2019年10月28日(月)

読書に変化が…

桑子
「今週から『読書週間』です。
ところが、気になる数字が…。
48%。
去年(2018年)、読書時間が“ゼロ”、つまり、全く本を読まないと答えた大学生の割合です。」

有馬
「学生の半分が本を開かないということですよね。」

桑子
「そして、出版物の売り上げも減り続けています。
ピークだったのは、1996年の2兆6000億円余り。
去年は、その半分以下になっています。」

有馬
「出版業界も大変ですね。」

桑子
「ただ、活字離れが進んでいるわけではなさそうなんです。
昨今の読書事情を取材しました。」

“読書離れ”の中で… 本と触れあう人気の空間

本に触れる機会が減る中、今、あえて“本と出会える空間”を作る動きが相次いでいます。
こちらは、出版取り次ぎ大手「日本出版販売」が去年オープンした書店です。

深川リポーター
「このお店の特徴は?」

文喫六本木 林和泉副店長
「階段から向こうが有料スペースになっております。」

入場料を払えば、店内の3万冊が読み放題。

利用客
「ここは本当に、本と出会うための場所。」

深川リポーター
「本と出会えていますか?」

利用客
「出会えました、とてもいい出会いがありました。」

陳列方法にも、ひと工夫。
1冊、気になる本を手に取ると、関連するテーマの本が次々出て、結果的に客にさまざまな本を買ってもらう仕組みになっています。

文喫六本木 林和泉副店長
「長く本に触れる時間を作っていただくと、欲しい本が増えてくるみたいで、まとめ買いとか、かなり高価な本が売れるというのも特徴の一つかなと思う。」

本と過ごすホステルも話題を呼んでいます。

深川リポーター
「読書離れが進む中、東京・池袋のこちらの施設では、本に囲まれて宿泊することができるんです。」

1泊5000円ほどで宿泊でき、施設内の本は、読み放題。
休日は、50室ある部屋が満室。
本は、ホテルの差別化にもつながっていました。

BOOK AND BED TOKYO 中村嘉愛さん
「本を読んで寝落ちするみたいな、宿泊というよりも“体験・時間の過ごし方”。」

“読書離れ”の切り札 電子書籍市場への挑戦

さらに本好きのすそ野を広げようと、出版業界が切り札として力を入れているのが、「電子書籍」です。
売り上げは、この7年間で4倍に増加しています。

電子書籍の多くは、スマホやタブレットのアプリに出版社が作品を掲載する仕組みです。
作品が売れるたびに、出版社にはアプリの課金の一部が入ります。

2か月前にサービスを始めたこの会社。
アプリには現在13の出版社が参加。
読者数はすでに20万人を突破しました。

出版社
「ユーザーの中で、どれくらい話を読み進めるためにお金を払っているか。」

売れる作品を模索する中、電子書籍ならではの新しい形態も生み出されました。
スマートフォンで読みやすいよう文章は横書きにし、一文は短くします。
1話3000文字程度と短く分割し、1話ごと販売。
さらに次がどうしても読みたくなるように、1話の終わり方にこだわります。

新潮社 文庫出版部 髙橋裕介さん
「投稿作品を見ると、紙の本とは書き方も違う。
これが広がっていったら、小説も変わっていく。」

電子書籍は、作家の作風にも変化を及ぼしています。
このアプリに作品を提供する、中村航さんです。
電子書籍では、ダイレクトに読者の声が届くため、従来の小説にはない新しい手法に挑戦できるのも魅力だと考えています。

作家 中村航さん
「読者の声を手がかりに、小説の展開も変わっていく。
読者を編集者の代わりに信じて話を作る書き方も、ウェブアプリとかだったらできる。」

電子書籍は、新たな効果も生んでいます。

紀伊国屋書店 新宿本店 吉野裕司次長
「こちらの棚、ほぼ全部そうです。」

電子書籍で人気の作品の多くは、紙の書籍として販売したところ、売り上げが伸びているのです。
気に入った作品は手元に置いておきたいという読者のニーズをうまく掘り起こしたのです。

紀伊国屋書店 新宿本店 吉野裕司次長
「新しいお客さんをウェブからリアルの店舗に誘導できるので、ぜひつなげていきたい。
(こうしたジャンルが)出版の一つの柱となっていけばいい。」

作家の中村さんは、電子書籍は出版業界を立て直すチャンスになると期待を寄せています。

作家 中村航さん
「“活字離れ”と言っても文字離れはしていなくて、昔よりテキストに触れている時間は増えている。
小説ってすごくおもしろいと思う。
それをどうやって伝えていくかを考え続けていきたい。」


桑子
「私の周りでも電子書籍を読んでいる人が増えてきました。
有馬さんはいかがですか?」

有馬
「断然、紙がいいですねえ…。」

桑子
「実は、電子書籍がすでに一つのジャンルとして定着している国が、韓国なんです。
ウェブ上なら小説家になりたいという人が、20万人に上るとも言われています。
素人でも気軽にブログ感覚で掲載できる点が人気のようです。」

有馬
「活字と紙の味わいが大好きという私のような読み手も、変わっていくんでしょうか。」

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