2017年12月22日(金)

若者が“保守化”? “2人に1人が自民”

桑子
「若者の『保守化』が進んでいるのでしょうか。」

有馬
「“自民1強”ともいえる政治状況を生み出した先の衆議院選挙。
NHKが全国4,000か所で行った出口調査で特徴的だったのが、こちら。
比例代表の投票先で『自民党』と答えた10代・20代が49%、世代別で最も高かったんです。
つまり、若い世代の2人に1人が自民党に投票した形なんです。」

“2人に1人が自民” その理由は…

先週、若い世代の政治参加を促すNPOが開いたイベントです。
この日のテーマは「10月の衆議院選挙をどう振り返るか」。
参加していた大学生の半数が、自民党に投票していました。

自民党に投票した参加者
「ほかに政権を任せられる政党がないなと。」

自民党に投票した参加者
「北朝鮮問題とか、自分たちのお金・安全とかを守れるところはどこか考えた時、自民党を選んだ。」

そして多くの学生があげた理由は…。

自民党に投票した参加者
「就職率も上がっているので、政治が安定しているからこそ経済も安定できるという側面もあると思う。」

自民党に投票した参加者
「自分はまだこれから就職する身だから、今の状態でとりあえずは安定した将来を見据えられたらいいかなと。」

「政治の安定」を望む声は、野党に投票した学生からも…。

野党に投票した参加者
「これから就活なので、アベノミクスを考えるとこのままあってほしいのもあって、政権交代はしてほしくない。
このまま現状維持でいいんのではないか。」

意識調査からも「安定」重視

「安定」を重視する若い世代。
その姿は、選挙直後に実施されたある意識調査からも浮き彫りになりました。

東京大学大学院の橋元良明教授です。
投票の締め切りから3日間、インターネットで調査を行い、1,300人余りから回答を得ました。
橋元教授が注目したのは、「現在の生活に満足しているか」という質問に対する回答です。
「満足している」と答えた割合が最も高かったのは10代・20代。
平均を大きく上回りました。

その一方、「現在の国内政治に満足している」と、答えた10代・20代の割合は、他の世代と同様、1割にとどまりました。

橋元教授は、若い世代が、政治への「不満」よりも「安定」を優先した結果、自民党への圧倒的な投票につながったと考えています。

東京大学大学院 橋元良明教授
「消極的ながら、現状の肯定意識が非常に強い。
個別の問題に関して言うと、『政権交代』には否定的。
『このままでいいんじゃないか』という意識が強いのではないか。」

ネット戦略でリードする自民

一方で、自民党が若い世代からの支持を集めた背景には、巧みな「ネット戦略」があるという指摘も出ています。
他の党に先駆け、若者をターゲットにしたネット戦略に力を入れてきた自民党。
今月(12月)上旬、選挙後の新たな戦略について議論が行われていました。
この日、話題に上ったのは、2か月前に提供を開始した安倍総理大臣のLINEのスタンプです。

自民党 平井卓也広報本部長
「50代以上のダウンロード数が非常に多い。
若い人たちには正直言ってあのスタンプはうけていない。」

自民党 和田政宗参院議員
「(スタンプの)総理の顔がリアルなので、もっとデフォルメしてかわいいキャラでもいい。」

自民党 平井卓也広報本部長
「『プレゼント企画』みたいなのもやったらどう?
(小泉)進次郎さんの着たスカジャン。
プレミアム商品7万円だから。」

自民党では、8年前の野党転落を機にネット戦略を強化。
ボランティア組織、「ネットサポーターズクラブ」を設立し、ネット上で好意的な意見を積極的に発信してもらうよう働きかけました。
独自の動画を配信するため、党本部に自前のスタジオも開設。
ここでは、先月も、国会審議の様子を自民党議員みずからが実況中継を行い、政府与党の姿勢をPRしました。

「ローキーで入ってきましたね、さすがやはりベテランですねえ。」

先週からは、安倍総理大臣が若者に人気のSNS「インスタグラム」で情報発信を始めています。

自民党 平井卓也広報本部長
「若い人たちは何を考え、どういうことに関心があるか分析するところから入った。
それに基づいて若い人への情報発信をしているので、(今後も)積極的に取り組んでいきたい。」

野党・立憲民主は

これに対し、ネット戦略でこれまで自民党に遅れを取ってきた野党。
この日、立憲民主党の福山幹事長は、大学生を招き助言を求めていました。

立憲民主党 福山幹事長
「どうやって政党として若い人とつながっていくか、ヒントをもらえたら。」

大学生
「『学生部』とかを立ち上げて、口コミが増えることがいちばん大事。」

大学生
「直接会う機会を作るのは年に1回か2回になると思うが、オンラインとオフラインをいかにミックスしていくかがポイント。」

党の結成後、ネットを活用して選挙戦を展開した立憲民主党。
ツイッターのフォロワー数は、短期間で18万を超えました。

しかし、選挙後の政党支持率は1ケタ台。
福山幹事長は、若い世代の支持をどう広げるのか大きな課題だと感じています。

立憲民主党 福山幹事長
「若者にいろいろな形で接触し、彼らのアイデアを学び取り入れていく。
これを粘り強く、幅広く、慌てずにやっていくことしか道はない。」

専門家は

若い世代の多くが自民党に投票したことについて、政党のネット戦略を研究している専門家は…。

髙橋茂さん
「自民党はインターネット戦略でも『一強』。
非常に地道にストレートに、分かりやすく情報を伝えていくというのを、ずっと継続してやっているところが非常に強さだと。
有権者からすると非常にそれも安心する、安定しているようには見えたと。
本当は他の政党もできるはず。
自民党はそれを分かっていてやっていた。
野党のほうはまだそれが分からないので、やっていないというだけの違い。」

「安定」を重視する若い世代が自民党を支持している現状について、意識調査を行った橋元教授は…。

東京大学大学院 橋元良明教授
「別に『政治的に批判的であれ』とは言わないが、現状が本当にこれでいいのか。
気がついたら現状追認のままいって、自分たちに不利になるように、非常に日本が変わってしまっている、そういう事態もありうると思う。
もう少し政策を真剣に考えてみてもいいのではないか。」

求められる大人の役割

桑子
「若い世代、特に就職を控えた大学生が『安定』を求める気持ちはあるかもしれないですね。」

有馬
「VTRで紹介した大学生のイベントの主催者・原田謙介さんはこう話しています。

『“若者が何も考えず、現状維持だから自民に投票した”というのは短絡的ではないか。むしろ、大人も政治と向き合い、政治について若者と積極的に議論するべきだ』。」

桑子
「若者から大人へのメッセージですね。」

有馬
「私たち大人も、若い世代と一緒にこれからの政治について考えていきたいと思います。」

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