2019年9月4日(水)

香港 林鄭月娥行政長官 板挟みの中の“決断” 若者への譲歩 混乱のゆくえ

桑子
「中国政府と抗議デモを続ける若者たちの間で板挟みになってきた、香港政府トップの林鄭月娥・行政長官。
ついに若者たちの要求の一部を受け入れる決断をしました。」

有馬
「その決断とは、抗議デモの引き金になった、条例の改正案の『撤回』です。
混乱は収束に向かうのでしょうか。」

香港 行政長官 板挟みの中の“決断”

きょう(4日)夕方、香港メディアが一斉に伝えたのは。

香港ケーブルTV
「林鄭行政長官が条例の改正案を撤回。
立法会の議員らとの会合で正式に表明した。」

容疑者の身柄を香港から中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案について。
林鄭月娥行政長官が、夕方、議会にあたる立法会の議員らを呼んで緊急の会議を開き、改正案を撤回する方針を伝えたというのです。

そして、日本時間午後7時前。

香港政府 林鄭月娥行政長官
「香港政府は、正式に条例改正案を撤回する。」

林鄭長官みずからがテレビ演説でこの方針を発表。

香港政府 林鄭月娥行政長官
「私たちの答えでは、皆さんの怒りを完全には取り除けないと理解しているが、暴力がエスカレートし秩序が破壊されている現状では、事態打開は不可能だ。」

大規模な抗議活動の発端となった、条例の改正案。

これまで香港政府は、期限を定めずにその審議を延期した上で…。

香港政府 林鄭月娥行政長官
「来年7月までの成立は困難だ。
その現実を受け止めている。」

事実上、廃案になるとの見通しを示していました。
ところが若者たちの怒りは収まらず、「完全撤回」を求めて抗議活動を継続。
これに対し、香港政府による条例の改正を一貫して支持してきた中国政府。
林鄭長官に対し、“いかなる要求にも譲歩しないよう強く命令した”と、ロイター通信は報じていました。
きょう夕方、定例会見を行った中国外務省の報道官は。

記者
「香港の林鄭長官が条例案を正式に撤回するそうですが。」

中国外務省 耿爽報道官
「(政府で香港を担当する)香港マカオ事務弁公室が、きのう香港情勢を詳しく説明し、中国政府の考えも述べた。」

条例の改正案の撤回については、直接の言及は避けました。

一方、当初からの要求が受け入れられた形となった、若者たちは。

「遅すぎる。
もっと早く撤回を表明すべきだった。」

「われわれの5つの要求のうち1つしか応えていない。
これからも抗議活動を続ける。」

若者たちは、「条例改正案の完全撤回」にとどまらず、抗議活動を「組織的な暴動」だと断じた見解の撤回、さらに、行政長官と立法会の議員を民主的な選挙で選ぶことなど、5つの要求を掲げてきました。

きょうの「改正案撤回」の決定について、香港に滞在し、若者たちの抗議活動を見てきた専門家は。

香港政治に詳しい 立教大学法学部 倉田徹教授
「5つの要求のうち、この条例案はすでに政府が“死んだ”とまで言っている法案。
これを撤回するのは決して難しくないこと。
デモに参加していた人たちにとっては、5つの要求の4つが残っている。
しかもそのうちの1つを受け入れるのも非常に遅すぎたということで、これでデモがなくなるということはないだろうと思っている。」

香港の混乱はどこへ向かうのか。
不透明な情勢が続いています。

香港 条例改正案“撤回” 混乱のゆくえは

桑子
「改正案の撤回だけでは、若者の怒りは収まらないということですね。」

有馬
「遅きに失したかな、という感じはしますよね。
若者たちにとってはもはや香港の民主主義が守れるかどうか、そんな闘いにステージが変わってしまったような感じがありますよね。
残された4つの要求に香港政府、そして中国政府がどう対応するのでしょうか。
目が離せない状態は続きます。」

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