2019年5月16日(木)

どうすれば…認知症予防

有馬
「人生100年となる新しい時代を迎え、政府が新たな方針を打ち出しました。」

桑子
「それがこちらです。
認知症対策の『大綱』の案、なんです。
日本は今から6年後、2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になるとされています。
そんな中、政府が掲げた目標というのが、こちら。
ここに注目してください。
『70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる』。
どういうことかと言いますと、これから10年かけて、70代で認知症になるのを1歳、つまり1年遅らせる、という事なんですよね。」

有馬
「つまり、予防に力を入れるということでなんですね。
では、どう予防するのか。
最先端の取り組みを取材しました。」

認知症予防へ数値目標 取り組みの現場は

愛知県大府市の公民館。
ここで、認知症予防に向けたある取り組みが実践されています。
さっそく体験させてもらうと…。

「前、横、前、横、これの繰り返し。
それで4の倍数で手を打つ。」

規則的に足を動かしながら、4の倍数で手をたたきます。

高橋篤史リポーター
「これ、難しいですね。」

「コグニサイズ」と呼ばれるこうした運動。
認知を意味するコグニションと、運動という意味のエクササイズを組み合わせ、名付けられました。

「はじめは難しいけど、やっていると頭がさえてくる。」

「覚えることが忘れずできるようになった。
今までは一つ覚えたら一つ忘れていた。
頑張ってやっている。」

コグニサイズの開発に携わった研究者です。
続けることで、脳の活性化がみられたと言います。

国立長寿医療研究センター 島田裕之博士
「こちらは脳の萎縮度を示している。
運動しなかった人は、わずかに萎縮する領域が増えた。
要するに脳がやせていった。
それを保持する効果がありそう。」

さらに、生活の中でこんな取り組みも。

高橋リポーター
「認知症予防のための外出手帳、コグニノート。」

ウォーキングや新聞を読むこと、誰かと会話など、脳の活性化に役立つと考えられる行動を取ったかどうかチェックシートで記録します。

2週間に1度、専用の読み取り機にかけると、記録をもとにアドバイスなどがもらえます。
長く続けてもらうための工夫です。

「自分のためだと思ってやりだしたら楽しくなる。」

政府の「大綱」案でも、高齢者が体操に取り組むといった活動を推進するとしています。
ただ、そこには課題も。
どういった取り組みを進めれば認知症の予防に効果があるのか、十分な科学的な裏付けは得られていないと言います。

国立長寿医療研究センター 島田裕之博士
「現時点で『これをやったら認知症予防できる』『発症、先送りできる』とした明確な研究はない。
それ(認知症)を抑制するための研究開発にもう少し投資して、(認知症)予防対策というのを広く周知する取り組みが必要。」

一方、政府の「大綱」案で「予防」と並んでもう1つの柱となっているのが、「共生」。
認知症になっても自分らしく暮らせる社会の実現です。
このため、地域や職場で認知症の人や家族への理解を促していくなどとしています。

4年前から介護施設で働いている鈴木理さんです。

鈴木理さん
「お昼ごはんです。」

働き始めた翌年、認知症と診断されましたが、同じグループの施設で仕事を続けています。

施設側は、記憶が曖昧になる鈴木さんのためにさまざまな工夫を凝らしていました。

介護施設の職員
「利用者の写真・名前・性格書かれたカード。
本人から名前と顔が一致できないと聞いたので。」

鈴木理さん
「いざやってみると忘れる時がある。
その時にこれがないと。」

鈴木さんが担当するのはスケジュールに追われない、掃除や入所者の見守りなどです。

「散歩、一緒に行く?」

介護施設の職員
「日課のように行っている。」

介護施設の職員
「技術がいることは私たちが対応するが、鈴木理さんができること、役割分担して、みんなで一緒にできることからやっている。」

さまざまな配慮を受けながら働き続けている鈴木さん。
ただ、自分が役に立っていないのではないか、最近複雑な思いを抱くようになってきました。

鈴木理さん
「入浴介助もそうだが、夜勤も今やっていない。
いろんなことやりたいが、できない自分がいて、常にもどかしさと闘っている。」

鈴木さんと施設側は、先月(4月)から再び面談を重ねています。

介護施設の職員
「鈴木さんが自分で思っている以上に、利用者が本当に頼りにする場面たくさんある。
それが実感としてなかなか感じられないのかな。」

鈴木理さん
「自分だけが疎外感があるような感じ、今も。
もっと頼りにしてもらって大丈夫なんだけどな。」

介護施設の職員
「『もっと頼ってほしい』、その言葉聞けてうれしい。
これからいっぱい頼ろう。」

話し合いの結果、今後は入所者の食事作りや外出先を決める役割も担うことになりました。

鈴木理さん
「何もできなくなったわけじゃないので、できないところだけ手伝ってもらいたい。
周りのみなさんにもわかってもらいたい。」

介護施設の職員
「双方向だと思う、話し合っていく。
聞く・伝える・一緒に考える。
これからもやっていけたらいいなと思う。」

認知症「予防」「共生」 “人生100年時代”

桑子
「双方向という言葉がありましたけれど、認知症の方の本人の気持ちを大事にして、話し合いながら共生の道を探っていくのは、とても大切な事だと思います。」

有馬
「ただ、その『共生』にしても『予防』にしましても、これをやればいいという決め手があるわけじゃないんですよね。
とにかく、地道な取り組みを広げていく、これに尽きるという事ですね。」

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