2018年8月22日(水)

子ども狙う 心の闇

桑子
「昭和63年から翌年にかけて、幼い女の子4人を誘拐、殺害し、社会を震撼させた、宮崎勤元死刑囚。
最初に事件を起こしたのが、30年前の今日(22日)でした。」


有馬
「その後も、子どもを狙った凄惨な事件が繰り返されてきました。
なぜ犯行が相次ぐのか。
今回、番組では、幼い子どもを狙った性犯罪の加害者を取材しました。
その心の闇に迫ります。」

子ども狙う 性犯罪 加害者の心の闇

依存症の専門病院です。
ここでは、国際的な医療規準を元に6か月以上、子どもに性的な興奮を抱くなどした人を「小児性愛障害」と診断しています。

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「『簡単にやめます』とやめれるものじゃない。
だから治療の場がある。」

欲望を抑えるための心理療法を行うなど、この数年で100人近くの治療に当たってきました。

13歳未満の子どもに対する性犯罪の検挙数は、今、年間900件以上に上っています。

大石クリニック 大石雅之院長
「捕まらない人は、その(検挙者の)何倍もいる。
平均5倍から10倍。
(加害者は)どこにでもいる。
加害者を1人治療できれば、被害者がその何倍も減ってくる。」

3年前からこの病院に通っている43歳の男性です。
これまで小学生の男の子を数百回襲い、強制わいせつなどで4回逮捕されました。

治療中の男性(43)
「泣きやまなかったら、“こいつ首締めて殺してやろうかな”と考えた。
自分が悪魔になっていた。
性の悪魔に取りつかれて、やっていた。」

防犯カメラがない場所を事前に把握し、おもちゃやお菓子を使って言葉巧みに子どもを誘い込んでいたといいます。

「『知らないおじさんについていかない』と言うじゃないですか?」

治療中の男性(43)
「言うけれど、たいがいの子はついて来る。
『ちょっと来て、気持ち悪いから背中さすって』『ジュース買ってあげる』と言えば来る子は来る。」

再犯率が高い性犯罪。
男性は治療を受ける中で、今度こそ、自分の欲望を制御しようと思うようになったと言います。

治療中の男性(43)
「“俺は治療中だ、やったらいけない”って呪文じゃないけど、心の中で繰り返して、衝動に駆られる時もある。
(犯行を犯したら)また逆戻りで、“死刑になって死ぬしかない”って、そのくらいの覚悟を持って生活しないと。」

一方、自分の問題点と正面から向き合おうとしない加害者もいます。

母親に連れられて1年前から通院し始めた45歳の男性です。
幼い女の子の後をつけまわし、家に押し入ったなどとして、これまでに4回逮捕されました。

治療中の男性(45)
「(女の子を探すのは)当時は日課みたいなものだった。
相手の後をつけていって、(子どもが)家に入るタイミングで押し込んで相手の家の中で服を脱がせたり、触ったりとか。」

出所後、生活保護で暮らすようになった男性。
しかし、今も形を変え、子どもに接触を図っていると言います。

治療中の男性(45)
「いわゆる“ネットナンパ”というやつ。」

SNS上で年齢を偽り、小・中学生と頻繁に交流しているというのです。

治療中の男性(45)
「5人か6人だったと思う。
心理的にそばにいたりとか、自分に依存してもらう。」

病院側も、この男性の行動は把握しています。
しかし、いくら説得しても行動を改善しようとしません。

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「だめなものはだめって、私たちは言うしかない。
被害者は増やさないでほしい。」

治療中の男性(45)
「被害者と言ってしまっていいかどうか。」

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「被害者って言っていい。
だって分からない、小さい子どもは。」

治療中の男性(45)
「どうなんでしょうね。
分かっていると思いますよ。」

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「相談支援員として、根本的な部分が変わらないのが悔しい。
やっぱりね、傷つく人は増やしたくないの。」

病院では、男性が子どもにこだわる理由を、大人の女性と向き合う自信がないからだと考えています。
生活再建をはかることが、まずは重要なのではないか。
病院は模索を続けています。

