2017年11月23日(木)

終戦直後より飢餓状態?

桑子
「働く女性の『栄養状態』について、驚くべき実態が分かってきたんです。
医師や栄養士などで作る団体が調査したところ、働く女性の摂取エネルギーは1日平均1,479キロカロリーだったんです。」

有馬
「ということは、だいたい1食500キロカロリーぐらいですよね。」

桑子
「私も正直こんなものかなと思っていたんですが、この1,479キロカロリーという数字、なんと『食糧難だった終戦直後よりも栄養飢餓状態』なんだそうです。
厚生労働省によると、女性が1日に必要なエネルギーは、20代・30代でおよそ2,000キロカロリー。
デスクワークの人もこのくらい必要だそうです。

ふだん私たちが意識しているよりも多いかなという気がするんですが…。
この、働く女性の栄養不足は、生まれてくる子どもにも関わる大きなリスクがあることが分かってきました。」

働く女性が“飢餓状態” 丸の内OLのランチ直撃!

「(今の働く女性の)栄養状態が良くなくて。」

「うっそー!」

「食糧難だった終戦直後よりひどいと。」

「えー。」

「忙しくて食べられないことはある?」

「ある、ときどきある。」

「ランチとれなかったら、どこかのタイミングでおやつ食べようかとか。」

「朝は食べていない、時間がない。
食事より支度の方が。
それ重視でやってます。」

東京・丸の内です。
ここで働く女性はおよそ11万人。
どんな食事をしているのか、お昼どきに見せていただきました。
その摂取カロリーは…。

あんかけラーメンとヨーグルト。
ラーメンで高カロリーと思いきや、493キロカロリーです。

有馬
「意外とカロリーが低いのかな。」

こちらはカップスープとパン、それに生春巻き。
332キロカロリー。
管理栄養士が、働く女性が1回の食事に必要だとするのは600から700キロカロリーなのですが、半数が足りていなかったんです。
栄養不足の原因の1つは、多忙な勤務です。

大手企業に勤める佐々木詩織さん。
重要なプロジェクトを任されたため、昼食はいつも仕事をしながら。
手軽に食べられるサラダやパンが多くなってしまうといいます。
この日のお昼は、およそ400キロカロリーでした。

佐々木詩織さん
「何か胃に入ればいいかなと。
お昼時間にミーティングが入る時もある。
その前にぱっと食べたり、終わってずっと会議が続いていると、夕方になってしまう時もある。」

“5人に1人が無月経”

こうした働く女性の健康を守ろうと、医師や栄養士などで作る団体が行っているのが、「まるのうち保健室」という取り組みです。

保健室の調査では、カロリー不足などによって、働く女性の5人に1人は「無月経」という3か月以上生理がない状態を経験していたことが判明しました。
さらに、献血できないほどの貧血状態や慢性疲労を訴える人も約4割いたのです。

まるのうち保健室 監修者 細川モモさん
「食事の量も足りなければ、生きていくのに必要なエネルギー・栄養素も足りていない。
働く女性がここまでの健康問題を抱えているという社会的な認知度は、まったく進んでいないのでは。」

さらに、女性管理職に「管理職になって犠牲にしたもの」を聞いた調査では、2位が「健康」、3位が「食生活」。
多忙な勤務が、女性の健康を損なっている現実が明らかになったのです。

まるのうち保健室 監修者 細川モモさん
「もともと女性は、食べずに痩せられるならそれでいいのではないかという誤ったダイエット意識、美容意識があって、男性より欠食に対する抵抗感がないというのはある。」

子どもへの影響も

こうした女性の栄養不足。
本人の健康だけでなく、将来にも深刻な影響を及ぼすことが最近の研究で明らかになってきました。

早稲田大学 福岡秀興 招聘研究員
「低出生体重児の頻度(割合)の推移です。」

それは、生まれた時の体重が2,500g未満の「低出生体重児」です。
「低出生体重児」の割合は、先進国の中で日本が突出して高くなっています。
母親の体格や遺伝的なものなど、さまざまな要因が考えられますが、最近、栄養状態との相関関係が指摘されているのです。

早稲田大学 福岡秀興 招聘研究員
「妊娠する前・妊娠した時点・妊娠中の栄養、そういうものを総合して赤ちゃんの体重は決まる。
小さく産まれるからといって必ず病気になるということではない。
しかし、たくさんの赤ちゃんの研究から、リスクが高くなるのではとだんだんわかってきた。
(高血圧や糖尿病など)生活習慣病、この病気のリスクが高くなる。」

栄養指導で改善も

年間約1,500人の赤ちゃんが生まれる群馬県の病院です。
ほかの病院に先がけて、栄養不足の問題に取り組んできました。
ここで力を入れているのは「栄養指導」。
栄養不足の妊婦には、日々の食事メニューを確認します。

栄養士
「食事記録、見させてもらいます。」

この日アドバイスしたのは、夕食のメニュー。
ごはんとサラダ、果物だけの食事に対して、しっかりとおかずを食べるようアドバイスしました。

栄養士
「メインのおかずがない。
メインのおかずはたんぱく質が多い。
肉・魚、何か入るとたんぱく質が増える。
赤ちゃんの成長を助けてあげられると思う。」

この病院で栄養指導を受けて出産した女性です。
上の2人の子どもは2,500グラム以下の体重でしたが、食事を改善した結果、今年5月に生まれた男の子は2,800gで生まれたといいます。

出産した女性
「正直びっくりした。
ここまで効果があるのか、やはり食べたせいなのかなと。
私ががんばって大きくしてあげられるならという思いがあった。」

働く女性の間に密かに広がる栄養不足のリスク。
専門家は、社会全体で向き合う必要を指摘します。

まるのうち保健室 監修者 細川モモさん
「見た目がスリムだからといって、“健康だ”と思い違いを社会全体がしてしまうと、女性の抱える健康問題、潜在的な問題に気付くことができないままの危機感がある。」

社会進出も“健康第一”

有馬
「知らず知らずのうちに、というのが怖いですね。」

桑子
「私も本当に驚きました。
まず、カロリーの常識は自分の中で間違っていましたし、栄養バランスもやはり自信はないです。
まるのうち保健室の調査では、働く時間が長い女性ほど、食事の摂取カロリーが低くなるという傾向も出ているんです。
女性の社会進出は進んでほしいですが、やはり健康な体があってこそですよね。
私も気をつけたいと思いました。」

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