2020年3月2日(月)

スーパーチューズデー ホワイトハウスへの道 サンダース氏 躍進の背景に何が

有馬
「ご覧いただいているのはホワイトハウス。
その主はいったい誰になるのでしょうか。
8か月後に迫った大統領選挙に注目します。」

桑子
「アメリカはあす(3日)、その大統領選挙に向けた大きなヤマ場、スーパーチューズデーを迎えます。
再選を目指すトランプ大統領に対し、野党民主党は候補者を絞り込むため、全米14の州で一斉に予備選挙を行います。
その14の州がこちらです。
黄色く示された州、カリフォルニア州やテキサス州などの大票田が含まれていて、あすの結果はその後のゆくえを大きく左右するとみられています。」

有馬
「民主党の候補者は6人です。
その中でトップを走るのが、この人、サンダース上院議員です。
民主社会主義者を自称し、公立大学の無償化、国民皆保険の導入など、極端な政策を掲げるこの人が、なぜ支持を集めるのでしょうか。
取材してきました。」

あすスーパーチューズデー サンダース氏 躍進 背景に何が

向かったのは、西部カリフォルニア州の都市、サンフランシスコです。

有馬
「見えてきた。
GAFAに代表されるようなIT各社。
オフィスを構えているんだそうです。」

全米でトップクラスの経済成長を続けるサンフランシスコ。
街は活気に満ちていました。

有馬
「ダウンタウンからちょっと歩いてきたんですけど。」

しかし、中心部から少し離れると、至るところで路上生活をする人たちの姿が目に入ってきました。
さらに、車で30分ほど走ると。

有馬
「あれ、なんでこんな通りに?」

ずらりと並んだキャンピングカー。

この女性は、1年半前、50年以上暮らしていた家を退去させられ、ここで車上生活を始めたといいます。

女性
「まさか自分がこんな目にあうとは思わなかった。
水道や電気があればいいのだが。」

有馬
「手が届く住宅は見つからない?」

女性
「低所得者向けの住宅はあるが、私には高すぎる。」

広がる貧富の格差。
主な要因とされるのが、巨大IT企業の進出に伴う、急速な人口の増加です。
家賃は高騰、月の平均額は、1LDK相当で40万円ほどにのぼります。

この格差に苦しむ中、サンダース氏を支持するようになったという若者に会いました。
エイミー・ザイグルスさん、25歳です。
この1年あまり、ホームレスとして暮らしてきました。

ザイグルスさん
「ここが私のテント。
あるのは枕と寝袋だけ。
あとは本と食べ物ぐらい。」

ザイグルスさんは、アメリカ屈指の名門・カリフォルニア大学バークレー校で学んでいました。
しかしひと月前、退学を言い渡されました。
生きるだけで精一杯となり、単位を取ることができなかったのです。

ザイグルスさん
「大学で教職を得て、社会学の研究をすることが夢だった。
食べ物を得る、眠りにつく、携帯電話を充電する…。
ホームレスになるとそんな基本的なことも時間がかかってしまう。
人生が自分の手から滑り落ちてしまったようだ。」

年間300万円を超える授業料に生活費。
ザイグルスさんは奨学金やアルバイトで貯めたお金で何とかやりくりしてきました。
しかし退学になれば、これまで受け取った500万円を超える奨学金の返済を求められる可能性があります。

「共に政治に革命を起こそう!」

サンダース氏が大統領になり、公立大学の無償化などの公約が実現すれば、再び大学に戻り、夢をかなえることができると期待しています。

ザイグルスさん
「サンダース氏が公約を実現できれば、革命的。
すばらしいことだ。
私たちは力を取り戻すことができるのだから。」

この日、ザイグルスさんは、大学のキャンパスへと向かいました。
“格差を是正するために政治を変えるべきだ”。
同じように苦しい生活を送る仲間たちと、抗議するためです。

「生活費を適正な水準にしろ!」

大学の調査によると、住む場所を失う学生は増え続け、実に全体の13%余りがホームレスを経験しています。

キャンパスの地下へと向かうザイグルスさん。
生活に困窮する学生に食べ物を配る配給所です。

大学が設置、月にのべ5,000人が利用するといいます。

有馬
「閉まっていますね。」

この日はすでに、食料の提供が終わっていました。

有馬
「今夜の食事はどうするのか?」

ザイグルスさん
「リュックサックの中に食べ残しがある。」

有馬
「出会えてよかった。
きょうは本当にありがとう。
すべてうまく行くように願っています。」

“大学で学び、安心して暮らしたい”。
そんなささやかな願いをサンダース氏に託していました。

いまそうした支持が若者たちに着実に広がっています。
大学近くの広場に集まったボランティアたち。
そのほとんどが20代です。

有権者を一軒一軒訪ね、サンダース氏への投票を呼びかけます。

サンダース陣営のボランティア
「サンダース氏を支持します?」

有権者
「僕は彼のファン。
政策に本当に共感している。」

サンダース陣営のボランティア
「サンダース氏の政策はすでに信じたいほどの支持を得ている。
サンダース氏は一貫して労働者の味方。
トランプ大統領に勝てる唯一の候補者だ。」

