2019年9月18日(水)

「民間試験」導入に不安の声 きょう申し込み始まるも…


「センター試験に代わって始まる大学入学共通テスト。
新たに来年(2020年)4月から、こちら。
英語の民間試験が導入されることが決まっています。
しかし、教師や生徒からは『制度上の不安がある』ですとか、『公平に受けられるのか』といった声が相次いでいるんです。」

有馬
「というなかで、早くも、一部の試験の申し込みが始まりました。
英語の民間試験、何種類もあるんですよね。
現場の戸惑いの声、さらに大きくなっています。」

英語「民間試験」導入 きょうから申し込み

都立新宿高校です。

都立新宿高校 笠原眞樹子教諭
「夕方にやっと申し込みのサイトが開きます。」

来年度、大学入学共通テストを受験する現在の2年生に、きょう(18日)、英語民間試験の申し込みが始まったことを伝えました。

高校2年生
「来年の予約、スケジュール未定の中で決めるのはちょっと難しい。」

英語「民間試験」導入 “公平性”に疑問の声

新たな制度では、受験生は民間の事業者が行う7種類のテストの中から希望するものを選んで受験します。

しかし、中身や採点方法が異なるテストを一律の基準で評価できるのか。
交通の便が悪い地方や、経済的にゆとりのない生徒が不利益を被らないか。
試験の公平性に疑問の声があがっているのです。
全国の高校の校長でつくる団体が行ったアンケートでは、7割近い高校が試験の実施を「延期すべき」と回答しています。

英語「民間試験」導入 実施事業者が対策PRも…

「制度への疑問は公平性の問題にとどまらない。」
そう語るのは、匿名で取材に応じた現役の高校教諭です。

現役の高校教諭
「企業が入試そのものを担うということは、明確な線引きを超えてしまうものだ。」

問題だと考えているのは、試験を実施する民間事業者による営業活動です。
事業者の中には、試験対策の本を売り込もうと各地の高校を訪問したり…。

動画
「大学入試合格に向けて…。」

動画をつくって試験対策の講座をPRしたりするところも。

動画
「さあ、あなたもイングリッシュスピーキングトレーニングで希望の進路をつかみ取りましょう。」

本番の試験を担う複数の民間事業者がPRする試験対策を、受験生は意識せざるを得ないと言います。

現役の高校教諭
「試験を作っている会社と同じ会社の参考書を使ったほうがいいかとか。
ひょっとしたら同じ問題が入試本番で出るのではないかという疑心暗鬼、どうしても拭えない状態で受験勉強していかないといけない。」

一方の事業者側は、本番の試験と試験対策の本の制作者を分けるなどして、公平性の確保をめざすとしています。

新宿高校でも今年度から新たに、民間事業者が本番対策として実施するテストを導入することになりました。
人生を左右する大学入試に民間企業が参入してくることの難しさを感じています。

都立新宿高校 笠原眞樹子教諭
「子どものためと思うと親はどんどんお金を惜しまず出す。
いろんなことを犠牲にしても。
教育の場に、かなりビジネスの形が入ってきている。
それについては、かなり悲しい。」

英語「民間試験」導入 不安と混乱 国の責任は…

専門家は。

教育社会学が専門 東京大学大学院教育学研究科 中村高康教授
「試験をする事業者の出す問題集のほうがいいのでは、と考える人が出てくるのもやむを得ない。
(試験を実施する民間事業者が)過剰に学校に訪問して営業を展開する形でやり過ぎるのは、大学入試の公共性の観点から見て、問題があるのではないか。」

その上で、教育現場からさまざまな懸念の声が上がっていることについては。

教育社会学が専門 東京大学大学院教育学研究科 中村高康教授
「一民間事業者の人たちの努力だけではどうにもならないこと。
(混乱を)収拾する努力を、制度を設計した(国の)人たちがやらないと。」


「今月(9月)就任した萩生田文部科学大臣はこの問題について、『見直しや廃止をすると大きな混乱になるので、実施を前提に全力を挙げていきたい』としています。」

有馬
「次々と課題が浮かび上がってきて、対象となる今の高校2年生は本当に不安な気持ちだと思います。
国も、これでいいと思っているわけではないと思う。
なんとかして、現場が納得していくテストにしてほしいなと思います。」

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