2019年5月17日(金)

高齢者運転 “第3の道”の模索

桑子
「東京・池袋で先月(4月)19日、乗用車が暴走し歩行者などが次々とはねられた事故。
この事故のあと、運転免許証を返納する動きが相次いでいます。
ただ、移動手段がなくなるため簡単には返納に踏み切れないという切実な声もあります。」

有馬
「免許を返すのか、今の車に乗り続けるのか。
そのどちらでもない、“第3の道”の模索も始まっています。」

池袋 高齢者事故1か月 増える免許返納

今井リポーター
「こちら都内にある警視庁の運転免許本部です。
今日も、高齢ドライバーが免許の返納に訪れています。」

免許の返納にきた人(73)
「娘の方も“返納した方がいいんじゃないの”と。
家族で話して、安全第一と。」

運転が好きで、車でよく旅行に出かけていたという男性。
事故を受けて返納に踏み切りました。

免許の返納にきた人(73)
「うっかりミスで(事故)起こしたら、その方々に迷惑かけるから。」

今日(17日)、事故現場を訪れたこちらの女性も…。

事故現場を訪れた女性
「もう自信もなくなってるから。
人を乗せちゃいけないって子どもらにも言われてたから。」

東京都内で免許証を返納した高齢者は、事故があった先月19日の週にはおよそ1,000人でしたが、翌週は1,200人、先週は1,600人に上りました。

乗用車でも免許返納でもなく… “第3の道”の模索

ただ、車が欠かせない地方では、高齢者の移動手段の確保は切実な課題。
そこで今、始まっているのが、“第3の道”の模索です。

今井リポーター
「和歌山県のJR箕島駅です。
今、待ち合わせをしているんですけれども…あっ、来ましたね。
軽自動車でもない、スマートな感じ。」

現れたのは大手自動車メーカーが販売している「超小型車」。
運転していたのは、77歳の久保鈴子さんです。

今井リポーター
「こちらは、ご自身が愛用されている?」

久保鈴子さん
「毎日乗っている。
買い物とか、友だちの家に。
なくてはならない車。」

運転するには普通免許が必要ですが、車両や動力の小ささから、法律上は「原付きバイク」として扱われます。
最高速度は時速60キロ。
車体の幅は1メートル程度です。

久保鈴子さん
「前後どのくらいでどこが当たるか、これくらいの感覚だったら十分把握できる。」

久保さんは、この車なら安全に運転を続けられると、6年前に乗り換えました。
この選択を、息子も歓迎しています。

息子 武紀さん
「長いこと生きてきて、最後に事故を起こして、自分の母親なり父親なりが加害者になってしまうのはすごく悲しいこと。」

愛知県豊田市の山間部では、「超小型車」の可能性と課題を探る取り組みも行われています。
自治体と大学などが共同で3年前から高齢者に30台を貸し出し、使い勝手や改善点を調べています。

この日は、大学の研究員が聞き取りに訪れました。

「バックが気になって、すごく後ろが見にくい。」

超小型車には、サイドミラーは付いているものの、バックミラーがありません。

聞き取りでは、動力に関する課題も指摘されました。
家庭用電源での充電に6時間かかる一方、1回で走れる距離が30~50キロに限られているからです。

名古屋大学 未来社会創造機構 中條芳樹研究員
「行動範囲が、乗る範囲が広くなるような改善はしたい。
遠出できれば使い方が広がるし、需要喚起というか、他の人にも乗ってもらうことができるのでは。」

さらに、新たな超小型車の試行錯誤も続いています。
工業デザイナーの根津孝太さんです。
こちらは、根津さんが所属していたベンチャー企業が考案した超小型車。
意外な特徴が…。

工業デザイナー 根津孝太さん
「柔らかい、この車。
スポンジと布でできていて。」

車体のフレームに、フェルトやスポンジをかぶせることで、ぶつかっても相手にけがをさせにくくしています。

さらに、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐアイデアも。
運転するのは、足元のペダルではなく…。
自転車のようなハンドルです。

工業デザイナー 根津孝太さん
「自転車と近いから、止まる時はグッと握るのは体にしみこんでいるので、そういう意味では操作の間違いも減らせるのではないか。」

根津さんは、高齢者の運転に対する関心が高まっている今こそ、安全に運転するアイデアを社会全体で考えていく必要があるといいます。

工業デザイナー 根津孝太さん
「今をターニングポイントと捉えないと、ずっと変われないと思うので、やるなら今。」

桑子
「これまでの車のイメージにとらわれない、事故の犠牲を出さない車をつくってほしいと思いますね。」

有馬
「その点、自動運転の技術にも期待したいですね。
私たちも、そんな技術やアイデアに取り組む人たちを応援していきたいと思います。」


※2人乗りの超小型車については国内でも複数のメーカーが開発を進めていますが、公道を走るにあたって制度上の課題があり、個人が購入できる車両はないのが現状です。

Page Top