大石クリニック 大石雅之院長
「本音は安静な平穏な生活をやりたい、それを引っ張ってやらないと。
彼にできるとか可能性があるとか、そういう方向を出してやらないと難しい。」

苦しみ続ける被害者

幼い頃、2人の男性から性被害にあった、柳谷和美さんです。
被害の苦しみを知ってほしいと今回、取材に応じてくれました。
初めて被害にあったのは、5歳の時。
加害者は、仲良くしていた友達の父親でした。
「お医者さんごっこをしよう」といわれ、体を触られたといいます。
そして7歳の時には、親戚の男性から繰り返し性的暴行を受けました。
しかし、誰にも相談できませんでした。

柳谷和美さん
「(加害者からの)要求を断ることもできなかった、怖いから。
何とも言えないどろどろしたものをずっと抱えているのが、しんどかった。
“これはもう、死なんといかんのかな”、“死んだほうがいいのかな”とか。
(今も)傷はある、ずっと消えない。」

加害者の心の闇

取材を始めて1か月。
自分の欲望を制御したいと語っていた43歳の男性が、耳を疑う話を始めました。
知り合った複数の小学生が、自宅に「勝手に遊びに来る」というのです。

「なんで家に呼んじゃった?
何が目的なのか?」

治療中の男性(43)
「俺は呼んでないし、普通に遊びに来ていると思うし。」

「本当に治す気持ちあるんですか?」

治療中の男性(43)
「それはある。」

「なんで家に子どもが来るのか?」

治療中の男性(43)
「たぶん何かしら頼って来ていると思う。」

「子どものせいにするんですか?」

治療中の男性(43)
「何かしら、たぶん自分の中にあると思う。」

この日、病院で面談が行われました。
子どもには手を出していないと話す男性。
しかし、自らの心の闇は感じていました。

治療中の男性(43)
「結局は自分でも(子どもを)諦めきれないのかなっていうのもあるし、密室空間になるから誰も見ていないし。」

男性は、いつも家の鍵を閉めないと言います。

病院側は、子どもが勝手に来られないように、家の戸締まりができた日には青いシールを貼るよう指導することにしました。

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「必ず部屋の中にいるときは鍵をしめるように。
自分も、相手も守るために鍵をかけて、できない状況をつくっていくしかないよね。
しないと思っても、人って、しないための行動をしないかぎりはしちゃうの。」

男性が治療を始めて3年。
犯罪につながりかねない行動をひとつひとつ防ぐ、地道な治療が続きます。

相談支援専門員・看護師 小柴梓さん
「“だめ”とか“やめて”とか、怒るだけで止まらない。
3年かけて『自分を守るためにできる行動を増やしていかなければ』となったときに、いま危険なところで『鍵開けっ放しは(子どもを)招いてるのと同じだ』と自覚してくれたので、そういったところを増やしていくしかない。」

国は、12年前から、性犯罪者の治療を行う再犯防止プログラムを一部の刑務所で実施してきました。
しかし、出所後の治療面での対策は取られておらず、病院に通うのは本人の意思に委ねられています。
被害者支援を行っている専門家は。

上谷さくら弁護士
「加害者対策が野放しになっていることで、小さい子が殺されるようなことが続いている。
プログラムはずっと死ぬまで受けなければ意味がないと言っている専門家もいて、それが全くなされていないというのが現状。」

子ども狙う 性犯罪

桑子
「加害者が出所した後に治療面での対策がないということには驚きました。」

有馬
「欧米では、加害者にGPSの端末を取りつけて、どこにいるのか、居場所を把握するシステムを義務づけている国もあるんですけれども、日本では、加害者の人権に対する配慮ですとか、それほど犯罪抑止効果がないのではないか、そんな指摘もあって、法務省は調査研究を、今、続けているのが現状なんですよね。
つまり、再犯防止の取り組みは日本は出遅れていると、こう言わざるを得ません。」

桑子
「一番大事なのは子どもたちを守ることですよね。
今すぐ議論を深めて欲しいと思います。」

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