2019年12月11日(水)

iPS細胞でノーベル賞 山中伸弥さん 実用化への研究 支援打ち切り?

桑子
「ノーベル賞を2012年にiPS細胞の研究で受賞したのが山中伸弥さんです。
しかし、7年前のこの笑顔がいま、曇っているんです。」

有馬
「『iPS細胞による再生医療で日本が世界をリードする』。
政府はその実用化に向けた研究を、国家プロジェクトとして支援してきました。
それが打ち切られるかもしれないという事態となっているんです。」

iPS細胞の研究 国が支援打ち切り?

ノーベル賞を受賞してから7年。
硬い表情で記者会見に臨んだ京都大学の山中伸弥教授。

京都大学 山中伸弥教授
「“もう国の金は出さない”という意見が入ってきたのは事実。
いきなりゼロになるというのは、本当だとしたら、相当理不尽。」

体のあらゆる組織や臓器になるとして、高い期待を集めてきたiPS細胞。
国は再生医療への応用を目指す研究全体に、2023年までの10年間で1,100億円を投じることを決定。
重点的に予算を配分してきました。
しかし山中教授が、ことしの夏、医療研究の戦略を立てる内閣官房の担当者から伝えられたのは、国からの支援の一部について「来年度から予算をつけない可能性がある」という趣旨の話でした。

京都大学 山中伸弥教授
「私たちは10年間の支援は継続されるだろうという見込みで、これまで活動してきた。
透明性の高い議論で決定してもらえたら私たちも納得するが、公開の場での議論と別のところで話が決まると、理由がよくわからない。」

国が支援打ち切りの可能性を示唆したのは、山中教授らが進めてきたiPS細胞の「ストック事業」。
iPS細胞の研究を大学や企業などが別々に進めるのではなく、山中教授らが作製した高い品質の細胞をそれぞれに供給。
言わば日本がワンチームで研究を進める狙いがあるといいます。

山中教授が「今後の実用化に向けた基盤になる」と位置づけているものでこれまで年間10億円あまりの支援を国から受けてきたといいます。

京都大学 山中伸弥教授
「企業でつくったら何千万円もかかる細胞を、私たちは10万円で提供している。
公的な支援の入った形で、良いiPS細胞を、それぞれの患者に最適なiPS細胞を提供する事業は、ぜひ続けていきたい。」

2023年まで行うとしていた国によるiPS細胞研究への支援。
なぜ今、打ち切りの議論が出たのか。
専門家は、この7年で、iPS細胞以外にも技術革新が起きていることが要因のひとつと見ています。

神奈川県立保健福祉大学 八代嘉美教授
「科学研究のお金はかなり細ってきている。
再生医療(iPS細胞)、当初の熱気が冷めつつあるなか、予算の付き方も冷静に見られてきている。」

ゲノム編集や遺伝子治療など、さまざまな領域で技術が進歩する今。
iPSだけでなく、研究全体の動向をみたうえで、支援の在り方を考えるべきだと指摘します。

神奈川県立保健福祉大学 八代嘉美教授
「(iPS細胞に)技術要素をしぼってしまう形は、他の部分をやせさせてしまう可能性。
そういう現実ふまえた上で、これからのありよう考える時期ではあった。」

支援打ち切りか、継続か。
先週、竹本科学技術担当大臣はこう言及しました。

竹本科学技術相
「結論的にはiPSストック事業を含む、サイラ(iPS細胞研究所)への支援については引き続き、当初の予定通りやるということになった。」

揺れ動いた研究者への国の支援。
今後は、どうあるべきなのでしょうか。

科学技術政策に詳しい 政策研究大学院大学 隅蔵康一教授
「これからも科学の世界でも、インパクトのある成果を発信していかなければいけない状況のなか、やはり(ノーベル賞受賞者など)スターサイエンティストに重点的な配分をするということは必要。」

そのうえで、将来有望な分野を見極め、育てていくことも求められるといいます。

科学技術政策に詳しい 政策研究大学院大学 隅蔵康一教授
「これからスターサイエンティストになりそうな研究者をいちはやく見つけて、支援をしていく。
若手にも十分支援していくことが重要。
どういう方向性に行きたいのか、どの世代を育成したいのか。
(国は)方針を明確に示すことが求められる。」

研究をどう支援していくか?

桑子
「まずは、国家プロジェクトとして支援すると決めたからには、最後まで研究者の味方になってほしい。
その上で新しい芽も育ててほしい。」

有馬
「その芽をどう見つけてどう育てるのか、問われています。
国として研究者を支援する予算は限られているかもしれません。
でもだからこそ、将来有望な研究をどう支援するのか、支援のためのお金をどう集めるのかについても、議論していく必要があるように思います。」

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