2018年12月25日(火)

巨大IT企業 現場で何が

桑子
「グーグルにアップル、フェイスブックにアマゾン。
その便利なサービスで、私たちの暮らしを激変させたアメリカの大手IT企業です。
若者の憧れの就職先でもあったこの『GAFA(ガーファ)』に、いま逆風が吹き始めています。」

有馬
「問われているのは、GAFAが一手に握る、膨大な『個人データ』です。
アメリカ経済をけん引するガリバー企業の足元で、何が起きているのでしょうか。」

GAFAに逆風 “もう使わない”広がる反発

ニューヨークに住む、ダニエル・オバーハウスさんです。
飼い猫のトイレ用の砂をペットショップで購入。
重さ11キロの砂を手に10分以上かけて歩いて帰宅します。
ついこの間まで、「アマゾン」で購入。

ダニエル・オバーハウスさん
「アマゾンはやめた。
なかなかの重労働だ。」

今年(2018年)に入って、GAFAのサービスの利用を一切やめたオバーハウスさん。
きっかけは、世界に衝撃を与えたあの“出来事”でした。
今年3月に発覚した、「フェイスブック」による最大8,700万人分の個人データの流出です。

そのデータは、“2016年の大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策に利用された”とも報じられています。
世界でおよそ22億人の利用者を誇るフェイスブック。
その収益の柱は、広告料です。

投稿の内容や「いいね」の数によって、利用者の「好み」を詳しく分析し、効率的に広告を出すことができます。
この膨大な「個人データ」と引き換えに無料でサービスを提供し、事業を急速に拡大してきました。

「私のプライバシーは、売りものじゃない!」

利用者の個人データで莫大な利益を上げているにもかかわらず、その取り扱いがずさんだったことに、一気に反発が広がったのです。

「彼らのプライバシーの扱いにはうんざり!」

個人データを提供することで、生活そのものがIT企業に支配されてしまうと危惧するオバーハウスさん。

みずから記者をするIT関連のネットマガジンでサービスの利用をやめた経験を記事に書いたところ、賛同の声が数多く寄せられたといいます。

ダニエル・オバーハウスさん
「僕個人のデータを他人に売り渡す企業は許せない。
日常的に使うテクノロジーについて考え直す人が増えた。」

立ちはだかる“個人データ”の壁

膨大な個人データをGAFAが事実上、独占することでベンチャー企業の成長が妨げられている。
そうした批判の声も上がっています。
起業家のスペンサー・シューレムさんです。
かつてGAFAに憧れ、高校卒業後には起業して、スマホアプリを開発。
この生活管理アプリは、世界800の学校で使われるまでになりました。

シューレムさんは、利用者ひとりひとりのニーズにあったアプリに改良したいと考えていますが、GAFAが一手に握る「個人データ」の壁に阻まれていると言います。

起業家 スペンサー・シューレムさん
「問題はGAFAが集めたデータにどれだけアクセスできるかだ。
他社がアクセスできないだけなく、持ち主もアクセスできないんだ。」

ベンチャー企業にとってのもうひとつの壁が、資金力の圧倒的な差です。
この日、集まったベンチャー企業の仲間たち。

GAFAがベンチャー企業の買収を頻繁に繰り返し、技術を摘みとってしまうという不満が噴出しました。

「僕らが決して彼らのレベルまでに達しないようにしているんだ。」

スペンサー・シューレムさん
「いつか僕らが彼らのように成長したいと思っても、大企業が多額の金をつぎこんで僕らを追い詰めるなんて朝飯前だ。
GAFAが作り上げた、ITビジネス環境でやっていかなければならないのが問題なんだ。」

“買収に活路を”

こうした中、GAFAとはあえて競わずに、事業を拡大させたベンチャー企業もあります。

WEBサイトの広告システムを開発している、ベン・バロカスさんです。
6年前、自社の技術がグーグルに認められ、会社を売却。
4億ドルの大金を手にしました。

グーグルに会社を売却 ベン・バロカスさん
「GAFAとつながることはベンチャー企業にとって嬉しいことだ。
買収もしてもらえる。
マーケティングやインフラなど、リソースを使わせてもらえる。」

バロカスさんは、GAFAが買収などで事業を拡大することは受け入れざるを得ないと考えています。

ベン・バロカスさん
「GAFAは自社の利益を最優先にしているだけ。
『広告主のためなら何でもする』野心で活動し、そのために優秀な人材を雇用している。
それが“行き過ぎている“とは誰も批判できない。」

失われる企業家精神

アメリカ経済の隅々にまで巨大な影響力を持ようになったGAFA。
その光と影を分析してきた専門家は、アメリカ経済の強みであった、“起業家精神”が失われていると警鐘を鳴らしています。

ニューヨーク大学 スコット・ギャロウェイ教授
「起業家たちはGAFAと競争するのではなく、どう買収してもらうか、そればかり考えている。
目覚ましい成長を遂げない限り、IT企業が軌道に乗るのは難しくなっている。」

アメリカ経済への影響は

桑子
「確かにGAFAのサービスは便利ですけれど、もう競っても無駄だと諦めるほど、圧倒的な存在になっているわけなんですね。」

有馬
「GAFAもそもそもは小さなベンチャー企業でスタートしているわけですけども、いまや若いベンチャーの成長の可能性、その眼を摘み取る存在になってしまったのは皮肉な話ですね。
ただこれはGAFAの脅威、アメリカに限った話ではありません。
膨大なデータを囲い込んで、ビジネスのルールさえも決めてしまうような存在と、日本企業がどう競争していくのかが、大きな試練になっています。」

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