、その効果は薄れてくるのではないか。
大学自身が、どのような個性をもって社会に価値を発信していくか。
その大学に行って何が学べるか、学んでどうなれるかが、非常に重要。」

都心の大学に“待った”

桑子
「大学生になったら、東京のおしゃれなカフェで勉強をしたり、お買い物を楽しんだりするの、憧れますよね。
でも、やっぱり一番大事なのは、その大学で何をするかですよね。
どこにあるのか、場所ではなくて、その大学で自分に何ができるんだろう、自分はどう成長できるんだろうって、そんな視点で選ぶことが大切だと思いますし、大学側にも、そう思える環境を作ってほしいなと思います。」

有馬
「実際、地方にあっても独自のカリキュラムですとか、教育環境が評価されている大学って少なくないですよね。
だから、それぞれの大学がその特徴や魅力をさらに磨いていく。
それは学生も望んでいるんじゃないかなと思うんですけどね。」

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