2018年11月8日(木)

裁判員裁判 運営に課題も

有馬
「さて、来週のどこかで、みなさんのご自宅にこんな封書が届くかもしれません。」

桑子
「この黄色い封書、送り主は最高裁判所です。
さらに上を見ますと、『大切なお知らせです。必ず、ご開封ください。』とも書かれています。
中を開けますと、『裁判員候補者名簿への記載のお知らせ』とあります。
来年(2019年)の裁判員の候補者に選ばれたことを知らせる内容なんです。
『自分には来ないでしょ』と思ったあなた、実はこの書類、来週20万人以上に送られる予定になっています。」

有馬
「20万、これ結構な数ですよね。
裁判員裁判、来年で制度の導入から10年になるんですけれども、運営に課題も見えてきました。」

過去最長の裁判員裁判 審理期間は207日

今日(8日)午後開かれた裁判員裁判。
7つの事件で殺人や監禁致死などの罪に問われた男に判決が言い渡されました。
この裁判、初公判から今日の判決まで、審理期間は207日。
裁判員裁判としては、これまでで最も長くなりました。
裁判が始まったのは、今年(2018年)4月16日。
審理は週4回のペースで70回開かれ、120人を超える証人が呼ばれました。

死亡したとされる3人のうち2人の遺体が見つかっていないなど、直接的な証拠が少なかったためです。
死刑が求刑された、この裁判。
判決では、1件の殺人事件については無罪と判断。
一方、ほかの6つの事件は有罪と判断し、被告に無期懲役を言い渡しました。

弁護団 高野隆弁護士
「裁判員の皆さんの犠牲は非常に大きなものがあったと思う。
日常生活、自分の家族、仕事を犠牲にして参加していただけたのは、大変立派なこと。」

過去最長の裁判員裁判 207日 街の人は

上原
「初公判から今日まで207日間に及んだ裁判員裁判。
働く人たちはどう受け止めているのでしょうか。」

50代 事務
「すごいかかるんですね。
うちの会社は絶対ダメだと思う。」

上原
「黄色のところが裁判の開かれた日。」

「週4とかある。」

20代 不動産
「2〜3か月くらいで、月に1〜2回出向くくらいならできるが。」

30代 製造業
「選ばれていない上司や会社からしたら『そんなに行かなきゃいけないの』と思われる。
その説明をするのに手間と苦労がかかってしまう。」

裁判員裁判まもなく10年 審理期間は長期化

無作為に選ばれた市民が、裁判官とともに審理を行う裁判員裁判。
始まってから来年で10年になります。
導入された狙いは、刑事裁判に市民の感覚を反映させることでした。
その目的は果たされているのか。
最高裁判所によりますと、導入後、量刑などに変化が出ているということです。

刑が重くなる傾向が見られているのは、性的暴行でけがをさせた事件。
制度導入前は「懲役3年を超えて5年まで」の判決が最も多くを占めましたが、開始後は「懲役5年を超えて7年まで」が最多となりました。
一方、家族の介護に疲れて殺害に及ぶいわゆる「介護殺人」では、刑の執行を猶予する「執行猶予」が付くケースが増えているということです。
専門家は。

専修大学法学部 飯考行教授
「裁判員はいろいろな年代、職業の人が入るので、より多角的な視点から質の高い裁判が実現している。
具体的な事件を見て裁判員がより判断する傾向が出ている。」

成果をあげているという一方で、課題も。
100日を超えるような裁判は例外的ですが、全体として長期化しています。

初公判から判決までの「審理期間」です。
制度が始まった平成21年は平均で3.7日。
去年(2017年)は、平均では10.6日。
当初の想定を大きく超えています。

専修大学法学部 飯考行教授
「(裁判所が)審理日程をゆとりを持って組んだり、休憩を長くとったりということと、裁判員がきちんと評議で発言できるよう、評議の時間を長くとっている傾向がある影響。」

約40日の審理 経験した人は

会社員の男性です。

裁判員つとめた会社員
「これが最初に届いた封筒。」

去年、裁判員を務め、審理期間は39日間に及びました。
裁判員に選ばれたことを会社に伝え、特別の有給休暇を取得した上で裁判に参加したといいます。

裁判員つとめた会社員
「実際に参加して会社を休んだ日です。」

去年11月は週の大半、裁判所に通うことに。
さらに営業を担当している男性は、裁判と並行して仕事をせざるを得ない時も。

裁判員つとめた会社員
「土日で仕事をしたり、裁判終わったあと会社に戻ったり、裁判の途中で休憩時間が結構あったので、その時に電話やメールで対応したことはあった。」

裁判員になったことは貴重な経験だったと振り返る男性。
長期間の審理については。

裁判員つとめた会社員
「仕事より疲れた。
(裁判の)日数を短くすることもなかなか難しいと感じた。
そうすると勤務先、会社の理解があることがいちばん。」

欠席者 相次ぎ… 懸念される偏り

裁判員裁判の長期化にともなって心配されるのが、裁判員に参加できない、しない人が増えることです。

審理期間が延びる中、裁判員を選ぶ手続きに出席を求められても裁判所に来ない人も増加して、去年はおよそ36%に。
審理の日程はあらかじめ知らされることから、長期化にともなって敬遠する人が増えているという分析もあります。
専門家は、裁判員裁判に参加できない人が増えて、職業や年代などが偏ることは望ましくないと指摘します。

専修大学法学部 飯考行教授
「裁判が長期化して、(裁判員の)なり手が少なくなってくると、仕事が忙しい人は少なくなり、仕事のない人・高齢の人が増え、偏りが生じる。
裁判員裁判のメリットとしての“多角的な視点からの質の高い裁判”。
多角的な視点がやや薄らいでしまう懸念がある。」

裁判員裁判まもなく10年 あるべき姿は?

政府は今後改めて、裁判員制度について検討を行うことにしています。
制度はどうあるべきなのか。

専修大学法学部 飯考行教授
「国民の視点からすると、仕事を休まないといけない、負担が大きい。
刑事裁判に市民が関わるメリットをどのようにバランスとるかが重大な論点。」

桑子
「これから制度について改めて検討するということですけれども、裁判に市民の感覚を入れるという、もともとの趣旨、これは大事にしなければいけないですよね。」

有馬
「そしてそのときは、専門家のみなさんだけではなく、実際に裁判員を経験した人の話ですとか、市民の意見、これを広く積極的に取り入れてほしいと思います。」

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