2019年4月16日(火)

熊本地震から3年 自治体職員が足りない!

桑子
「3年前の今日(16日)、熊本は2度目の震度7の揺れに襲われました。
一連の熊本地震では、273人が犠牲となり、県内の40に上る市町村が被害を受けました。」

有馬
「そうした自治体が今、直面しているのが役場職員の人手不足です。
復旧、復興の現場に深刻な影響が出ています。」

自治体職員が足りない!

地震で9割以上の住宅が全半壊した、熊本県西原村の大切畑地区です。
仮設住宅に暮らす男性。
自宅は地震で全壊。
3年たった今も、再建の見通しは立っていません。

「だいたい1年ぐらいで(新しい家が)できるかなって簡単に思っていたが、考えが甘かった。」

原因は、復旧工事の大幅な遅れです。
当初の計画では、復旧工事は先月(3月)には完了しているはずでしたが、実際には1割も終わっていないのです。

22世帯が暮らしていたこの地区。
復旧の遅れで、ここを離れる住民が相次いでいると言います。

「待ちきれないで、もう6世帯、家をつくって出ている。
1か月でも早く、復旧復興してもらいたい。」

復旧の遅れの大きな要因が、自治体職員の不足です。
復旧のため、県内の市町村が頼ってきたのが、全国から1年単位で派遣される応援職員です。

地震が発生した年の応援職員は、169人。
その後、西日本豪雨など全国で災害が相次ぎ、年々減少。
今年度(2019年度)は、130人の応援職員を要望していましたが、派遣が決まったのは6割余りの81人にとどまります。

職員の不足による影響が最も深刻なのが、益城町です。
復旧事業課では、今年度、応援職員を25人要望しましたが、実際に来たのは16人。
不足分は、町役場の職員が埋めなければなりません。

インフラ担当の片岡賢太郎さんです。
この日、片岡さんが最初に向かったのは、地震で壊れた排水路の工事現場。
施工業者から告げられたのは、想定外の事態でした。
被害があまりに甚大だったため、工法を急遽変更する必要が出てきたのです。

益城町 復旧事業課 片岡賢太郎さん
「現場としては早く終わらせたいと思うんですけど、なかなか思うように進んでいかない。」

片岡さんが現在、1人で担当している復旧工事は10箇所。
夕方、役場に戻ってからも国や県、業者に提出する書類づくりに追われます。
残業時間は、月に100時間近くにまで達することもあるといいます。

益城町 復旧事業課 片岡賢太郎さん
「時間に追われるというか、常に“やらないといけない”という気持ち。
しないといけないことも常にある状況。」

益城町では復旧事業が、予定の6割しか進んでいません。
そうした中、職員の休職や退職が相次いでいます。

避難所の整備などを、一手に引き受けてきた村上勝さんです。
地震から5か月後に1か月余り、休職しました。

益城町 生涯学習課 村上勝さん
「だんだん食べられなくなったというのが、まず始まった。
それから眠れなくなる。
目がさえた状態で、ずっと仕事していたものですから。」

心身が疲弊したことなどで休職・退職した益城町の職員は、この3年で11人。
村上さんは、このままではさらに増える、と危機感を募らせています。

益城町 生涯学習課 村上勝さん
「一人一人が持っている仕事はすごく膨大で、いま症状に出ていなくても、いままで培ったもので、どんとくる職員もいまから出てくるのかな。」

職員不足による復旧の遅れは、全国の被災地でも。
去年(2018年)7月の西日本豪雨で、甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町です。

今、急ピッチで進められているのが、被害を受けた建物の解体作業です。
市の人事課では、技術職の応援職員16人を全国の自治体に頼みましたが、確保できたのは9人だけでした。

倉敷市 人事担当者
「土木職、建築、電気、機械職の方については、ほかの自治体も職員数自体少なくなっている。
なかなか要望には満たない。」

このままでは復旧が進まない。
倉敷市が注目したのは、定年退職した職員です。

「69歳です。」

「もうかれこれ古希、70近くになる。」

建物の解体を行う部署で働く、69歳の男性。
かつては建設関係の部署で、長年働いてきました。
現在、市が活用しているOBは5人。
全国から応援職員の確保が難しい中、模索を続けています。

相次ぐ大規模災害。
専門家は、首都直下地震や南海トラフの巨大地震などが想定される中、自治体職員の全国的な体制づくりが急務だと指摘します。

跡見学園女子大学 鍵屋一教授
「これは小手先の解決策はない。
今までの自治体職員の単なるつながりに期待するのではなく、オールジャパンの制度として被災した自治体に、職員が多数送り込まれる仕組みをつくるべき。
次の国難災害は乗り切れないと、非常に心配している。
もう待ったなし。」

有馬
「現場が疲弊して復旧が遅れるという悪循環は、断ち切らなければいけないわけですけれども、そもそも自治体の職員の数が減っているのです。
平成の大合併などもあって阪神淡路大震災の頃に比べますと、およそ55万人減少しています。」

桑子
「そうした中で期待されるのが、それぞれの自治体のOB職員の皆さんです。
皆さんがどんな専門知識や技術を持っているのか、その情報をネットワーク化して、ニーズに合った方を被災地に派遣するなど、具体的な仕組みをつくる必要があるという指摘も出ています。」

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