2020年1月23日(木)

相次ぐ水道管の事故  事業見直しをどう進めるか?

桑子
「先週末、和歌山市で断水が計画されたんですけれども、スーパーでは水が売り切れ、住民の方がゴミ箱に水をためる姿も見られました。
この断水計画の原因というのが、水道管の水漏れ事故。
いま全国で相次いでいます。」

有馬
「水道管の老朽化の問題ですよね。
このように新しいものに交換が必要な水道管は、すべて足すと、地球4周分にもなります。
この費用を賄うには、実に全国9割の地域で水道料金の値上げが必要で、その値上げ率は平均36%におよぶという推計が出ているのです。」

水道管の老朽化 補修・更新 阻む“人と金”

道路に噴き出した水。

今月(1月)、横浜市で老朽化した水道管が破裂。
およそ3万戸に断水などの影響が出ました。

男性
「水道管が破裂して、水圧でアスファルトがドン!っていったと思うが。
3時間くらい断水した。」

女性
「車も通れなくなってしまったので、破裂する前に、古いところは早めに工事してもらえたら。」

各地で相次ぐ水道管の事故。
平成29年度には、全国で2万件以上発生しています。
厚生労働省によると、耐用年数の40年を超えた水道管の割合は、大阪府や奈良県など6つの府県で20%以上、全国平均では16%を超えています。

今後20年間で更新が必要な水道管は15万3,700キロありますが、更新作業の大きな壁となっているのが、「人」と「お金」だと言います。

奈良県の山間部、人口1,300人あまりの川上村です。

水道管の総延長は80キロにおよびますが、水道を担当しているのは村の職員59人のうち、たった1人だと言います。

川上村役場 杉田好平さん
「台風とかで何かあった場合は、担当だけでは到底無理なので、役場OB・前任者にも協力してもらいながら。」

点検作業を取材していたこの日、山あいの坂道で水道管から水が漏れているのが見つかり、思わぬ対応に追われることになりました。
村の水道管は整備が本格的に進められてから40年近くが経過し、まもなく更新が必要になります。
しかし、日々の点検などに時間を取られ、人件費にも限りがあると言います。

川上村役場 杉田好平さん
「ゆくゆくは全体的な更新も考えないといけないが、まだ計画段階で実行まで進めていない。」

現在の事業を維持する場合、避けられないとみられる水道料金の値上げ。
今後予想される水道料金の値上げ率などの調査を行った専門家は。

EY新日本有限責任監査法人 福田健一郎シニアマネージャー
「推計の結果、日本の水道事業の9割で今後水道料金の値上げが必要であること。
平均的な値上げの率が36%という結果が出ているので、今後どの事業でも水道料金の値上げは不可避な状態ではないか。」

水道管の老朽化 コスト削減の対策へ

この将来の負担を最小限に抑えようと対策に乗り出したのが川崎市です。
市内にある浄水施設。
上から見下ろしてみると、水がありません。
この浄水施設、すでに廃止されているのです。
川崎市はコストの削減のため浄水場の能力を改めて分析。
数を減らしても水の供給ができると判断し、3か所あった施設を1か所に集約しました。

川崎市上下水道局 生田浄水場 佐藤譲場長
「(考え方の)根幹にあるのが老朽化(対策)・スリム化。
小さいスペースで機能は維持できる。
そうしたことを視野に(施設の)再構築を進めている。」

今井翔馬リポーター
「その川崎市、課題を解決するために導入を検討しているのが、AIの技術なんです。」

AI=人工知能を使って、水道管の交換時期を予測するシステムです。
実際に導入されたアメリカの事例では…。

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「1本ずつ、向こう5年間にどの程度の確率で漏水が起こるか表示。」

今井リポーター
「赤色のところ、ここはちょっとリスク高い?」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「こういうところは、見えている全体の中で極めて漏水が起こりやすいハイリスクな管である、ということを表示している。」

水道管は、設置された環境で寿命が大きく変わります。
土壌や天候、さらには自動車の振動も影響を与えます。
そのため、水道管の情報や土地の傾斜などおよそ1,000項目のデータを学習して予測を出すのです。

実際のデータを川崎市の地図に重ねてみると。

今井リポーター
「この黒く囲まれたところが川崎市。
背景が変わっていますが、緑は何ですか?」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「土地利用の状況。」

今井リポーター
「今どんどん黒く広がっていますけれども。」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「建物。」

今井リポーター
「これは?」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「標高。」

今井リポーター
「こちらは?」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「気温。」

今井リポーター
「これは?」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「地中の成分。」

今井リポーター
「こんなに違うんですね。」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「生身の人間が計算するのは、とてもではないが無理。」

フラクタ 事業開発ディレクター 樋口宣人さん
「(自治体の)予算は限られているので、限られた予算を効率よく使うことができる。
科学技術・AIを使って何とか解決に貢献したい。」

川崎市は今後、検証結果などを踏まえたうえで、導入するかどうか判断する方針です。

対策に動き始めた水道管の老朽化問題。
専門家は、今後維持するためには、負担の見通しを市民と共有することが欠かせないと指摘します。

EY新日本有限責任監査法人 福田健一郎シニアマネージャー
「今後の(水道)事業の経営・料金・財政のさらなる“見える化”が必須。
各自治体で“見える化”された料金を通じて、今後どれぐらいの負担をして、どういう事業を維持するか議論が活発化することになる。」

相次ぐ水道管の事故

桑子
「私たちの水道料金が今後どうなっていくのか、不安がありますよね。」

有馬
「水道事業は、地域によって、自治体によっても取り巻く環境が大きく違うので、これだという解決策がなかなかないわけです。
今日は川崎の事例を見ましたけれども、私たちも自分の地域の水道事情がどうなっているのか、一度じっくり考えてみる必要がありそうです。」

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