2019年11月8日(金)

“サイクリングで復興を”

桑子
「暴風や停電で大きな被害をもたらした台風15号の上陸から、あす(9日)で2か月です。
その後の台風19号や豪雨も合わせると、被害額はきょう(8日)の時点で、農林水産関係だけで2,750億円を上回っています。
こうした中、この土日、千葉県で全国から愛好家が集まるサイクリングのイベントが開かれます。
被災地の復興を後押ししようと準備に奔走する、こちらのイタリア人男性に密着しました。」

“サイクリングで復興を” イタリア人男性の思い

都内に住む、イタリア人のマルコ・ファバロさんです。
千葉県の南房総地域を舞台に、あすとあさって(10日)行われるサイクリングイベントを主催しています。

今井リポーター
「この大会の名前は?」

マルコ・ファバロさん
「フェロ・マリ・エ・モンティ。
フェロは『鉄』、古い自転車の素材。
マリは『海』、モンティは『山』。
南房総からインスピレーションを得た名前。」

4年前から、毎年11月に開かれているこのイベント。
全国から自転車愛好家たちが集まり、田園風景や名所を楽しみながら巡ります。
自転車が大好きなマルコさん。
富津市で観光施設を運営する鈴木裕士さんと知り合い、毎年一緒にイベントを行ってきました。

観光施設の運営会社 社長 鈴木裕士さん
「地元をなんとか盛りあげたい気持ちがあったので、すばらしいイベントだと思い、マルコさんの力を借りて楽しくできればいいと。」

ところが、ことし(2019年)9月。
イベントの前夜祭の会場として使う予定だった、鈴木さんの観光施設は台風15号で大きな被害がでました。

観光施設の運営会社 社長 鈴木裕士さん
「正直つらい。」

鈴木さんは台風の直後、ことしのイベントの中止を考えていました。
しかし、マルコさんは地元を応援したいと、鈴木さんに今年の開催を強く訴えました。

観光施設の運営会社 社長 鈴木裕士さん
「決行しようと言ったのはマルコさん。
自粛や取りやめではなく、多少の障害があってもやるべきと言ってくれた。」

マルコ・ファバロさん
「持続的に来てもらうことによって、地元のためになるのではないか。」

スポーツジャーナリストとして、東京で仕事をするマルコさん。
この2か月、時間を見つけてはボランティアのため、千葉県の被災地に通っていました。
海と山に囲まれた風景が、マルコさんのふるさと、イタリア・ベネチア近郊と重なると言います。

マルコ・ファバロさん
「大好き。
それに尽きる。
田園風景、山から田んぼに変わって、また山、田んぼ。
千葉県や南房総地域が、何百年かけてつくりあげた景色。
ここで生まれたわけではないが、何とも言えない親近感を感じる。」

いよいよあす(9日)に迫った、サイクリングのイベント。
富津市をスタートして、鋸南町や鴨川市、それに南房総市をめぐります。
いずれも台風で大きな被害を受けた地域です。
コースの下見をするマルコさんに同行しました。
最初に向かったのは…。

マルコ・ファバロさん
「あ、おはようございます。
よろしくお願いします。」

参加者が水分や食べ物を補給する「エイドステーション」として、協力を依頼したカフェです。
この店では、地元の食材にこだわった料理を提供しています。

カフェのオーナー
「この人(農家)は、ハウスがほぼ全滅。
それでもこうして、できるかぎりやっているので。」

被害を受けても、懸命に立ち上がろうとする農家を支援したい。
あすのイベントでも、被災した農家の野菜などを使った料理をふるまうことにしています。

カフェのオーナー
「天気も恵まれそうだし、皆さん楽しんでもらえそうで私もワクワク。
地元が元気になろう、というエネルギーを感じてもらえれば。」

続いて向かったのは、老舗のしょうゆ店です。
屋根には今もブルーシートがかかったまま。
店舗や蔵などが、国の有形文化財に登録されているこちらのしょうゆ店。

参加者に歴史ある建物を見てもらいたいとコースに組み込みましたが、マルコさんはいまだ被害が残る現状も知ってほしいと考えています。
すさまじい風で穴が開いてしまったという「のれん」です。

店員
「マルコさんたちが来る前に、取っ替えてしまおうかと思った。」

マルコ・ファバロさん
「見せたほうがいいと思う。
知ったほうがいいと思う。」

今川リポーター
「見せたほうがいいというのは?」

マルコ・ファバロさん
「風の威力と、こうして文化財が傷んでいく現状を知ってもらいたい。」

一方、コースを変更した場所もあります。

こちらの海沿いの道は、東京湾を横目に見ながら走れるため、参加者に人気のコースでしたが、住宅の復旧が進んでいないためコースから外しました。

マルコ・ファバロさん
「まだ生活がままならない人が多いので、配慮したい。」

一日かけて、最後の準備を終えたマルコさん。

マルコ・ファバロさん
「災害があったからこそ、ことしも参加すると決めた人が多い。
逆に参加者から救われている感じがする。
いろいろな形で支援につながればいい。
小さなことだが、多くの人が小さなことをすればどうにかなる。
まず現状を見てもらいたい。
それに尽きる。」

桑子
「配慮をしながらも、今の千葉を伝えたい。
マルコさんの愛を、とても感じました。
マルコさんの呼びかけに応じて、あすからのイベントには、各地からおよそ150人の愛好家が集まります。
参加者からは、千葉県を訪れるこの機会に、被災地のボランティア活動にも参加したいという声も寄せられているということです。」

Page Top