2017年11月24日(金)

定年に向き合う女性たち

有馬
「定年をどう迎えるか。
多くの人にとっては、人生の大きなテーマということが言えますよね。」



桑子
「これまでは、とかく男性の問題ととらえられがちでしたが、いまや、定年まで働く女性も増えています。
女性たちは、どう定年を迎えようとしているのでしょうか。」

女性が向き合う定年 さまざまな不安

東京都内で開かれた、女性の定年を考えるセミナーです。
参加したのは、会社員や公務員といった40代から50代の女性たち。
会場では、定年後の新しい生活への期待の一方で、さまざまな不安の声も聞かれました。

参加者
「健康。」

参加者
「親の介護。」

さらに、この後どう働いたらよいのかという不安も。

参加者
「もし何か(仕事を)変えたとして、それで収入が得られるか。
市場価値が本当に自分にあるのか。」

“先駆け”として再び

大手監査法人で役員を務める、林敬子さんです。
27年前、公認会計士の資格を持って入社。
管理職に昇進した後は、人事などにも携わってきました。
林さんは最近、8年後の定年を意識するようになりました。
昭和61年に男女雇用機会均等法が施行され、女性を幹部候補として採用する「総合職」がスタート。
それまでは、男性が基幹的業務を担い、事務職の女性が補助するという構図が一般的でした。
同世代の林さんが就職した当時、同じ部署のメンバーおよそ50人のうち、事務職以外の女性は2人だけでした。

林敬子さん
「女性と働く意識が全然ない中にぽんと放り込まれていって、非常に疎外感を感じた。
すごい寂しかった。
帰って、布団かぶって泣いていたくらい、仕事する以前に、人として受け入れられていない感じがすごくあった。」

出産も経験し、子育てをしながら働き続けた林さん。
男性の2倍、いや3倍働かないと認められないのではないかと、プレッシャーを感じたこともあるといいます。

林敬子さん
「(女性の上司が)子育てしながらキャリアをつくっているとか、仕事をしているのを間近には見られなかった。
道が前になかった。
無い道を探しながらいくというか、自分でつくっていく部分もあった。」


働く女性5,000人以上について調査してきた専門家です。
「総合職」の第一世代の女性たちは、まもなく迎える定年でも、自ら道を切り開くことを求められると指摘します。

淑徳大学 野村浩子教授
「定年まで勤めた女性の先輩がほとんどいない、ロールモデルがいない状況。
まさにいま、それ(モデル作り)を模索しているとき。」

つながりを生かして

女性のネットワークを通じて、定年後の生き方を一緒に考える。
そんなサークルがあります。
企業や地域の垣根を越え、IT企業からデパートまで、さまざまな職場で幹部社員を務めた50代から60代の女性が参加しています。
5年前から年に3回ほど集まり、旅行を楽しんだりしながら、社会の一線で活躍した多様な人生経験を交換。
定年後を豊かにするヒントを探しています。

サークルの主催者 久慈洋子さん
「だいたい60歳や65歳で定年になってしまうけれど、その後の人生、最後まで“あんこ”が詰まった人生はどんな人生か考えたかった。」




これまで培ったネットワークを生かして、定年前に新たな一歩を踏み出した人も。

小嶋美代子さんです。
今年(2017年)7月、28年間勤めた大手IT企業を早期退職しました。
人材活用の部署で部長まで務めた小嶋さん。
コンサルタント会社を立ち上げました。

小嶋美代子さん
「(定年まで)あと10年かと思うと、“あと10年って何だっけ?”って。
人生の終わりが60歳のように感じている私の当たり前の感覚っておかしくないかと。」

小嶋さんの独立に役立ったのは、「横のつながり」でした。
会社員時代に信頼関係を築いたNPOや企業の人たちが、小嶋さんの力を必要としてきたのです。
今では、社会の多様性を支援するNPOの副代表や、別の企業の役員も務めています。

顧客
「キャリア・ポジションのある人なのに、そこを飛び越えて来てくれている、それぐらいの気軽さがあって、でも、ものすごいスキルと知見を持っている。」



小嶋美代子さん
「知識や経験を、誰に返していったらいいのか。
自分を育ててくれた企業だけでなく、世の中にもっと広く返していきたい。
私自身を社会に差し出していくほうが、私の性分には合っている。」



一方、大手監査法人に勤める林さんは、定年まで、ここで勤め続けたいと考えています。
職場での女性の管理職比率を、現在のおよそ14%から、3年間で20%まで引き上げるプロジェクトを進めています。
これから社会に出る若い女性たちの相談にも乗っています。

林敬子さん
「力があるうちに、皆さんと一緒に巻き込みながら進めていきたいというのが、定年までの目標。」

こうした女性たちの姿に、専門家は…。

淑徳大学 野村浩子教授
「女性は、会社という看板・肩書にとらわれず、枠を超えた横のネットワーク作りが上手という特性を生かし、(男性とは)少し違う定年後のキャリアとか、ライフスタイルを切り開くのではないか。
そんな可能性がある。」

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