2019年9月23日(月)

国連のサミット 各国が選ぶ道は…


「“今が人類にとっての分かれ道だ”。
地球温暖化の危機を訴えるスウェーデンの16歳、グレタさんの言葉です。」

有馬
「対策を求める世界の若者たち。
その声が大きなうねりとなって広がるなか、国連の温暖化対策サミットがまもなく始まります。
各国はこの声にどう応えるのでしょうか。」

国連 温暖化対策サミット また一つ氷河が消える…

スイス・アルプス山脈。
黒い服を身につけた人たちが登ってきます。

消滅の危機にある氷河に、別れを告げる会が開かれたのです。
スイスアルプスでは、記録を取り始めてからすでに500以上の氷河が消滅。
ここピゾール氷河の氷も、温暖化の影響で数年のうちにすべて溶けるとみられています。

地元住民
「昔はこの下の湖まで氷河があり、スキーでおりることができた。
とてもがっかり。」

若者の声 広がる中で

「今こそ、気候の公平性を!」

いま、温暖化への危機感を急激に強めているのが、若者たち。
週末には、世界各国で一斉にデモが行われました。
そのきっかけとなったのが…。

グレタ・トゥーンベリさん
「今が人類にとっての分かれ道なのです。」

スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさん。
去年(2019年)8月から、毎週金曜日に学校を休んで座り込みの活動を続け、温暖化対策を訴えています。
デモの主催者側は、参加者が世界全体で400万人を超えたとして、温暖化対策を求めるデモとしては過去最大だとしています。

グレタ・トゥーンベリさん
「私たちは、ただ傍観するつもりはない。
科学のもとに団結している。
世界の首脳の目を覚まさせ、行動を起こさせたい!
私たちには、安全な未来を得る権利がある!」

温暖化対策サミットに先立ち、国連本部で開かれたユースサミット。
若者およそ1,000人が参加し、各国首脳に直ちに対策を講じるよう求めました。

参加者
「循環型の社会をつくるために、世界は変わるべきだ。」

「大人に行動を求めるだけではなく“私たちも参加させて”と言いたい。」

ユースサミットには国連のグテーレス事務総長も出席し、若者たちの声に耳を傾けました。

グテーレス事務総長は、猛烈なサイクロンが直撃したアフリカ南部のモザンビークや、大型のハリケーンで被害を受けた大西洋のバハマをみずから訪問。
「予想よりも早く温暖化が進行している」と国際社会に行動を呼びかけてきました。
そしていまは、若い力で対策が前進することに期待をかけているのです。

国連 グテーレス事務総長
「私たちの世代が責務を果たすよう、若い世代から働きかけてほしい。」

“分かれ道”での選択は

今回の温暖化対策サミットの開催にあたり、グテーレス事務総長は加盟各国の首脳に、ある要請を行いました。

国連 グテーレス事務総長
「パリ協定の削減目標を超えるという、強い決意を各国が示すことを期待する。」

温暖化対策の国際的な枠組み、「パリ協定」の対策だけでは不十分だとして、さらに踏み込んだ取り組みを表明するよう呼びかけたのです。

パリ協定では、平均気温の上昇を「1.5度」に抑えることを目指すとしています。
ところがWMO=世界気象機関などが22日、発表した報告書では、現状のままでは今世紀末には最大で3.4度上昇すると指摘。
各国が取り組みを、大幅に強化する必要があるとしています。
取り組み強化へ、意欲を示す国も出始めています。

ドイツは、電気自動車への転換を中心に、日本円にして6兆円規模を投じると発表。

インドも、石炭火力から太陽光パネルと原子力への転換を加速する計画です。
さらに二酸化炭素の最大の排出国、中国も含め60か国以上が、これまでの取り組みを上回る具体策を打ち出す予定です。
各国は若者たちの声に応え、新たな未来を示せるのか。
「分かれ道」となるサミットがまもなく始まります。

高まる機運と現実

有馬
「では、国連で取材にあたっている、佐藤記者に中継で話を聞きます。
今回、60を超える国々が対策の強化を表明するということですが、今回のサミット、転換点になると期待していいのでしょうか?」

佐藤文隆記者(アメリカ総局)
「いいと思います。
ようやく合意したパリ協定を超える目標を出す、というのはかなり難しい要求ではあったと思います。
それでも、温室効果ガスの排出量の上位国を含む60か国以上が、それに応えた意味は大きいと言っていいと思います。
国連は、来年(2020年)はパリ協定に基づいた各国の対策が実際に動きだすため、その後の10年、30年の流れを決める『決戦の年』だと位置づけています。
このためグテーレス事務総長は、今しかないと考えて今回のサミットを開きました。
そこに追い風になったのが、若者の力です。
各国の首脳らが、グレタさんら若者の訴えにどう応えるのか、非常に重要な会議となります。
一方で、アメリカのトランプ大統領、日本の安倍総理大臣、さらにオーストラリアなども首脳が出席せず、新たな目標は発表しません。
自国の経済やエネルギー政策と温暖化を求める声のはざまで、各国の温度差も浮き彫りになっていると言えます。」


「各国の間で、依然として温度差があるということですけれど、今後、対策はどうなるんでしょうか?」

佐藤記者
「やはり最大のカギは、温暖化を否定してきたアメリカのトランプ政権の動向です。
トランプ大統領の支持基盤である共和党の保守派には、自然は神が作ったものだとして温暖化に否定的な声が根強くあります。
ただ、ハリケーンなどの気象災害が頻発していることで、共和党支持者たちの中でも温暖化への懸念の声が急速に増えてきています。
このため、身内の共和党議員も、政権に温暖化対策を求めるようになってきています。
来年11月の大統領選挙にむけて、野党の民主党もこの問題を、トランプ大統領への攻撃材料にしています。
アメリカが温暖化対策により積極的に取り組めば、他の国に与える影響そして圧力は大きいと言えます。
若者を中心に広がった、世界の機運をさらに高めていけるのか、それともブレーキをかけるのか。
アメリカで、トランプ政権に方向転換を求める声が、高まるのかどうかが焦点となると言えます。」

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