2018年5月24日(木)

マイクロプラスチック どんな影響が

桑子
「こちら。」

有馬
「ん!?小さいですね。」

桑子
「この小さなものが、今、地球環境の大きな問題になろうとしているんです。」

小さなごみ 大きな問題

有馬
「これ、なんですか?」

桑子
「何かというと、マイクロプラスチックといって大きさが5ミリ以下のプラスチック。
今、海に大量に漂っています。
元は何かというと…。
ペットボトルに。
レジ袋。
たとえばこのレジ袋。
海で紫外線や波の力を受けると、このように劣化します。」

有馬
「浜辺や河口で見ますよね。」

桑子
「これがさらに細かく砕かれて、小さくなって、海に流れ出ているということです。」

有馬
「そして今、大きな環境問題になろうとしている。」

桑子
「そう、私たちにどんな影響があるんでしょうか。
その調査を行っているフランスの科学探査船が先日、東京湾に来たんです。
取材してきました。」

マイクロプラスチックの汚染 科学探査船「タラ号」が日本に

高橋篤史リポーター
「あ、来た来た!
近づいてきています。
あれがフランス生まれの船、タラ号です。」

高橋リポーター
「手を振ってくれています。は〜い!」


東京湾に姿を見せたのは、フランスの民間の科学探査船「タラ号。」
全長36メートル。
2003年から世界中を航海しながら、“地球温暖化が海洋に与える影響など”を調査してきました。
今回、太平洋の海を調査する中で、日本に立ち寄りました。

高橋リポーター
「この船体見てみますと、このようにへこんでいるところがいくつもありますね。
荒海を越えてきたんですね。」

マイクロプラスチックの汚染 生態系への影響のおそれも

そのタラ号が、強い問題意識で見ているのが、海に漂う「マイクロプラスチック」。
タラ号の事務局長は、海の現状をどう見ているのでしょうか。

タラ号 事務局長 ロマン・トゥルブレさん
「汚染は想像以上にひどい。
人間のせいで海に流れ出たプラスチックは、ずっと残留している。」

なぜこんな小さなゴミが問題となるのか。
石油からできている「マイクロプラスチック」は、油に溶けやすい有害物質が付きやすい性質を持っています。
魚などがエサと間違えて食べると、その有害物質を体内に取り込むことに。
食物連鎖の過程でこれが繰り返されると、有害物質の濃度が高くなって、生態系に影響が出るおそれがあるのです。

タラ号 事務局長 ロマン・トゥルブレさん
「悲しいことだが、どこへ行ってもプラスチックごみがある。
人類すべてに関わる問題であり、皆で解決しなければならない。」

マイクロプラスチックの汚染 日本の海に警鐘鳴らす研究者も

高橋リポーター
「マイクロプラスチックによる海の汚染、日本でもその実態について研究が進められています。
研究者に聞きます。」

日本の海について警鐘を鳴らす、東京農工大学の高田秀重教授です。
まず示したのが。

高橋リポーター
「この地図は何ですか?」

東京農工大学 高田秀重教授
「この地図は、どこにどれくらいプラスチック・マイクロプラスチックが漂っているか、色で示しています。」

東京農工大学 高田秀重教授
「日本の周辺も、大量にプラスチックが漂っていることがわる。」

高橋リポーター
「日本周辺も、濃い色になっていますね。」

東京農工大学 高田秀重教授
「世界の他の海域に比べ、20倍〜30倍、漂っている。
数(密度)が多いということも、最近の研究でわかってきています。」

高田教授は、日本が大量にプラスチックを使用していることや、東南アジアなどの海に漂流しているものが、海流に乗って運ばれてきていることなどが、原因とみています。
取材中、汚染の現状を私たちに伝えようと、あるものを取り出しました。

東京農工大学 高田秀重教授
「これはお台場でとった砂です。」

水を入れてかき回すと…。
何かが、浮いてきました。
色のついた小さな破片の多くが、マイクロプラスチックだといいます。

高橋リポーター
「本当だ。」

さらに示したのが、3年前に東京湾で釣ったカタクチイワシ。
64匹中49匹、およそ8割のカタクチイワシから、マイクロプラスチックが見つかったというのです。

東京農工大学 高田秀重教授
「身近な東京湾でそういうことが起こっているということはびっくりしましたね。」

一番、気になったのは。

高橋リポーター
「食べても大丈夫?」

東京農工大学 高田秀重教授
「このサイズのプラスチックは(便で)出ていってしまうし、有害化学物質はくっついているが、量は少ないので現時点では問題にならない量だと思う。
この魚を食べるのを控える必要はまったくないと考えている。
私も食べています。」

その一方で、“今後マイクロプラスチックの汚染はさらに悪化する”という研究結果もあり、高田教授は、このまま放置していると、いつか人の健康にも影響がでかねないと懸念しています。

東京農工大学 高田秀重教授
「(有害化学物質の)濃度が高い場合の話になるが、発がん性があり、生殖能力の低下、免疫力の低下が起きることが指摘されている。」

マイクロプラスチックの汚染 危機を避けるためには?

こうした危機を避けるにはどうしうたらいいのか。
高田教授は、使い捨てのプラスチックなどは、“国レベルでの使用規制を考える時期にきている”と、指摘しています。

東京農工大学 高田秀重教授
「レジ袋の使用を禁止・有料化したり、国レベルで規制している国は、いま20か国以上になっている。
日本では、国レベルでの規制は、遅れている。
プラスチックは便利だが、その便利さだけでは、そのつけを将来の人類にまわしてしまうことになると思う。
便利さだけ、経済効率だけでいいのか、考え直した方がいい。」

マイクロプラスチックの汚染

桑子
「このプラスチックの規制、今注目されている動きがあります。
アメリカ・カリフォルニア州のマリブ市。
飲食店で皆さんが使っているストロー、実はパスタでできています。
来月からは、飲食店がプラスチック製のストローを提供するのを全面的に禁止するということ。」

桑子
「そしてこちらは紙で作ったストロー。

大手コーヒーチェーンも紙のストローに切り替える予定で、プラスチックのストローを使わなくする動きは、アメリカで広がりつつあります。」

有馬
「日本でも、個人や企業がいろいろな取り組みをしていますが、実効を上げるには国レベルでの取り組みが必要ですね。
“経済効率だけでいいのか”と専門家が言っていましたが、この問題で日本は出遅れたくありません。」

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