2018年1月30日(火)

みうらじゅんさん 還暦! 創作の極意に迫る

桑子
「みうらじゅんさん。
存じ上げていますがいろんなことをされているん方ですよね。」

有馬
「イラストレーターで知られますが、『ゆるキャラ』『マイブーム』の名付け親で『仏像ブーム』の仕掛け人。
“サブカルチャーの帝王”とも呼ばれる方なんです。
還暦を迎える年齢になっても自分が好きなことにこだわり続けるみうらさん。
その極意を聞いてきました。」

“サブカルの帝王” 本業は?

有馬
「どこかで見たことがある感じなんですよね。
仏像、ちょっとポップです。
予感がしますよ、予感がします。」

訪ねたのは、川崎市にある美術館。
この日は、還暦を記念した展示会の開催を控え、準備が進められていました。
みうらさんの「好きにこだわる極意」を聞きたいと思ったんです。

桑子
「みうらさんって、何をしている方と言えばいいんでしょうか?」

有馬
「気になりますよね~。」

有馬
「(イラストが)本業ですよね?」

みうらじゅんさん
「俺ね、本業がないっていうか、一応、肩書きは『イラストレーターなど』にしてあるけど、公で『など』はないって言われて、消されている場合があるんですけど、俺がやっていることって、『など』なんですよね。
これ全部『など』の仕事なんで、『など屋』ですね、俺。」

桑子
「『など屋』って初めて聞きましたよ。」

みうらさんは、大学生のときに漫画家としてデビュー。
その後、イラストレーター、ミュージシャン、さらには、映画の原作者、エッセイストとしても活動してきました。
この多彩な「など屋」ぶり。
それを人は、名付けて「サブカルの帝王」と呼ぶんですね。

みうらじゅん作のゆるキャラです。
みうらさんは、「ゆるキャラ」という言葉を20年近く前に生み出し、使ってきました。」

桑子
「20年も前に!」

有馬
「僕、みうらさんみたいに変になれなくて、どう変になればいいか分からなくて、そういう人にとって『みうらじゅん』ってすごくおもしろい。
おもしろがってきたんですよ。」

みうらじゅんさん
「努力したから、変になるのを。
不自然じゃないですか、これ(髪の毛)。
それは自分でもよく気がついてるし、一応、漢字が本名なんですけど、小学校の後期から『ひらがな』でもいる。
漢字(三浦純)がひらがな(みうらじゅん)にプロデュースしてるんですよ。

『ひらがなはこうすべきだろ』『こんなことすべきだろ』とか、漢字が言うんですよ。
更年期障害で暑いんですよ、これ。
汗、うしろべたべたかくし、もう。
でも『レッツゴー不自然』じゃないといけないと思ってるところが、真面目だからあって、たぶん自分が憧れた『ぐっと来る』ところは、『不自然な人』だったんですよね。」

そして展示で特に目立ったのが、膨大な数のコレクション!

みうらじゅんさん
「ゴムヘビを集めてたんですよ。」

ゴム製のヘビ。
海外にまで出向いて買い集めています。
50年間も続くこのコレクション。
会場にあったのは100点ほどで、ほんの一部だそうです。

桑子
「これで一部ですか!
…これは?」

有馬
「全部、栓抜きです。」

桑子
「いろんな形がありますね~。」

有馬
「みうらさんは『変抜き』と呼んでいます。
変な形をしてますからね。
これも、世界各地から集め続けています。」

みうらさん、なんと「文字」まで集めていました。
そのテーマが…。

みうらじゅんさん
「『アウトドア般若心経』。
街の看板で、般若心経の文字を全部拾うっていう、修行ですよね。
縦読みで、『仏説摩訶般若波羅蜜多』。

4年半かかった、作品って言えば作品。
駐車場のところに『空あり』って書いてあることがすごく気になって、駐車場のところに仏教の神髄が書かれていることに誰も気がつかずに通り過ぎている。
こうやって読むと、繁華街の方が仏教があるということ。
俗のところにこそあるんじゃないか。」

有馬
「俗世界にこそ般若心経、神髄ありと。」

幼い時から“マイブーム”

