2019年10月2日(水)

幼保無償化 スタートで… 相次ぐ施設の“値上げ” 何が起きている?

桑子
「消費税の増税分を財源にあてる、幼児教育・保育の無償化が、きのう(1日)から始まりました。」

有馬
「ところが、全国の幼稚園や保育施設でいま相次いでいるのは、利用料などの『値上げ』なんです。
いったい何が起きているのでしょうか?」

幼保無償化なのに… なぜ“値上がり”?

兵庫県内の保育施設に子どもを通わせている女性です。
今月(10月)から始まった保育の無償化で、負担は大幅に減ると期待していました。
ところが、施設側から突然、保育料などの値上げを通告されたのです。

保育施設に子どもを通わせている女性
「(値上げの理由は)保育の充実化とか職員体制、保育園の設備と書いてあった。
それにしては金額がおかしい。」

これまで女性が施設に支払ってきた金額は、月額3万6,000円。
今回の無償化で、国から2万3,000円ほど補助が出ることになり、単純に計算すれば、負担額はおよそ1万3,000円と、大幅に減ると見積もっていました。
しかし、施設側は、保育料を4万円に値上げ。
また、延長保育の料金や食費も大幅に値上げされました。
このため女性の負担軽減は4,000円にとどまり、女性が保育施設に支払う金額は、無償化前とほとんど変わっていません。

保育施設に子どもを通わせている女性
「国が出してくれた補助が適正に、必要である私たちにおりてきていない。
園の経営がやりやすくなるように補助を出してるのと一緒じゃないか。
今のままでは、卒園までずっともやもや不信感を残したまま預けることになる。
もうちょっと、説明や保護者に歩み寄るなりしてもらいたい。」

幼保無償化なのに… 広がる“値上げ”

戸惑いの声はSNSにも。

「保育園が保育料無償化に便乗して値上げしようとしている。」

「幼稚園が5000円~1,0000円値上げ。」

「何の説明もない。
値上げしていいから説明くらいしてください。」

厚生労働省によりますとことし(2019年)4月以降、無償化に便乗し、認可外の保育施設で理由なく利用料を値上げしたとみられるケースがあったということです。
厚生労働省は、事業者が公費負担で利益を得ることにつながる恐れがあるとして、都道府県などに対し、必要に応じて指導するよう文書で指示しました。

こうした施設側が値上げをするケースは、保育施設以外でも相次いで確認されています。
NHKが全国の幼稚園に自治体を通じて取材したところ、回答のあったおよそ4,000幼稚園のうち、43都道府県の少なくとも1,612の園で利用料の値上げを決めたことが分かりました。
値上げの理由は、多くの幼稚園が職員の処遇改善や増税への対応などとしています。

こうした事態に、専門家は。

子どもの政策に詳しい 慶應義塾大学 中室牧子教授
「補助金の利益が一部の施設の利益に帰着してしまっている。
もう少し慎重に制度設計をした方がよかったのかな。
限られたお金をどのように効率的に使うのか、どのように長期的に見た時に子どもたちの成果を高められる投資にするのか、しっかり考えなければいけない。
質の高い幼児教育とは何かという事を、しっかり議論しなければいけないのではないか。」

幼保無償化なのに… 苦しい事情も

一方、取材を進めていくと、厳しい経営状況のなか、やむにやまれず値上げを決めた幼稚園もありました。

愛知県にある私立幼稚園です。
職員室などが入る建物は、築55年。
廊下の壁にはヒビも。
老朽化が進んでいます。

副園長
「ここは建て替えるしかない。
あっちこもっちもこういう状況。」

幼稚園では子どもたちが過ごす園舎の改修を優先し、職員が利用する管理棟は改修を目指して費用を積み立てていました。

ところが。

副園長
「エラー表示したまま風しか出てこない。
最初動くがすぐ止まってしまう。」

この夏、園児が過ごす園舎のエアコン11台のうち2台が故障。
買い換えにかかる費用は1,680万円。
管理棟の改修に蓄えていたお金を取り崩すことになるとしています。
このため、施設の改修費用は、今の利用料だけではまかなうことができず、やむなく2年後に値上げを決めたと言います。

副園長
「私どもの園では、正社員の教員を増やしていく、そこに重点を置いていきたい。
いろんなところが壊れてきている。
管理棟の建て替えもある。
安心安全も考えて、建て替え・設備面、施設にお金をつかっていきたい。」

幼保無償化なのに… 広がる“値上げ”

桑子
「子育て世代の支援に当てるはずのお金が、施設の利益になってしまうかもしれない、これは不条理を感じます。」

有馬
「頑張っている施設の窮状は理解しなければいけない。
でも、それなら無償化という今回の措置ではなくて、施設の支援策を別途、考えるべきではないか、そんな声はある。
今回の制度本来の目的を、どうか忘れないでほしい。」

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