2019年9月17日(火)

アマゾン火災 背景に何が


「こちらは、南米アマゾンの熱帯雨林です。
さまざまな動植物が生息する、まさに生命の宝庫。
地球の酸素の、およそ20%を生み出すことから『地球の肺』とも呼ばれてきました。」


有馬
「そのアマゾンが、記録的な火災に見舞われています。
今、この時間も燃え続ける災。
その現場にNHKの取材班が入りました。」

アマゾン 止まらぬ火災 背景に何が

猛烈な勢いで広がるアマゾンの森林火災。
ことし(2019年)に入ってから、去年(2018年)の同じ時期の1.5倍にあたる、およそ10万件の火災が発生。
1分間にサッカー場1.5個分の森が燃えるスピードで、すでに日本の九州より広い熱帯雨林が焼失しました。

先住民が暮らす集落です。
先月(8月)、自宅裏の森や畑が炎に飲み込まれました。
強い熱風が吹き付け、熱中症などの健康被害を訴える子どもが増えています。

先住民のリーダー
「ことしは人生で最悪の年だ。
私たちの土地が焼かれ、きれいな空気もなくなった。
森が死んだ。
大変なことだ。」

今回、軍の消火活動に同行することが許されました。
対応に追われる、200人を超える兵士たち。

機材や物資が乏しいため、炎に風を吹きかけて方向を変え、集落に及ばないようにするのが精いっぱいです。
その間にも火災は次から次へと発生し、手が回っていません。

ブラジル軍 イバン・ルーカスさん
「きょうも消火活動に行ったが、帰りにまた火災が見つかった。
これから出動する。」

火災の原因となっているのが、ことしブラジルを襲っている記録的な乾燥。
そして、もうひとつ原因があります。

小宮智可支局長(サンパウロ支局)
「森の中に入りますと、このように火をつけたのに使われたとみられる、ガソリンのタンクが多くの場所で残されています。」

周辺には、ガソリンのにおいが漂っていました。

アマゾンの森林火災を監視する軍の拠点です。
衛星写真を分析すると、火災は森林を通る道路に沿って集中していることが分かってきました。

軍は、畜産農家などが放牧や開拓のために、違法に火をつけていると見ています。
こうした放火の背景にあるとされるのが…。

ボルソナロ大統領(YouTubeより)
「国土の半分以上を保護区域にしているなんて耐えられない、経済発展の妨げになる。」

ことし1月に就任した、ボルソナロ大統領のアマゾン開発です。
それまでの「保護政策」を転換。
アマゾンを重要な経済資源と位置づけ直し、積極的な開発を国民に呼びかけてきました。
ブラジルでは以前から放牧地を広げるために野焼きが行われ、政府はこれを黙認してきました。
しかし開発に前向きな大統領の登場で、法を犯して森を焼く農民が後を絶たなくなっています。

農家
「ボルソナロ政権への交代が、火災発生の大きな要因だと思う。
たくさんの仲間が、(野焼きで土地を広げる)チャンスだと言う。」

国際社会からは、懸念の声が上がっています。

フランス マクロン大統領
「生物の多様性や温暖化対策のために、アマゾンを再生しなければならない。」

ボルソナロ政権は一部の野焼きを禁止し、消火活動を強化するなどの対策に乗り出しました。

一方、この対策によって、生活に打撃を受けるようになったという牧畜農家も現れています。
野焼きが禁止されたため、牧草地を広げられなくなり、貧しい暮らしから一向に抜け出せないと言います。

牧畜農家
「アマゾンを保護しろと言うが、子どものミルクを買うお金すら与えられない。
ボルソナロ大統領(の開発政策)に賛成だ。」

地元の人々の生活を成り立たせながら、アマゾンの森を守ることはできるのか。
地球規模の課題となっています。


「『地球の肺』が放火で焼かれている…深刻ですね。」

有馬
「もしこのまま『肺』を失えば、地球の温暖化が加速するということです。
背景にある農家の暮らしと自然保護をどう両立するのか、具体的な答えをこれまで見いだせないままでしたが、これ以上先送りはできない問題になっています。」

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