自分が気になったもの、好きになったものを、とことん集める。
小さい頃から「マイブーム」を作って、こだわり続けてきたんです。

桑子
「どうして、そんなことをするようになったんでしょうか?」

有馬
「僕も知りたかったのは、そこです。」

有馬
「その行動原理って何ですか?」

みうらじゅんさん
「“振り向かす”みたいなことぐらいかな。
振り向かせたいんですよね、すごく。
一人っ子だったんで、友達が家に来たら帰っちゃうじゃないですか、夕飯時に。
俺、帰ってほしくなくて。」

最も古い展示作品は、5歳の時のものです。
子どもの頃のみうらさん、自作の紙芝居や漫画を友だちに披露すれば、少しでも長く一緒に遊べると、考えていたんです。

桑子
「5歳の時に、この絵心!」

特にのめり込んでいたのが、寺社めぐり。
仏像写真を切り抜き、文章を書き加えた「仏像スクラップ」作りに夢中になりました。

自分の「好き」を続けるみうらさん。
今では、美術番組に出演して解説を求められるほど。

みうらじゅんさん
「ミケランジェロを超えちゃってるんですよ。」

「人を振り向かせたい」。
そんな創作スタイルの原点ともいえる作品がありました。

みうらじゅんさん
「これ、いちばん初めにね、うそをついて描いた絵。
小学校の課題か何かで、水族館でくじらを見たって描いてる。
王冠をかぶっているんですけど、『王冠はかぶってないでしょ』って言われて、担任の先生に叱られたんですよ。

おかんが学校に行って『子どもの言うことは正しい』って先生を叱った事件があって、それ以来、おかんと二人三脚で『うそついてもいい』ってことになって、話は3倍以上膨らませないと人はおもしろがらないって、いちばん初めにここで分かったんですよ。」

桑子
「こういうお母さんがいて、今のみうらさんがあるんですね。」

有馬
「そうなんですよね。
そのお母さんが、小さい頃の作品も全部取っておいてくれていたんだそうです。」

“好き”にこだわる極意

幼い頃からのマイブームの追求。
還暦を迎えようとする今も、それを探し続けているというんです。

有馬
「続けることって、やっぱりおもしろいですか。」

みうらじゅんさん
「いや、続けることは、確実におもしろいんじゃなくて、いつか化学反応が起こってAと(Bが)交わればCになる可能性があるから。
こんな話、どうでもいい話なんだけど、若い時は、熟女のヌードがきつかったんですよ。
でも(熟女のヌードを)取っておいたんですよ、頑張って。
『今の自分には分からない世界かもしれない』っていうのがあるじゃないですか。
今のこの度量では理解できないものって必ずあるから。
それで取っておいたら、最近はもうピークですよ、専門。
やっぱり来るんだな、みたいな。
そのつど、自分の気持ちに正直に捨ててたら、つながらないですよ。」

有馬
「やり続けるということが、『形』になるということですね。」

みうらじゅんさん
「“keep on ばか”(ばかであり続ける)でいってないとダメなんですよね。
ついつい賢いことを考えちゃうんで、やっぱり“keep on ばか”が根底にないと、ものすごい『まともコンプレックス』があるもんで、やっぱりしつけ直さないと、なかなかできないかなと思って。
長年かかってる、まだ修行の身なんですけど。」

還暦! 創作の極意を語る

桑子
「聞けば聞くほどおもしろいですね。
“keep on ばか”、ばかを貫くですとか、不自然であることに憧れる。
これ、実はみうらさんってものすごく真面目な方なんでしょうか?」

有馬
「真面目にばかを貫くというのが、みうらじゅんさんの真骨頂なのかもしれないですね。
みうらさんはいろんなものを集めていますが、全部趣味じゃないって言うんですよ。
人に突っ込まれてはじめて完結すると。
つまり、人に喜ばれるためにあれだけのボリュームを集めるし、人をおもしろがらせるために、変わったものに引っかかるし。
人にどう喜んでもらえるかということが、創作の原点にあるということがよく分かりました。
この展示会は、3月まで川崎市市民ミュージアムで開かれています。」

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