2018年7月23日(月)

西日本豪雨 桑子が見た 被災地の今

桑子
「西日本を襲った豪雨。
私が3年前まで勤務していた広島県も、大きな被害を受けました。
昨日(22日)と今日(23日)、その広島を訪ねてきました。」

長引く避難所生活で…

美しい田園地帯が広がる東広島市。
かつて私は、この場所を取材で訪れていました。
しかし、あの日、映像で目にした光景は、想像を絶するものでした。

桑子
「東広島市の黒瀬保健福祉センターに来ました。
こちら、避難所になっています。」

豪雨から2週間が過ぎ、皆さんは今どうしているのか。
避難所のひとつを訪ねました。
中に入ると、世帯ごとのテントが張られ、独立した空間が確保されていました。

しかし、避難している方々の疲れは、日に日に増しているといいます。

避難者
「ずっと1人でいたから、こういう生活は初めて。」

被災前は1人暮らしをしていたという80代の女性。
慣れない避難所生活で、体調が思わしくないと語ってくれました。

避難者
「血圧が170まで上がってしまって。」

桑子
「今も高め?」

避難者
「今は薬を飲んでいる。
それでも150ほど。
なんにもしていないのに、体じゅうが痛い。
足が痛い。」

テントの中を見せていただきました。

桑子
「これは?」

避難者
「畳。」

桑子
「畳があって、その上に毛布を敷いて、この上に寝ていらっしゃる。」

避難者
「座布団を持ってきてくれたから、(それも)敷いて。」

桑子
「これは、なかなか休めないですよね。
この仕切り(テント)があると、違いますか?」

避難者
「それ1枚だから。
ゆうべも2時ぐらいまで起きていた。」

70代の男性です。
間近で見た土砂崩れの光景が、今も頭から離れないといいます。

避難者
「バーッと、山みたいなのがきた。
木の塊、ものすごかった。」

桑子
「今もその光景を思い出すことはありますか?」

避難者
「夢に見る。
『そっちは危なーい』と言う。
熟睡はできない、ここに来てから。」

土砂 浸水 畑の作物は…

あの日から一変してしまった、人々の生活。
私は、以前お世話になった農家の方を訪ねました。
新谷昌史(しんたに・まさし)さんと、なつきさんです。
自宅の裏山に案内してもらうと…。

桑子
「うわー。」

新谷昌史さん
「あのちょうど三角になっているところが、道路がもともとあったラインなんですけど。」

県道が土砂で覆い尽くされていました。

新谷昌史さん
「もしこれが土石流みたいに流れたら、下のほうのほかの民家もありますからね。
正直ぞっとしましたね。」

桑子
「ニュースでは毎日、土石流がここにもここにもとお伝えしているんですけど、目の前で見ると、こんなにおそろしいのかというのを感じますよね。」

80品目の野菜を育てている新谷さん夫婦。
畑には一見、大きな被害はないように見えるのですが…。

新谷なつきさん
「畑全体がほぼ田んぼみたいになって、この長靴でぎりぎり。」

豪雨で畑全体が水につかり、最長で1週間、水が引かなかったといいます。
その影響で、にんじんが…。

桑子
「うわー、これはちょっと。」

新谷昌史さん
「時間がたったので、かさぶたみたいになっているが、先っちょがどろっとなって、だめになって。」

そして、ハーブにも…。

桑子
「完全にだめですね…パリパリですものね。」

浸水したことで、そのほかに小松菜、レタスなど10品目以上が被害を受けたといいます。
そして、豪雨によって意外な被害も出ました。

新谷昌史さん
「ここ、サツマイモが植わっていたところなんですけど…。
イノシシがサツマイモとか大好きなんで、ほとんどほじくり返されました。」

桑子
「えー、これ、イノシシが掘り起こしているんですか。」

この周辺ではイノシシの被害は珍しく、新谷さんにとっては初めての経験でした。

新谷昌史さん
「土砂崩れでイノシシが、山が荒れてしまったので縄張りがわからなくなって、こっちまで出て来たのかな。」

元の生活を少しでも取り戻したい。
新谷さん夫婦は、被害を免れた野菜の出荷や、秋作に向けた準備に追われています。

新谷昌史さん
「だめになった野菜は確かにあるけれど、切り替えて次のものを作っていくことでカバーするしかないかなと思っているので。」

新谷なつきさん
「悩んだりへこたれている場合じゃないという精神がみんなある。
大変だったけどやるしかないっていうね。」

鉄道寸断で酒どころは…

豪雨で交通網が寸断された東広島市。
今も地域に深刻な影響を与えています。

桑子
「“本日、大雨の影響で列車の運転を休止しております”。
掲示板も何も表示がないですよね。
山陽本線、運転見合わせが続いています。」

JR山陽線の一部区間や呉線の全線など、在来線が運転できない状態が続いています。
大きな打撃を受けているのが、「観光」です。
酒どころとして知られるJR西条駅近くでは…。

桑子
「今日は人通りがないのが、ちょっと気になります。」

見学や試飲ができる酒蔵の1つを訪ねてみました。

桑子
「お客さんはいらっしゃらないのですか?」

東広島にある酒蔵会社 太田裕人さん
「いつも、もう少しお客さんはいるのですが。」

桑子
「客足はどれくらい減っている?」

東広島にある酒蔵会社 太田裕人さん
「そうですね、7割くらい(減)。」

酒づくりには影響は出ていませんが、団体客の予約のキャンセルが相次いでいます。
客の多くが鉄道を使うため、運転見合わせが続くと訪れることが難しいのです。
この地区では、毎年10月、「酒まつり」を開催してきました。
しかし、JR山陽線の全区間で運転見合わせが解消されるのは、11月になる見通しです。

東広島にある酒蔵会社 太田裕人さん
「今年も同じように(酒まつりの)開催はしようという話にはなっている。
元気出して、復興という意味でもやっていこうということは決まっている。」

桑子
「(観光客の移動の)足をどうするかは考えていらっしゃるんですか?」

東広島にある酒蔵会社 太田裕人さん
「そこは今から詰めていかないといけない。」



桑子
「今回実際に訪れてみて、見た目には被害がそれほど深刻に見えない場所でも、よく見ると、一歩足を踏み入れてお話を伺うと、やはり皆さん何かしらの被災をされているんです。」

有馬
「農家の方は、悩んだりへこたれたりしている場合じゃないとおっしゃってましたよね。」

桑子
「自分たちよりももっと被害を受けた方がいらっしゃると、取材したどの方もおっしゃっていて、その中でも、自分たちで何とか少しでも元の生活を取り戻そうと奮闘している姿がとても印象的でした。」

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