桑子
「カリフォルニア、街を少し離れるとキャンピングカーの列があって、ザイグルスさんのように家を失う学生というのが13%。
カリフォルニアというと、シリコンバレーもあって発展している街のイメージあるんですけれども、その陰で格差がこんなにあるんですね。」

有馬
「その格差を解消してくれるのはサンダース氏しかいない、と、大勢の若者たちが切実に訴えているのがとても印象的でした。
そのサンダース氏、ここまではこのように躍進してきたんですね。
この勢いはこの先も続くんでしょうか。
ワシントン支局の油井支局長に話を聞きたいと思います。」

有馬
「油井さん、サンダース氏、あすのスーパーチューズデーもこの勢いが維持できるのでしょうか。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「そう思います。
事前の世論調査では、大票田のカリフォルニア州やテキサス州で支持率トップで、勢いが感じられます。
躍進の要因のひとつが、そのぶれない姿勢です。
格差をなくすと言い続けてきたサンダース氏の頑固ぶりが評価につながったとみられています。
逆に同じ左派のウォーレン氏は、中道派も取り込もうと時折、柔軟な姿勢を示したことで、左派の間で中途半端に映り、こうした票もサンダース氏に流れたとみられます。」

有馬
「サンダース氏は4年前も、『旋風』と呼ばれる、一大ムーブメントを巻き起こしたわけですけども、今回そのときの勢いを少し超えているのかな、というふうにも見えました。
実際はどうなんでしょうか。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「そういえると思います。
背景にあるのが、こちらです。」

桑子
「『ミレニアル世代』と『ジェネレーションZ』。
これ、若者世代のことですよね?」

油井秀樹 ワシントン支局長
「はい、そうです。
80年代初め以降に生まれた世代で、30代以下の若者たちです。
こちらのグラフをご覧ください。
これまではベビーブーム世代と、それ以前に生まれた、55歳以上の中高年層が有権者の多数派でした。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「しかし、前回の大統領選挙で多数派が逆転したのです。
その差は、ことしさらに広がる見通しで、ミレニアル世代とジェネレーションZが主役の選挙になります。
そして、この若者たちはよりリベラルで社会主義にも抵抗感が少ないのが特徴です。
民主社会主義者を自認するサンダース氏にとって、前回以上に旋風を巻き起こす環境が整っているのです。
さらに、今回違うのは、ヒスパニックなどのマイノリティー層への浸透です。
前回は白人層が支持者の中心でしたが、今回は多様な層に組織的に働きかけ、支持の拡大に成功していると言えます。」

有馬
「となってくると気になるのは、極端な左派にとてもついていけないという中道派の人たちですよね。
初戦で躍進した中道派のブティジェッジ氏はきょう(2日)、撤退を表明しましたけれども、いま混戦状態になっている中道派の候補者たちは、サンダース氏に勝てるのでしょうか。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「中道派の混戦に終止符を打ち、候補者を一本化できるかどうかにかかっています。
現時点で有力なのが、直前で初勝利をあげたバイデン氏です。
そのバイデン氏の切り札が、こちら『オバマ人気』です。
オバマ大統領の相棒だったことをアピールし、民主党の重要な支持基盤の黒人層の支持を集めています。
さらに多くの層から支持を集められるかがカギです。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「これに対抗するとみられるのが、今回から参戦するブルームバーグ氏です。
カギとなるのは、こちら中道派の支持層が多い、比較的、保守的な地盤の州です。」

あすスーパーチューズデー 民主党中道派 勝利の鍵は

油井秀樹 ワシントン支局長
「カリフォルニアなどの大票田に加えて、取りこぼしがないようテネシーなど小さい保守的な州を重要州と位置づけ、ここで勝つことで中道派の代表格の印象をつくりたいのだと思います。」

油井秀樹 ワシントン支局長
「民主党内では左派サンダース氏ではトランプ大統領に勝てないとして、中道派の候補を一本化すべだという圧力が日に日に強まっています。
今回の戦いでどちらかが抜け出るのか、それとも混戦が続くのか、ここが大きな焦点だと思います。」

スーパーチューズデー ホワイトハウスへの道

桑子
「油井支局長でした。
ちょうどあすのこの時間くらいから投票が始まりますね。」

有馬
「あすは、トランプ大統領の動きをお伝えしたいと思います。
共和党の指名は確実にして、11月の本戦に向けて民主党の支持基盤の切り崩しを狙うその戦略に迫ります。」

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